香港の社会運動家・周庭(アグネス・チョウ)さんの連載『御宅女生的政治日常――香港で民主化運動をしている女子大生の日記』。選挙活動を終えて、思い切って髪を短くした周庭さん。ショートヘアへの憧れはあったものの、選挙運動中はイメージ作りのために、思い通りの髪型や服装にはできなかったようです。(翻訳:伯川星矢)
御宅女生的政治日常――香港で民主化運動をしている女子大生の日記
第20回 ショートヘアと政治運動
これまでの連載で、みなさんに香港の様々な社会問題や、政府による弾圧についてお話をしてきました。実はここ数カ月、わたし自身にもいろんな出来事と変化がありました。ここまで重く難しいお話が続いていたので、今回は少しリラックスしたお話をしましょう。
まず最初に、わたしが下した大きな決断についてです。
わたし、ショートヘアにしました(笑)。
前回、髪を切ったのは去年の年末。選挙への出馬に向けて準備をしていた頃で、それゆえ短く切ることを避け、相当「大人っぽい」長さで整えて、パーマもかけましたが、数ヶ月くらい前から「そろそろ髪を切ろうかな」と考えていました。
▲髪を切る前、美容室にて。
実はずっとショートヘアにしてみたかったのです。理由はわたしが好きなタレントさんにショートの人が多いからで、そんな軽い感じなのです(笑)。西野七瀬や、平手友梨奈、渡邉理佐などのタレントさんがショートでめちゃかわいくて、それでわたしも短くしたい気持ちでいっぱいでした。外見的には彼女らに敵うことはありませんが……。
わたしは中学の頃はショートヘアでしたが、幼く見えるので選挙活動中は短くしませんでした。でも、今回はやっと「自由に」髪型を選ぶことができます!
わたしは西野七瀬のショート画像も何度も何度もGoogleで検索して、それから美容室に行くことを決心しました。
今のわたしの髪型は似合っていますか?(笑)
実際のところ、公人として生活の上では、さまざまな制限をかけられることがあります。
わたしの知名度はそれほど高くはありませんが、街中で声かけられることも多々あり、公の場では自分の言動に注意しないといけません。特に選挙活動中は第一印象に力を入れないといけないので、髪型から服装まで自分の「思い通り」にはできません。他人からの見え方、印象、宣伝対象、場所などを考えながらコーディネイトしています。
わたしは今、21歳で、社会運動歴も6年ありますが、やはり選挙への出馬は社会運動とは全く違っていて、服装や髪型の組み合わせには注意を払わないといけません。
それについては惜しむ人もいます、なぜなら21歳と言えばまだ青春真っ只中。今のうちにいろんなファッションやコーディネイトを楽しむべきだと言われます。しかし、政治に身を投じて公人となった以上、他人からの見え方には常に注意しないといけません。
では、わたしはそのことを惜しいと思っているのか?
思っているかもしれません。
でも、わたしが今やっていることは、本当に今しかできない仕事だと思います。広東語の諺で「塩漬け魚を食べるのなら喉の渇きに耐えなさい(意訳:仕事の厳しさに耐えられないなら、その仕事はやめよ)」とあるように、自分にその価値があったと思えれば、それで十分だと思います。
でも、選挙活動が終わった今なら、大人しい印象を保つ必要もないので、いろんなコーデを楽しむことができます。
実は一つ夢があって、若いうちにいろんな写真を撮られてみたいと考えています。実際はさまざまな制限があるものの、実現できればいいなと考えています(笑)。
▲貸し切りの路面電車で撮影
皆さんのご存知の通り、わたしは日本のアイドルが大好きです。
ここ数年最も気になっているのが乃木坂46と欅坂46で、毎週、彼女らの出演するバラエティ番組を追いかけ、曲もいつも聞いています。
彼女たち以外では「PRODUCE 48」を観ています、これは日本の48グループと韓国のテレビ局が組んだオーディション番組で、わたしは1回目の放送から毎週観ています。
最近、最終回を迎えたPRODUCE 48ですが、12人の選抜メンバーのうち3人が日本の48のメンバーでした。
これはわたしが初めてハマった韓国番組です。韓国語を習っているものの、韓国文化の流行や音楽、テレビ番組についてはあまり詳しくありません。でも、この番組はわたしにとって韓国を理解するためのきっかけになったと思います。
正直なところ、わたしは選出されたIZ*ONEのメンバーを少し残念だと感じていますが(リーダー格のお姉さんであるイ・カウンが選出されていなかったので……)、これからも彼女らの音楽と動向を追い続けたいと思います。
今は学業と立法会の政策研究業務を持っていますが、アニメとバラエティはわたしの生活に必要不可欠なので、アイドルやアニメ好きの方は、ぜひ声をかけて下さいね。
最後になりますが、最近、日本では多くの天災があり、命が失われ、家を失われ、多くの地域が停電と食料不足に苦しめられています。いつも通りの暮らしと建物の再建にはまだ時間がかかりそうです。香港にいるわたしは、祝福と募金以外皆さんの力にはなれませんが、皆さんのご無事を心よりお祈りいたします。
▲最近のデモ活動の様子
(続く)
▼プロフィール
周 庭(Agnes CHOW)
1996年香港生まれ。社会活動家。17歳のときに学生運動組織「学民思潮」の中心メンバーの一員として雨傘運動に参加し、スポークスウーマンを担当。現在は香港浸会大学で国際政治学を学びながら、政党「香港衆志」の副秘書長を務める。
『御宅女生的政治日常――香港で民主化運動をしている女子大生の日記』これまでの連載はこちらのリンクから。
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