平成仮面ライダーシリーズなどでおなじみ、脚本家・井上敏樹先生のエッセイ『男と×××』。小学生の頃、いじめの標的になっていた女の子。大学生になり、その子のことをすっかり忘れていた敏樹先生でしたが、アレルギーをきっかけに意外なかたちで再会を果たすことになります。
脚本家・井上敏樹エッセイ『男と×××』第29回「男とアレルギー2」【毎月末配信】
小学校の頃、クラスにあまりイケてないNという女の子がいた。美しくなく利口でなく不潔っぽい。だからみんなに苛められた。といっても肉体に苦痛を与える類の苛めではない。みんな上から目線でNを見下す、言わば視線系の苛めである。Nの家がまた貧しかった。おそらくは父親の手作りだと思われるが、トタン屋根のバラック小屋で暮らしていた。
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