15ddecf7571e9dfc3d2b4f7d91d38c7054ef8d8f
香港の社会運動家・周庭(アグネス・チョウ)さんの連載『御宅女生的政治日常――香港で民主化運動をしている女子大生の日記』。香港民主化運動を描いたドキュメンタリー映画の上映会で、マレーシアを訪れた周庭さん。建国以来初となる政権交代が実現したばかりのマレーシアで、香港とは違った気風を持つ学生たちと交流を深めたようです。(翻訳:伯川星矢)

御宅女生的政治日常――香港で民主化運動をしている女子大生の日記
第21回 政権交代で再始動するマレーシアでの学生たちとの出会い

ちょうどマレーシアから香港に戻りました!

01e6891d9a1ed935ffb9a346b237cc799c138170

 今からちょうど4年前の9月28日は、警官隊がデモ隊に催涙弾を打った日です。
 今年の9月28日、わたしはマレーシアに渡り、映画の上映イベントやトークを準備していました。
 今回はマレーシアのFreedom Film Festival(以下FFF)のお誘いにより、「Joshua: Teenager vs. Superpower(邦題:ジョシュア:大国に抗った少年)」の上映イベントとワークショップに出席しました。
 本作はジョシュア・ウォンを中心に描いたドキュメンタリー映画で、彼が2011年に創立した学民思潮にはじまり、2016年に香港衆志のネイサン・ローの選挙助手をし、最後は当選にまでに至った経緯を記録したものになります。


▲「Joshua: Teenager vs. Superpower(邦題:ジョシュア:大国に抗った少年)」

 多くのFFF参加者は「ジョシュア」を通して、香港民主化運動についての理解を深めることができたと聞きました。現在の中国は、世界でもトップを争う大国でありながら、国内の人権状況などは、政府の情報封鎖によって明らかになっていない部分が多く存在します。
 香港は、中国の中でも比較的オープンで、多くの自由が保証されている地域です。ここはまさに中国共産党という巨大権力に立ち向かう最前線でもあります。
 だからこそ私は香港の状況を通じて、もっと多くの人に中国の問題についての、より深い認識を持ってもらいたい。そして、香港人による反独裁と基本的人権を求める活動を支持してもらいたいと思っています。


ca8be2c088f42da3ef7b2e94e9d00c1489cc2a4d■PLANETSチャンネルの月額会員になると…
入会月以降の記事を読むことができるようになります。
・PLANETSチャンネルの生放送動画アーカイブが視聴できます。

 イベントのとき、多くの観客から「なぜ15歳の頃から社会運動に興味を持ったのか」と質問されました。マレーシアは保守的な国で、若者の政治参加はあまり推奨されていないらしく、さらに「大学条例」には、学生の政治活動の参加を禁止する文言もありました。
 そのマレーシアが建国以来、六十数年ぶりとなる初の政権交代を果たし、多くの人がこの国に大きな転機が訪れていると感じています。それにともない学生の政治参加に対する政府の態度もやわらくなりましたが、表現の自由や、学生の学校運営への参加といった権利がどれだけ認められるかは、まだ未知数のままです。

 日本と少し似ているのが、マレーシア政府は現在、投票年齢を21歳から18歳に引き下げる活動を行なっていることで、これが若者が政治に関心を持つきっかけになることを期待しています。

5f167cbc68fdcf18921e597701a8bdb27bab92a4
▲マレーシアの現地メディアから取材を受けました

 今回はFFF以外にも、現地のマラヤ大学とマレーシア国立大学で行われた上映会と質問コーナーにも参加しました。マレー系・中華系を問わず、多くの若者が参加したくれたことが、とても嬉しかったです。
 マラヤ大学では在校生による校内案内があり、大きな校庭をとても羨ましいと感じました。香港は土地事情が厳しく、学校の敷地もあまり大きくないため、建物を高くすることでスペースを作ってきます。マレーシアの学生に香港の大学内の移動手段を聞かれて、車なのか自転車なのかで盛り上がっていたところに、「ほとんどが徒歩だよ(香港中文大学を除いて)」と答えて、びっくりされたときの顔は今でも覚えています。

d687975a5ed5a2537572371b65a097de43d163a8

7ec006caea480968884a3bcbcd05af56a9a9d946
▲『ジョシュア:大国に抗った少年』の上映会と質問の様子

 前々回の連載(参照)でお伝えした、中国からの独立を主張する香港民族党の強制運営停止が検討されている件について、約二週間前(9月24日)、正式に香港民族党は違法組織と見做され、運営停止となりました。
 これは1997年の香港返還以来、初めて行使された国家権力による違法組織認定です。いわゆる闇社会の組織(暴力団など)でも、運営を禁止された例はありません。
 今後、香港政府はさらに多くの政治組織を運営停止にするでしょうし、わたしが所属している香港衆志も、その対象にならないとは言えないでしょう。

8cb4718881aeee88372d4878557e1f30999b8311
▲上映会に参加した皆さんと記念撮影

(続く)

▼プロフィール
周 庭(Agnes CHOW)
1996年香港生まれ。社会活動家。17歳のときに学生運動組織「学民思潮」の中心メンバーの一員として雨傘運動に参加し、スポークスウーマンを担当。現在は香港浸会大学で国際政治学を学びながら、政党「香港衆志」の副秘書長を務める。

『御宅女生的政治日常――香港で民主化運動をしている女子大生の日記』これまでの連載はこちらのリンクから。
前回:御宅女生的政治日常――香港で民主化運動をしている女子大生の日記 第20回 ショートヘアと政治運動

チャンネル会員の皆様へ

PLANETSチャンネルを快適にお使いいただくための情報を、下記ページにて公開しています。
http://ch.nicovideo.jp/wakusei2nd/blomaga/ar848098
(1)メルマガを写真付きのレイアウトで読む方法について
(2)Gmail使用者の方へ、メルマガが届かない場合の対処法
(3)ニコ生放送のメール通知を停止する方法について
を解説していますので、新たに入会された方はぜひご覧ください。