鷹鳥屋明さんの連載『中東で一番有名な日本人』。今回はサウジアラビアからのレポートです。同国では近年、女性の社会進出や文化開放が進み、観光ビジネスやアート事業が目覚ましい発展を遂げています。鷹鳥屋さんがサウジ滞在中に発生した空港テロと、ホルムズ海峡でのタンカー襲撃事件の現地報道についても語ります。
改革開放が進むサウジとアラブ首長国連邦の今後の優位性
先週、サウジアラビア、アラブ首長国連邦とオマーンに出張した際に、様々な都市を定点観測しているのですが、一時期大きな話題になっていたサウジアラビアのリヤドの街中で女性ドライバーを多く見かけるようになりましたし、女性が女友達だけで夜に遊びに出歩くことも多くなりました。サウジアラビアの方々に聞いてみても大変良い流れである、という人もいれば、時代の流れと割り切る人もいれば、やはりこの流れをあまりよく思わない層もいるようです。ただ若年層の多くはやはりこの動きを広く支持しているようです。
▲リヤドのモール内を髪を出して歩く西洋人女性
さらに男女別の席ではありつつも、野外のイベントにて仮設テントなど野外のドームで音楽演奏を楽しむというイベントも行われるようになっておりました。
数年前では考えられなかった様子が日常的になりつつあることに外国人である我々だけではなく、アラブ人の方々でもここ最近大きく変わったなぁという認識があるようです。
▲サウジ、リヤドにて野外のドーム音楽イベントを楽しむサウジ男女
さて、ここで問題になるのは、サウジアラビアの改革開放が進むと元々中東諸国の中で人の流れと貿易に対して寛容でハブとして機能していたアラブ首長国連邦のドバイのような都市の優位性が低下してしまいます。かつてこのような野外イベントや映像、音楽、ゲームイベントは多くがドバイやアブダビ、クウェートなどで行われていました。そのため多くのサウジ人が、それも数千人、時には万単位でイベントに参加をしておりましたが、サウジアラビアの国内各都市で行われている類似のイベントにそれらの多くが吸収されているという現象が起きています。実際記事で何度か取り上げたドバイコミコンの来場者数が年々減少しており、代わりにサウジコミコン、コミコン・アラビアや各種アニメ、ゲームイベント、映画館の上映に伴うイベントなどが次々とサウジアラビアのエンターテイメント庁(通称、娯楽庁)主導で行われています。今までこれらイベントの多くがサウジアラビア外部の国々で行われており、それらイベントに伴う各種売上などの海外に落ちていた分がサウジアラビア国内で消費されるように誘導していると言えます。
▲サウジアラビアのゲームセンターで遊ぶ若者たち
▲「サウジを世界有数のエンタメの中心とする」、と語る娯楽庁トルキー長官(©SPA)
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