『カーデザインは未来を描く』の著者である根津孝太さんが、今回は千葉県流山市で開催された「おおたかの森カーフェスティバル」のトークショーに参加されました。根津さんと話すのは、個人オーナーの自動車を数多く展示しているこのフェスティバルを主催した宮本修さん。自動車と人との関わりについて、クルマ好きのふたりが掘り下げます。(構成・写真:池田明季哉)
▲フェスティバルの様子。家族連れが多い。
▲子供が楽しめるフォトパネルも。
おおたかの森カーフェスティバルに漂う「いい空気」
宮本 まずフェスティバルに来ていただいた感想からお伺いします。どうですか?
根津 全体にすごく「いい空気」が漂っていますよね。僕はカーデザイナーなのですが、最近自動車というものが、愛してもらえる対象になっていないのではないかな、と思っているんです。でもここにいる車たちは、間違いなくオーナーさんに愛されている。それが素晴らしいですよね。
たとえばあちらに飾っているジープ・ラングラー、一見普通に見えるんですけど、よく見るとリフトしてあったり、ホイールが変わっていたり、かなり手が入っている。年数的には作られてから20年くらい経っているはずなのですが、今でもすっと乗れる状態になっていますよね。本当に大事にしているのだということが伝わってきます。
そこのシルバーのポルシェ911ターボもそうです。さっき僕が一方的にオーナーさんにラブコールを送って見せていただいていたんですが……いろいろなところを開けて欲しそうにじーっと見ていると、オーナーさんが開けてくれる、ということの繰り返しで笑。ドライバー席にも乗せていただきました。外装のグラフィックもすごくセンスがよくてかっこいいですよね。もともとは無地のシルバーだったところに、ご自分でデザインされたそうです。ポルシェマークを黒く塗っているところもこだわりを感じます。
宮本 930ターボは基本的にトランスミッションが4速なのですが、こちらは最終年式のみに設定された5速のもので、ファンには垂涎の個体ですね。あとは内装がすごく綺麗なんです。ダッシュボードが革張りなので日焼けすると歪んだりひび割れてしまいがちなのですが、丁寧に手入れをされていることが伝わってきますよね。
根津 やっぱりそうやって長く愛されている車は、時が経っても古くならないデザインが多い。ちゃんとキャラクターがあるんです。
▲ポルシェ・930ターボ。1989年式のターボは生産数が少なく希少な自動車。
▲オリジナルデザインのマーキング。中央のエンブレムが黒く塗られている。
▲サイドのマーキングも統一感がある。
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