チームラボの代表・猪子寿之さんの連載「連続するものすべては美しい」。今回は、豊洲の「チームラボプラネッツ」の作品をめぐる対話です。植物をモチーフにした作品から、植物の特異な進化史を概観しつつ、「ボーダレス」という思想について改めて問い直します。前編はこちら。(構成:杉本健太郎)
猪子寿之 連続するものすべては美しい
第7回 世界は自分の認知に過ぎない(後編)
アートを生活空間に持ち込み、分配可能なものにする
猪子 豊洲の「チームラボプラネッツ TOKYO DMM」を去年の夏に拡張したんだよ。屋外に2つの庭園を作ってね。苔庭(『呼応する小宇宙の苔庭 - 固形化された光の色, Sunrise and Sunset』)とフラワーガーデン(『Floating Flower Garden: 花と我と同根、庭と我と一体』 以降、「フラワーガーデン」)をやってみた。これも自然物を使った造形物だね。 苔庭にまだ人類が見たことがないような色の卵をたくさん置いてさ。もはや何色かわからない、何色と一言では言えないような装置ね。見たことがないような光の色を再現性がある形で作りたいと思った。複雑な色で61色で構成されてる。
▲『呼応する小宇宙の苔庭 - 固形化された光の色, Sunrise and Sunset』 https://planets.teamlab.art/tokyo/jp/ew/resonating_microcosms_mossgarden_planets/
▲『Floating Flower Garden: 花と我と同根、庭と我と一体』 https://planets.teamlab.art/tokyo/jp/ew/ffgarden_planets/
宇野 人類が見たことがないような色っていうのは、もう少しかみ砕いて言うとどういうものなの?
猪子 光が固形化されて、パキパキしたまま混ざってるようなもの。普通はグラデーションになるんだけどさ、もっと光がパキっと固形化されたまま混ざってる。
宇野 グラデーションにならないように技術を用いてるってこと?
猪子 そう。今までグラデーションで色があいまいに混ざっていくみたいなのはよくやってたんだけど、もっとパキパキのまま色が混ざってる。
宇野 ちょっと不気味だよね(笑)。通常とは違う色の見え方を表現することで、どういう感覚を引き起こしてたの?
猪子 色の概念を更新できたらいいなと思ってさ。色は無限のグラデーションなんだけど、どうしても言葉による認識が先走っちゃって限界を作っちゃう。でも本当は色って境界なく無限にあるグラデーションなんだよ。
宇野 グラデーションにならない色って、けっこう違和感を覚えるわけだよ。「境界のない世界」を擁護するというチームラボのポリシーに照らすと、その違和感によって、色は本来グラデーションであることを逆説的に思い起こさせるのかもね。
猪子 そこまで考えてなかったけど、そういうことにしようかな(笑)。
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