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お笑いコンビ、ザ・ギースの高佐一慈さんが日常で出会うふとしたおかしみを書き留めていく連載「誰にでもできる簡単なエッセイ」。
今回は、高佐さんがとあるライブ当日に犯した失敗談。パニックに陥る高佐さんを冷静な態度でフォローする相方の尾関さんについて、リスペクトとユーモアを交えながら語ります。

高佐一慈 誰にでもできる簡単なエッセイ
第16回 相方がヒーローに見えた日

 戦争、いじめ、不倫、犯罪……。
 人は何度同じ過ちを繰り返せば気が済むのだろう。
 人間誰しも間違いを犯すことはある。してしまったことは百歩譲ってしょうがない。ただその時に、もうこんなことは金輪際起こすまいと固く決意する。自分を律する。日の光を浴びることすら恐れ多いという気持ちで、重い十字架を背負って生きていくことを自分自身に課し、ひたすら猛省する。
 だが、時間は犯した過ちを忘却の彼方へと葬り去る。あんなに固く決意した確固たる思いは、色褪せ、風化し、さもそんな間違いなど一度もしたことがないような状態に舞い戻ってしまう。そして同じ過ちを繰り返すのだ。
 この連載の第3回目に「『ニーズが無い』という言葉の恐怖」というエッセイを書いたのが、ちょうど1年前。わずか1年という期間の中で、やってしまったのだ。

 電車の網棚に、またしても荷物を置き忘れてしまいました。
 大袈裟なプロローグですみません。
「またか」と思う方もおられると思いますが、今回はテイストが全然違います。鬱屈とした自分自身の自意識を吐き出すような話ではなく、僕のミスを救ってくれた相方の尾関がいかにヒーローだったかを伝える英雄譚です。


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