宇野常寛が火曜日のキャスターを担当する番組「NewsX」(dTVチャンネル・ひかりTVチャンネル+にて放送中)の書き起こしをお届けします。12月11日に放送されたvol.14のテーマは「アンドロイドからネオアニマへ」。愛玩ロボット「ネオアニマ」の開発者である近藤那央さんをゲストに迎え、従来の〈人間の代替物〉としてのロボット像を乗り越えた先にある、自然の生き物の存在感を抽出した新しいロボットのあり方について考えます。(構成:籔 和馬)
☆PLANETSチャンネルでのNewsXアーカイブ動画に関するお知らせ
2019年1月以降、NewsXのアーカイブ動画は、本チャンネルではアップされないことになりました。
番組は、ぜひdTVチャンネルで【リアルタイムご視聴を】お願いします!
詳しいご登録方法はこちらのページに掲載しています。
書き起こし記事は継続して配信して参りますので、ぜひお読みいただけると幸いです。
宇野常寛 News X vol.15 「アンドロイドからネオアニマへ」
2018年12月11日放送
ゲスト:近藤那央
アシスタント:加藤るみ(タレント)
宇野常寛の担当する「NewsX」火曜日は毎週22:00より、dTVチャンネルで生放送中です。
番組公式ページ
dTVチャンネルで視聴するための詳細はこちら。 なお、弊社オンラインサロン「PLANETS CLUB」では、放送後1週間後にアーカイブ動画を会員限定でアップしています。
若きアーティストが提示する、愛玩としてのロボット
加藤 NewsX火曜日、今日のゲストはロボットアーティスト、近藤那央さんです。まず宇野さんと近藤さんが出会ったきっかけを教えていただけますか?
宇野 DMM.make AKIBAという、日本のメイカーズやハードウェアスタートアップのシェアオフィスをいろいろと取材していたときに、おもしろい女の子がいるという噂は聞いていました。それで、うちのスタッフにたまたま近藤さんの大学時代の友達がいて、『PLANETS vol.10』で取材をしたんですよ。近藤さんはアメリカのシリコンバレーで活動をしていて、ちょうど帰国のタイミングでこの番組に出てもらうといいかなと思って、今回は来てもらいました。
加藤 近藤那央さんとのトークなんですが、テーマは「アンドロイドからネオアニマへ」です。宇野さん、このテーマに設定した理由は何ですか?
宇野 単純に「ネオアニマ」は彼女がつくっているロボットのコンセプトなんだよね。このコンセプトが、そのまま彼女のこれからやりたいことや考えていることを体現しているんだよ。今日の話で、ネオアニマの実態とおもしろさが伝わるといいと思います。
加藤 今日も三つのキーワードでトークしていきます。まず「ペンギンロボット『もるペン!』」です。「もるペン!」とは何ですか?
近藤 「もるペン!」は、私たちがつくっているペンギンロボットの名前です。
近藤 最新の「もるペン!」ですね。
宇野 これは硬いの?
近藤 硬いですね。でも、ゴムと布を貼ってあるので弾力がある感じはあります。
加藤 パッと見たら、ふつうのペンギンかなと思うくらいリアリティがありますね。
近藤 ペンギンを間近で見たことがある人はあまりいないので、割とデフォルメしていてもペンギンに見えるんです。
加藤 子どもたちがいっぱい触っていますね。
近藤 これは去年の夏休みの時期にデパートの催事場で一ヶ月展示したときの動画です。
宇野 「もるペン!」はどのようなロボットなの?
近藤 これはもともと水中ロボットをつくりたいという興味から始まったプロジェクトなんです。たまたまいろんなところから声をかけていただいて、子ども向けに展示をしたらめちゃくちゃウケがよかったんですよ。動画からもわかるように、一対一ではなくて、複数人が一度に遊べるものなんです。
宇野 つまり愛玩用ということ?
近藤 羽ばたきによる推進方法が最初のテーマではありましたけど、現在のメインはそうですね。
宇野 観て楽しむ、触って楽しむことを目的にしたロボットなんだね。なにかのためのロボットではなくて、存在そのものを目的としているロボット。
近藤 そうですね。あとは技術研究としてやっているところもあります。
加藤 やっぱりロボットは男性が好むイメージがあるんですが、近藤さんがロボットに関心を持ったきっかけとかあるんですか?
近藤 ロボットというよりは機械に興味を持っていたんです。機械に興味を持ったきっかけは、小惑星探査機のはやぶさが帰ってきたときに、ネット中継を観ていて、とても綺麗だなと思って、それで工業系の高校に進学しました。機械の勉強をして、最初はずっと宇宙関係の研究をやっていたんですが、三年生のときに卒業研究でロボットを作ることにしました。
宇野 なんでロボットだったの?
近藤 ロボットは機械で勉強することのすベてを集めたものでもあるので、それで友達と話して、水中ロボットをやりたいねという話になって、チームでつくりました。技術的な興味で始めたんですが、どのようにしたら人間に自然に受け入れられるのかという興味に移っていきました。私はもともとロボットと関係が深いんです。昔からロボットと一緒に暮らしていたので、コミュニケーションロボットに対する考えがいろいろあったんですよ。
宇野 それはAIBOとか?
近藤 AIBOですね。AIBOを小学3〜4年ぐらいにときに親が買ってきたんです。最初はあまりその関連性を気にしていなかったんですが、よく考えてみると、そういう経験があったから、ロボットをもっと人間に楽しんでもらえるようにしたいという考え方になっていたんだと思います。
宇野 卒業研究でやったことを、人生前半のメインの仕事にしようとしているよね。そうなったきっかけは何かあったの?
近藤 卒業研究は普通はつくって終わりですが、とりあえず動いて泳いだものの、もっと改良すれば絶対によくなるところがあったんです。大学もすぐに受かったので、メンバーと一緒にもう一回つくり直すことになりました。つくり直そうとなったときに、他人に見せる機会があったので、その中で、ロボット自体が人の心を癒したり、人の気持ちを変える効果があるなと思ったので、そこがすごくおもしろいなと思いました。
コメント
コメントを書く