第2回 真・曹操ガンダム
今回取り上げるのは「BB戦士SD三国伝シリーズ」の真・曹操ガンダムです。
いまでこそ小学生から大人まで楽しめるマニア向けアニメの代名詞になってい
る「ガンダム」シリーズですが、僕が小学生の頃は80年代の初代「ガンダ
ム」ブームは完全に過去のものになり、玩具(ガシャポン人形)やプラモデル
を中心に展開された「SDガンダム」シリーズによって、「ガンダム」に興味を
持つ男子が多かったように思えます。
「SD」とはスーパーディフォルメの略で、イラストレーター・キャラクター
デザイナーの横井孝二氏などを中心に「ガンダム」シリーズに登場するロボッ
ト(モビルスーツ)が2~3頭身にデザインし直され、より親しみやすいキャ
ラクターとして商品化され、人気を博していました。
このSDガンダムはそのデザインコンセプトから明らかなように、これまでは
小学校中学年~二十代を主な対象にしてきた「ガンダム」シリーズを、未就学
児童から小学生を対象にした児童向けホビーカルチャーとして展開し直すため
の企画だったと思われます。その商品情報や漫画連載が今は亡き講談社の児童
誌「コミックボンボン」(小学館「コロコロコミック」のライバル雑誌……と
いう位置づけだった)を舞台に展開されたことからもそれは明らかです。
これはよくよく考えてみると結構面白い話で、初代「ガンダム」が児童向け
の玩具販促番組だった当時のロボットアニメをティーン向けの作品に引き上げ
るというコンセプトをもっていたのに対して、「SDガンダム」シリーズはその
逆をやっているということになります。
日本のロボットアニメの歴史とは、端的に述べれば「ロボット」が「乗り
物」になっていくまでの歴史だと(ある時期までは)まとめることができます。
ここについては集英社のウェブ文芸誌「レンザブロー」の不定期連載「政治と
文学の再設定」で詳しく書きましたのでそちらをぜひ参照してください。
▼参考:「SDガンダム三国伝」とさまよえる男性性
本来「人工知能の夢」の結晶として生まれたはずの「ロボット」がやがて知
性を失い、少年が操り大人と一緒に悪と戦うための道具になっていく(鉄人2
8号)、さらにそれは少年の成長願望のより直接的な受け皿となり乗り物=拡
張された身体になっていく(マジンガーZ)。そしてモビルスーツとは、そん
な拡張された身体による男性的成熟の仮構装置(乗り込むロボット)が、広く
社会一般に共有されている=軍隊の標準的な装備として普及しているという世
界観を表現していた。そう、戦後の文化空間はこの時点(70年代末)で、近
代的(男性的)自己実現は仮構されるもの(フィクション)としてしか成立し
ない、いやそれどころかそんな仮構装置が社会の根底をなすものとして存在し
ているという世界観(宇宙世紀)を産み出していたと言えるでしょう。
今回取り上げるのは「BB戦士SD三国伝シリーズ」の真・曹操ガンダムです。
いまでこそ小学生から大人まで楽しめるマニア向けアニメの代名詞になってい
る「ガンダム」シリーズですが、僕が小学生の頃は80年代の初代「ガンダ
ム」ブームは完全に過去のものになり、玩具(ガシャポン人形)やプラモデル
を中心に展開された「SDガンダム」シリーズによって、「ガンダム」に興味を
持つ男子が多かったように思えます。
「SD」とはスーパーディフォルメの略で、イラストレーター・キャラクター
デザイナーの横井孝二氏などを中心に「ガンダム」シリーズに登場するロボッ
ト(モビルスーツ)が2~3頭身にデザインし直され、より親しみやすいキャ
ラクターとして商品化され、人気を博していました。
このSDガンダムはそのデザインコンセプトから明らかなように、これまでは
小学校中学年~二十代を主な対象にしてきた「ガンダム」シリーズを、未就学
児童から小学生を対象にした児童向けホビーカルチャーとして展開し直すため
の企画だったと思われます。その商品情報や漫画連載が今は亡き講談社の児童
誌「コミックボンボン」(小学館「コロコロコミック」のライバル雑誌……と
いう位置づけだった)を舞台に展開されたことからもそれは明らかです。
これはよくよく考えてみると結構面白い話で、初代「ガンダム」が児童向け
の玩具販促番組だった当時のロボットアニメをティーン向けの作品に引き上げ
るというコンセプトをもっていたのに対して、「SDガンダム」シリーズはその
逆をやっているということになります。
日本のロボットアニメの歴史とは、端的に述べれば「ロボット」が「乗り
物」になっていくまでの歴史だと(ある時期までは)まとめることができます。
ここについては集英社のウェブ文芸誌「レンザブロー」の不定期連載「政治と
文学の再設定」で詳しく書きましたのでそちらをぜひ参照してください。
▼参考:「SDガンダム三国伝」とさまよえる男性性
本来「人工知能の夢」の結晶として生まれたはずの「ロボット」がやがて知
性を失い、少年が操り大人と一緒に悪と戦うための道具になっていく(鉄人2
8号)、さらにそれは少年の成長願望のより直接的な受け皿となり乗り物=拡
張された身体になっていく(マジンガーZ)。そしてモビルスーツとは、そん
な拡張された身体による男性的成熟の仮構装置(乗り込むロボット)が、広く
社会一般に共有されている=軍隊の標準的な装備として普及しているという世
界観を表現していた。そう、戦後の文化空間はこの時点(70年代末)で、近
代的(男性的)自己実現は仮構されるもの(フィクション)としてしか成立し
ない、いやそれどころかそんな仮構装置が社会の根底をなすものとして存在し
ているという世界観(宇宙世紀)を産み出していたと言えるでしょう。
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