ロボットクリエイターの近藤那央さんが、新しいロボットのかたち「ネオアニマ」が実現する社会について考察する連載「ネオアニマ」。第3回は、都市におけるネオアニマとの生活をシミュレーションしていきます。もしも朝起きて、ネオアニマが隣にいたら、果たしてどんな一日になるでしょうか?
第2回では、都市に代表されるような現代社会においては、人がたくさんいて、便利な機械が自分たちの生活を楽にしているのにもかかわらず、市民は孤独を感じているという問題を指摘したうえで、人間にとって便利なことはしないが自律的に“いきもの”らしく振舞っているネオアニマがいることで、無機質な都市、現代社会に自然と暖かさを持ち込めるのではないか……という話をしました。
そこで、今回は私が今「ネオアニマ」について具体的に構想しているいくつかのアイディアを、イラストや写真とともに説明していきたいと思います。多くの話が今日の技術レベルでは実現できないものではありますが、こういった未来の話を想像するときは、あえて現実の枠を外してSF的に考えてみることが重要だと思っています。実際ネオアニマの製作では、最初はなるべく自由に考え、後からそれを実現するために主に技術の点でどのようにするか考えるようにしています。こうすることで、従来のロボット像にとらわれないネオアニマという存在を作る事ができると考えています。
ネオアニマがいる日常
ではまず、ネオアニマがいる世界を朝起きてから順に想像してみましょう。私のベッドには様々な人形がいて、みんなスヤスヤ一緒に寝ていますが、実はその人形たちはネオアニマです。私は寝起きが悪いので、おそらく彼らが私の顔の上に乗るでもして起こしてくれるでしょう。柔らかなクラゲのようなカサをつけた寝室のライトもネオアニマ で、カサの形を自在に変えることで、光量や光の方向を決めていたら面白いです。徐々に朝日が登るように、だんだんと明かりがゆらゆらとついてくるのも心地よいかもしれません。
リビングに出ると、様々な姿形のネオアニマがまだ寝ていたり、起きてじゃれ合っていたりします。彼らは別に、寝ている間に家事をしてくれているわけではありませんが、そこにいるだけで、複数のいきものとの豊かな生活が感じられるはずです。
前庭の道端に夜道を照らすため置いてあるライトは、ただのライトと思いきや、うにゅうにゅと動くネオアニマ 。顔や手はなく、ナマコやウミウシのような容貌です。夜に誰かが通るときは、協力して道を照らしたり、ウェーブのような光のうごきをつくってくれたりしたら、こちらが勝手に感情移入してしまうでしょう。
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