編集者・ライターの僕・長谷川リョーが(ある情報を持っている)専門家ではなく深く思考をしている人々に話を伺っていくシリーズ『考えるを考える』。今回は、連続起業家であり、MINT株式会社 代表取締役の田村健太郎氏にお話を伺います。田村氏は、オンラインサロンのプラットフォーム「Synapse(シナプス)」を立ち上げ、 2017年2月にDMM.com(以下、DMM)へ会社ごと売却したのち、6月に退職。約8ヶ月の充電期間を経て、2018年3月に「応援してくれる人に感謝の気持ちをポイントで伝える」サービス「mint」を発表。昨今のオンラインサロンブームの分析から、mintを通じて構築したい「目の前の人をハッピーにする」非中央集権的な経済圏の全容まで、田村氏の思考に迫ります。(構成:小池真幸)
インドや中国のキャッシュレス社会に衝撃を受け、mintを構想
長谷川 まず、DMMを退職してからmintリリースにいたるまでの経緯についてお伺いできますか?
田村 DMMを辞めた時点では次に何をやるかは全く決めていなかったので、あてもなく海外を旅していました。まず最初にインドに行ったのですが、そこでキャッシュレス化が急速に進展している光景を目の当たりにして衝撃を受けたんです。国をあげて高額紙幣の廃止などを推進しており、電子決済システム「Paytm」がないと生活できない状態になっていました。中国では「Alipay」や「WeChat Pay」が普及しており、日本にもキャッシュレスの波が来るのは避けられないと直感したんです。
田村 また、同時期に仮想通貨も流行し始めており、個人的には特にイーサリアムに可能性を感じていました。それから2017年秋頃にトークン系のサービスをつくること決意し、プロダクトの構想を詰めて完成したのが、mintです。
長谷川 mintと同じようなサービスがインドや中国にあり、そのアイデアを輸入したということでしょうか?
田村 いえ、同様のサービスはありませんでした。強いて言うならWeChat Payに搭載されているミニプログラムを参考にしましたが、発想の原点は、Synapseで数多くのオンラインサロンを見てきたなかで、「ファンを増やしたい」といったニーズの高まりを肌で感じていたことです。
長谷川 思いついたアイデアをプロダクト化するタイミングはどうやって決めているのでしょうか?インフラが未整備だからこそ最新テクノロジーがスムーズに普及する「リープフロッグ現象」が起こる発展途上国もありますが、日本は既存の金融システムが強固だからこそ、キャッシュレス文化が根づきにくいと思いまして。Synapseもオンラインサロンがほとんど世に知られていなかった2012年にはじめられていますよね。
田村 適切なタイミングは頭で考えても分からないので、思いついたタイミングで着手しています。「これに懸ける」と決めて取り組めばいつかはヒットするはずなので、早めにスタートしてじっくりと取り組むべきです。
箕輪編集室の熱狂も、オンラインサロン市場はまだこれから
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