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☆ メルマガPLANETS vol.23 ☆
~いつも応援してくれていますよね~
発行:PLANETS 2013.2.22 (毎週金曜日発行)
http://wakusei2nd.com
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こんにちは。PLANETS編集部・秘書A子です。
今週の金曜日も、「メルマガPLANETS」をお送り致します。
今日は、いきなりですが新刊の告知があります!
▽宇野常寛『日本文化の論点』,ちくま新書,2013
ちくま新書は1994年に創刊され、今年の2月刊行分で
通算1,000点を超えられたそうです!1,000点て凄い数字ですね……。
そして、記念すべき1,001点目の刊行物として、
『日本文化の論点』が発売されます。宇野の単著では初の新書!
「分かりやすくて・面白い」をコンセプトに書きました。
「『P8』、スゴく面白いのですが、批評の本て普段読まないので、
難しくて、ちびちび読んでいます……」というご意見も時折頂きますが
こちらの新書はとにかく「分かりやすくて・面白い」。
以下のようなトピックを扱っております。一部だけご紹介。
-マスからソーシャルへの地殻変動
-情報技術の生む新たな「中間のもの」
-人間をどのようなものとしてイメージするか
-新しいホワイトカラーと東京
-地理と文化とインターネット
-「夜の東京」を夢想する
-クールジャパン戦略会議
-二次創作のインフラと日本的想像力
-音楽ソフトはなぜ売れなくなったのか
-カラオケとJ‐POP
-ゲーミフィケーションと社会
-「反現実」とファンタジー
-「虚構の時代」の終わりと東日本大震災
-〈夜の世界〉から社会を変えるために
冒頭部分は短期集中連載していたので、皆さんご存じかと思いますが、
文体もエッセイ調で読みやすいので、
「なかなか忙しくて、じっくり本を読む時間が無い……」という方も
お気軽に手に取ってみて下さい。
来月、3月5日発売です!
あと、今週末は京都、週明けには東京でイベントがありますので、こちらもご紹介。
日曜日深夜は、久しぶりにLifeにも登場します!
2/24(日)14:30~18:30
「アカデミズムの使い方──越境する知と多様化するキャリアパス」@立命館大学
★大野光明さん、千葉雅也さん、西田亮介さんとディスカッションです!
http://www.r-gscefs.jp/?p=3461
2/24(日)25:00~28:00
「夜遊びのゆくえ」@文化系トークラジオLife
★速水健朗さん、西森路代さん、常見陽平さん、斎藤哲也さんらと共演です
http://www.tbsradio.jp/life/index.html
2/26(火)19:30~22:00
原宿シネマ『機動警察パトレイバー2 the Movie』@VACANT
★始まってますよ、とっくに…(チケットの発売が)。まだ予約は間に合います!
http://www.harajukucinema.com/movie/17.html
そんな感じで、
今号のコンテンツはこちら↓
┌───────────────────────────────┐
├○ メルマガPLANETS vol.23:2013.2.22
├○
├○ 01.【論点】宇野常寛 ★短期集中連載!!
├○ 日本文化の論点
├○ 第7回 音楽の快楽をどう語るか
├○
├○ 02.【人生相談】國分功一郎
├○ 哲学の先生と人生の話をしよう
├○ 第23回 「彼氏の仕事を応援することができません」
├○
├○ 03.【ルポタージュ】カリホリ
├○ テレビでは言えない話
├○ 第23回 「紙に拘っていたら死んでしまうよ」
├○
├○ 04.【インタビュー】この人のこの話がききたい
├○ 2月のこの人:與那覇潤さん
├○ 第4回 リベラル/アンリベラル、中国化/再江戸化
├○
├○ 05.【ルポタージュ】稲垣知郎+濱野智史
├○ ちろうのAKB体験記
├○ 第8回 メジャーデビュー、初めての握手会
├○
├○ 06.【過去原稿】今週のお蔵出し
├○ 2/22のお蔵出し:夢の共演映画から考える、特撮モノの歴史と未来
├○ (初出:「サイゾー」2012年6月号)
├○
├○ 07.【研究と探訪】小人論 ――暴走する片思いのメカニズム
├○ 第17回 既婚[小人]の精神分析
├○
├○ 08.【クロスレビュー】今週の映画批評 PLANETS映画チーム
├○ 2/22の映画:『世界にひとつのプレイブック』
├○
├○ 09.【告知】今週のスケジュール
├○
├○ 10. 編集後記&次回予告
├○
└───────────────────────────────┘
※一部の連載記事については、
「メルマガPLANETS vol.22」からの続きとなっております。
▼「vol.22」へのリンクはこちらです。
http://ch.nicovideo.jp/wakusei2nd/blomaga/ar114018
未読の方は併せてお楽しみ下さい。
┏┓----------------------------------------------------------
┗■ 01.【論点】日本文化の論点 ★短期集中連載!!
宇野常寛
---------------------------------------------------------------
情報化の進行は旧来の=20世紀的な文化論を過去のものにした――。
私たちは今、何を欲望し何に魅せられ、そして何を想像/創造しているのか。
現代日本の〈文化〉を考えることで、人間と情報、人間と記号、そして社会とのあたらしい関係を考える。
---------------------------------------------------------------
▼本コンテンツは連載です。前回記事はこちら
http://ch.nicovideo.jp/wakusei2nd/blomaga/ar114018
第7回 音楽の快楽をどう語るか
僕の知人の若い映画監督(入江悠)が、あるインディーズ作品(『SR サイタマノラッパー』)が評価され、新宿の大きなシネマコンプレックスで、一日一回のレイトショーで上映されることになったことがあります。最初の何日かは客入りが好調だったのだけど、ある日まったく客が入らない日があった。何事かと思って調べてみると、その日同じシネコンでサッカーのワールドカップの日本代表戦をライブ中継していたことがわかった。「いくらいい映画を撮っても、これでは勝ち目がないと思った。だってこの試合はその日しかやっていない。でも、僕の映画は明日もまったく同じものが上映されるんですから」と僕にこの話をしながら監督は苦笑していました。彼は「映画の敵はもう映画じゃないんですね」とも述べていました。妥当な認識だと思います。
そしてこの問題は、前述した音楽ソフトの消費形態の問題と相似形をなしている。現代の音楽市場は、アイドル、ヴィジュアル系、アニメソング、ボーカロイドでおそらくはその五割以上が占められていると思われます。そして、これらの音楽は従来の音楽ジャーナリズムと音楽ファンから、楽曲に付加価値(キャラクターの魅力)を与えてソフト販売を伸ばしている、と批判されることが多い。そしてこの批判はこれらの音楽の楽曲への批判にまで結びついている。(先日も、有名な音楽雑誌の編集長が「アイドルの楽曲にはソウルやアチチュードを語れない」と発言し、逆にその狭い見識が批判を集めていました。)
おそらく、アイドルやV系バンドの楽曲だけを単体で批評していい/悪いを論じることにほとんど意味はない。この種の楽曲はアイドルやバンドメンバーのキャラクターを消費する総合的な体験の一部でしかなく、だとすると楽曲がその体験の中でどう作用しているのかを論じるという視点や、そのアイドルを応援する(消費する)という総合的な体験を論じるという視点がないと意味がないことになる。同じことがアニメソングやボーカロイドの楽曲にも言える。「初音ミク」などのボーカロイドの楽曲は今や、小説、イラスト、漫画などの二次創作を生み出していますが、こうした二次創作への欲望を喚起するインターフェイスとしてのボーカロイド曲、という側面を捉えることなくその楽曲のみを、しかも従来の音楽批評の手法で論じることには、ほとんど意味がないのではないかと思います。
情報環境の変化は「聴く」という体験を大きく変えている。そして人間と音楽との関係性をも大きく書き替えている。こうしたキャラクター的音楽の存在感の爆発的拡大は、この変化を背景にしているものです。しかし残念ながらオールドタイプの音楽消費に親しんでいればいるほど、この変化に鈍感な人が多いのが現実です。そして僕はこういった二〇世紀的な「音楽」観を絶対視して、現代のキャラクター音楽が主流となった音楽市場を批判する人たちや、彼らの勧めるものに、あまり興味をもつことができません。それは「聴く」という体験を、自分たちの世界観を壊さないためにものすごく狭くとらえているようにしか思えないからです。
これは余談ですが、僕が中高生くらいの頃までは、サブカルチャーが好きということはそのまま音楽が好きということを意味していました。洋楽を中心とした音楽が王様で、映画や漫画や小説はそのサブジャンルというイメージだったんですね。
けれど、僕が社会人になるくらいにはインターネットカルチャーやオタク文化が文化好きの若者の関心の中心になっていき、音楽は玉座から転がり落ちていった。この変化の背景には単なるジャンルの流行りすたり以上の、大きくて決定的な変化、人間と情報との関係の変化があることを忘れてはならないと思います。
┏┓----------------------------------------------------------
┗■ 02.【人生相談】哲学の先生と人生の話をしよう
國分功一郎(哲学者)
---------------------------------------------------------------
「〈哲学〉とはすなわち〈人生論〉でなければならない……!」
そんな確信を抱く哲学者・國分功一郎が恋愛・就職・家族・自己表現……
あらゆる悩みに正面から、そして哲学的にこたえる人生相談です。
---------------------------------------------------------------
第23回
「彼氏の仕事を応援することができません」
相談者:アクアマリンさん(東京都・39歳女性・自営業)
Q.
國分先生、はじめまして。
格好悪い話ですが、ご意見頂ければ幸いです。
私には付き合って3か月になる恋人がいます。
そこそこ名の知れた企業の会社員ですが、知り合った当初から
「会社の中だけで終わるような人間にはなりたくない。
そのために会社の仕事とは別に事業を立ち上げて頑張っている」
という、男のロマン的な壮大な話を聞かされていました。
ただ、その事業の内容についてははっきりと聞かされていませんでした。
しかし付き合いが進むにつれ、色々と彼の行動に不信感を抱くようになり
問い詰めた所、その事業が某海外ブランドのネットワークビジネスであることを打ち明けられました。
ネットワークビジネス…と言えば聞こえはいいですが、
早い話がマルチ商法。試しにその会社のHPを見てみると
「毎週20%のコミッションが支払われる」「新たな会員を育てればあなたの収入もアップする」
他にも、特別ボーナス・豪華旅行・車などの高額賞品・・・
出るわ出るわ、胡散臭い誘い文句のオンパレード。
やっている本人も「ネズミ講みたいなもんだ」と、あっけらかんと言い放つ始末。
それが「男のロマン」なのだとしたら、なんて小っちゃいもんなんだろうと
ショックというより、情けなさでいっぱいの気持ちになりました。
彼は私にその会社の商品を買わせたり、会員にさせたりするつもりはないようで、
私自身も「一切関わる気はない」と言い放ってあります。
ただ彼は、「この仕事に懸けている。理解してほしい」と言います。
そう言う彼がやっている仕事について「理解」はしましたが
理解をした上で、「賛成」することはどうしてもできません。
出来る事なら止めて欲しいし、必死で阻止したいところですが
その道に詳しい方に聞いても、マルチに嵌っている人の洗脳を解くのは
本人が大損でもして気づかない限り難しいと言います。
こんな怪しい仕事をするような彼とは早い段階で別れてしまった方が
得策なのでしょうが、マルチをやっているという部分を除けば良い相手ですし、
私も年齢が年齢なので、出産の事などを考えると
どんなに小さな縁でも逃したくないという思いがあります。
ただ、いくら私の事は大切にしてくれるとは言え
金儲けのために、どこかの誰かを欺くような事をしているのか・・・
そんな事実を知っていながら笑って過ごしていていいのだろうか・・・
という後ろめたい気持ちは拭うことはできません。
説明が長くなりましたが、先生にお尋ねしたいのは
相手にわずかでも不信感を抱きながらの付き合いは
遠くないうちに歪みが生じ、破綻を招くするものなのかどうか。
また男性の立場から見て、自分の仕事に対して
理解を示さない、応援する気がないパートナーとは
関係を続けることは難しい事なのでしょうか、という事です。
よろしくお願いいたします。
A.
ご相談をお寄せいただきありがとうございます。
非常にセンシティヴな相談内容だと思います。しかし、アクアマリンさんの中ではほとんど答えは出ていて、いまは誰かに背中を押してもらいたい……そういうお気持ちなのではないかとご相談の文面を読みながら考えました。
「相手にわずかでも不信感を抱きながらの付き合いは、遠くないうちに歪みが生じ、破綻を招くするものなのかどうか。」
はい。アクアマリンさんがこのように正確に記述している通りであろうと思います。不信感を抱きながらの付き合いは、遠くないうちに歪みを生じるでしょう。
ですが、ここで一点付け加えなければなりません。歪みが「破綻」へと向かうのならば、それはむしろ幸運である。歪みを抱えたまま、歪んだ状態が続いていく可能性こそが最も恐ろしい、ということです。
革命家だったらこんな風に説明するかもしれません。
……資本主義は矛盾を抱えており、矛盾の堆積はいつか革命を引き起こす。しかし、もしかしたら社会は、矛盾に対する対応策をあれこれと捻出し、矛盾を、その悪質な搾取・抑圧機能はそのままに、しかし決定的な効果はもたない状態で維持するかもしれない。そうなると、矛盾はそのまま維持されていているのに、いっこうに革命は到来せず、搾取と抑圧の止まない社会が続いていくことになる。しかも、社会はある程度その矛盾、すなわち搾取と抑圧に対する対応策を捻出しているから、人々のつらさは、相当なものでこそあれ、許容不可能な程度には達しない。人々はつらいけれども、そのつらさを我慢して、耐えてしまう……。
革命家だったらここで、「階級意識の外部注入が必要だ」となります。彼らに、自分たちが被搾取階級であることを意識させねばならない!となるわけです。
さて、僕が恐れるのは、アクアマリンさんが、「小さな縁を逃したくない」という気持ちから、このような状態に陥ってしまうことです。アクアマリンさんは、既に「破綻」の可能性を考えていらっしゃる。ということは、この「歪み」を相当に現実的なものとして予感されているということです。これは相当深刻に受け止める必要があると思います。
更に気になるのは、アクアマリンさんが子作りを考えていらっしゃることです。もし歪みを抱えたまま、しかし破綻を迎えずにこの計画が実現しまうと、アクアマリンさんは、〈革命も起こらないが矛盾も解消していない社会〉をお子さんと一緒に耐えなければならないことになるのではないでしょうか?
アクアマリンさんだけならばいいです。自分で選んだ責任もありますから。しかし、親は自らが堪え忍ぶ矛盾を必ず子に向けます。絶対にそうします。すると、アクアマリンさんが既に現実のものとして感じている「歪み」は、子にそのまま向かっていくことになるでしょう。僕はこれが本当に恐ろしい。
もう一つ、アクアマリンさんは、「自分の仕事に対して理解を示さない、応援する気がないパートナーとは関係を続けることは難しい事なのか」という質問もなさっています。
こういう質問をなさること自体が、何事かを意味しています。つまり、アクアマリンさんは既に相手の男性から、そのような対応を受けているのではないでしょうか?
「ネットワークビジネス」なるマルチ商法にどっぷり浸かっていて、「会社の中だけで終わるような人間にはなりたくない。そのために会社の仕事とは別に事業を立ち上げて頑張っている」とか口にしてしまうような男が、交際中の女性からそのことにドン引きされたら、普通は「あいつは俺のことが分かっていない」という気持ちになりますよね?
アクアマリンさんは既にその男性から、「いま自分が人生をかけているこのマルチ商法に理解を示さないあいつは、そもそも俺を応援する気がないんだ」という無言のメッセージを受け取っているのではないですか? 「男性の立場から見て、自分の仕事に対して理解を示さない、応援する気がないパートナーとは関係を続けることは難しい事なのでしょうか」と書かれた時の「男性の立場」とは、その男性が既にとっている「態度(=立場)」を指していたのではないですか?
僕が冒頭で、いまアクアマリンさんは誰かに背中を押してもらいたい気持ちではないかと書いたのはこういう意味です。
現実的なものとして予想される歪み、そして現実に目の前にある相手の対応。もうアクアマリンさんの心は決まっているのではないですか?
「これはマズいかもしれない……」という気持ちで何かをすることは、一生の後悔を生み出します。これはどんな小さいことについてもそうです。
さて、こうしてお答えしてきたものの、これだけではアクアマリンさんの悩みに答えたことにはなりませんね。相談を読みながら、アクアマリンさんが結婚や子作りに関して、年齢の点から大変焦っていらっしゃることがよく分かりました。これは本当に重大な悩みであると思います。僕も何度か同じ相談を受けたことがあります。そのことについて、そのたびにいろいろと考えてきました。
今の僕の考えはこうです。今で言うところの「婚活」、昔のお見合い、そういったものを恥ずかしがることは全くないということです。もしも焦っていらっしゃるのなら、そういったやり方を一つの可能性として考えてみてください。
よい結婚相手との出会いなんて、はっきりいって僥倖としてしかやってきません。運命の出会いなんてのは、ほとんどないんです。だからこそ、昔の人たちはその場を用意しようとした。それがお見合いです。
僕はお見合いをかつてのように盛んに行うべきだという立場です。別にみんなが結婚しろなんて全く思いません。女の人に「そろそろお嫁にいかないとね」なんてプレッシャーを与えるヤツはくそくらえだ。しかし、結婚したい人がいるのにそれが完全に運命任せなのはおかしい。
アクアマリンさんはお仕事もなさっているようですので、これは単なる一般論として聞いていただきたいのですが、今の社会は、「責任をもった主体が一人で自分の生活をすべて維持する」というモデルにあまりに強く依拠しています。しかし、様々な理由からそれができない人はたくさんいるのです。ならば、誰かと助け合って生きていく際のモデルの一つとして、結婚があってもいい。そして、そのモデルを利用したいのにできない人がいるのなら、やはり社会がきちんと助力すべきではないか。
まだそうした助力はきちんとなされてはいませんが、手助けしてくれる人はいるはずです。アクアマリンさん、よい出会いがないこと、これまでなかったことは、少しも変なことではありません。ですから、出会いを組織する場を恐れず、積極的に活用してください。
國分功一郎
【人生相談募集!】
「人生に悩んでいる」「何となく毎日気が晴れない」「『暇と退屈の倫理学』が面白すぎてつらい」「悩みとは違うんだけど、このことを國分さんに訊いてみたい!」――
國分功一郎先生に人生相談をしてみませんか?
編集部では、800字程度の相談を随時募集しています。
ご希望の方は、お住まいの都道府県・年齢・性別・職業・ペンネーム等をお書き添えの上、
wakusei2nd.biz@gmail.com「人生相談係」までご連絡下さい。
皆さまからのご相談、お待ちしております!
▼執筆者プロフィール
國分功一郎
1974年生まれ。哲学者、高崎経済大学経済学部准教授。
著書に『暇と退屈の倫理学』(朝日出版社)など。
http://ameblo.jp/philosophysells
https://twitter.com/lethal_notion
┏┓----------------------------------------------------------
┗■ 03.【エッセイ】テレビでは言えない話
カリホリ(ジャーナリスト)
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マスメディアとソーシャルメディア、「放送と通信の融合」、
そしてパブリック・アクセス……激変する情報環境の最先端を
覆面ジャーナリスト!?「カリホリ」が、L.A.から発信!
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▼本コンテンツは連載です。前回記事はこちら
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第23回 「紙に拘っていたら死んでしまうよ」
☆ メルマガPLANETS vol.23 ☆
~いつも応援してくれていますよね~
発行:PLANETS 2013.2.22 (毎週金曜日発行)
http://wakusei2nd.com
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こんにちは。PLANETS編集部・秘書A子です。
今週の金曜日も、「メルマガPLANETS」をお送り致します。
今日は、いきなりですが新刊の告知があります!
▽宇野常寛『日本文化の論点』,ちくま新書,2013
ちくま新書は1994年に創刊され、今年の2月刊行分で
通算1,000点を超えられたそうです!1,000点て凄い数字ですね……。
そして、記念すべき1,001点目の刊行物として、
『日本文化の論点』が発売されます。宇野の単著では初の新書!
「分かりやすくて・面白い」をコンセプトに書きました。
「『P8』、スゴく面白いのですが、批評の本て普段読まないので、
難しくて、ちびちび読んでいます……」というご意見も時折頂きますが
こちらの新書はとにかく「分かりやすくて・面白い」。
以下のようなトピックを扱っております。一部だけご紹介。
-マスからソーシャルへの地殻変動
-情報技術の生む新たな「中間のもの」
-人間をどのようなものとしてイメージするか
-新しいホワイトカラーと東京
-地理と文化とインターネット
-「夜の東京」を夢想する
-クールジャパン戦略会議
-二次創作のインフラと日本的想像力
-音楽ソフトはなぜ売れなくなったのか
-カラオケとJ‐POP
-ゲーミフィケーションと社会
-「反現実」とファンタジー
-「虚構の時代」の終わりと東日本大震災
-〈夜の世界〉から社会を変えるために
冒頭部分は短期集中連載していたので、皆さんご存じかと思いますが、
文体もエッセイ調で読みやすいので、
「なかなか忙しくて、じっくり本を読む時間が無い……」という方も
お気軽に手に取ってみて下さい。
来月、3月5日発売です!
あと、今週末は京都、週明けには東京でイベントがありますので、こちらもご紹介。
日曜日深夜は、久しぶりにLifeにも登場します!
2/24(日)14:30~18:30
「アカデミズムの使い方──越境する知と多様化するキャリアパス」@立命館大学
★大野光明さん、千葉雅也さん、西田亮介さんとディスカッションです!
http://www.r-gscefs.jp/?p=3461
2/24(日)25:00~28:00
「夜遊びのゆくえ」@文化系トークラジオLife
★速水健朗さん、西森路代さん、常見陽平さん、斎藤哲也さんらと共演です
http://www.tbsradio.jp/life/index.html
2/26(火)19:30~22:00
原宿シネマ『機動警察パトレイバー2 the Movie』@VACANT
★始まってますよ、とっくに…(チケットの発売が)。まだ予約は間に合います!
http://www.harajukucinema.com/movie/17.html
そんな感じで、
今号のコンテンツはこちら↓
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├○ メルマガPLANETS vol.23:2013.2.22
├○
├○ 01.【論点】宇野常寛 ★短期集中連載!!
├○ 日本文化の論点
├○ 第7回 音楽の快楽をどう語るか
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├○ 02.【人生相談】國分功一郎
├○ 哲学の先生と人生の話をしよう
├○ 第23回 「彼氏の仕事を応援することができません」
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├○ 03.【ルポタージュ】カリホリ
├○ テレビでは言えない話
├○ 第23回 「紙に拘っていたら死んでしまうよ」
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├○ 04.【インタビュー】この人のこの話がききたい
├○ 2月のこの人:與那覇潤さん
├○ 第4回 リベラル/アンリベラル、中国化/再江戸化
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├○ 05.【ルポタージュ】稲垣知郎+濱野智史
├○ ちろうのAKB体験記
├○ 第8回 メジャーデビュー、初めての握手会
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├○ 06.【過去原稿】今週のお蔵出し
├○ 2/22のお蔵出し:夢の共演映画から考える、特撮モノの歴史と未来
├○ (初出:「サイゾー」2012年6月号)
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├○ 07.【研究と探訪】小人論 ――暴走する片思いのメカニズム
├○ 第17回 既婚[小人]の精神分析
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├○ 2/22の映画:『世界にひとつのプレイブック』
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├○ 09.【告知】今週のスケジュール
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├○ 10. 編集後記&次回予告
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※一部の連載記事については、
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未読の方は併せてお楽しみ下さい。
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┗■ 01.【論点】日本文化の論点 ★短期集中連載!!
宇野常寛
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情報化の進行は旧来の=20世紀的な文化論を過去のものにした――。
私たちは今、何を欲望し何に魅せられ、そして何を想像/創造しているのか。
現代日本の〈文化〉を考えることで、人間と情報、人間と記号、そして社会とのあたらしい関係を考える。
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▼本コンテンツは連載です。前回記事はこちら
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第7回 音楽の快楽をどう語るか
僕の知人の若い映画監督(入江悠)が、あるインディーズ作品(『SR サイタマノラッパー』)が評価され、新宿の大きなシネマコンプレックスで、一日一回のレイトショーで上映されることになったことがあります。最初の何日かは客入りが好調だったのだけど、ある日まったく客が入らない日があった。何事かと思って調べてみると、その日同じシネコンでサッカーのワールドカップの日本代表戦をライブ中継していたことがわかった。「いくらいい映画を撮っても、これでは勝ち目がないと思った。だってこの試合はその日しかやっていない。でも、僕の映画は明日もまったく同じものが上映されるんですから」と僕にこの話をしながら監督は苦笑していました。彼は「映画の敵はもう映画じゃないんですね」とも述べていました。妥当な認識だと思います。
そしてこの問題は、前述した音楽ソフトの消費形態の問題と相似形をなしている。現代の音楽市場は、アイドル、ヴィジュアル系、アニメソング、ボーカロイドでおそらくはその五割以上が占められていると思われます。そして、これらの音楽は従来の音楽ジャーナリズムと音楽ファンから、楽曲に付加価値(キャラクターの魅力)を与えてソフト販売を伸ばしている、と批判されることが多い。そしてこの批判はこれらの音楽の楽曲への批判にまで結びついている。(先日も、有名な音楽雑誌の編集長が「アイドルの楽曲にはソウルやアチチュードを語れない」と発言し、逆にその狭い見識が批判を集めていました。)
おそらく、アイドルやV系バンドの楽曲だけを単体で批評していい/悪いを論じることにほとんど意味はない。この種の楽曲はアイドルやバンドメンバーのキャラクターを消費する総合的な体験の一部でしかなく、だとすると楽曲がその体験の中でどう作用しているのかを論じるという視点や、そのアイドルを応援する(消費する)という総合的な体験を論じるという視点がないと意味がないことになる。同じことがアニメソングやボーカロイドの楽曲にも言える。「初音ミク」などのボーカロイドの楽曲は今や、小説、イラスト、漫画などの二次創作を生み出していますが、こうした二次創作への欲望を喚起するインターフェイスとしてのボーカロイド曲、という側面を捉えることなくその楽曲のみを、しかも従来の音楽批評の手法で論じることには、ほとんど意味がないのではないかと思います。
情報環境の変化は「聴く」という体験を大きく変えている。そして人間と音楽との関係性をも大きく書き替えている。こうしたキャラクター的音楽の存在感の爆発的拡大は、この変化を背景にしているものです。しかし残念ながらオールドタイプの音楽消費に親しんでいればいるほど、この変化に鈍感な人が多いのが現実です。そして僕はこういった二〇世紀的な「音楽」観を絶対視して、現代のキャラクター音楽が主流となった音楽市場を批判する人たちや、彼らの勧めるものに、あまり興味をもつことができません。それは「聴く」という体験を、自分たちの世界観を壊さないためにものすごく狭くとらえているようにしか思えないからです。
これは余談ですが、僕が中高生くらいの頃までは、サブカルチャーが好きということはそのまま音楽が好きということを意味していました。洋楽を中心とした音楽が王様で、映画や漫画や小説はそのサブジャンルというイメージだったんですね。
けれど、僕が社会人になるくらいにはインターネットカルチャーやオタク文化が文化好きの若者の関心の中心になっていき、音楽は玉座から転がり落ちていった。この変化の背景には単なるジャンルの流行りすたり以上の、大きくて決定的な変化、人間と情報との関係の変化があることを忘れてはならないと思います。
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┗■ 02.【人生相談】哲学の先生と人生の話をしよう
國分功一郎(哲学者)
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「〈哲学〉とはすなわち〈人生論〉でなければならない……!」
そんな確信を抱く哲学者・國分功一郎が恋愛・就職・家族・自己表現……
あらゆる悩みに正面から、そして哲学的にこたえる人生相談です。
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第23回
「彼氏の仕事を応援することができません」
相談者:アクアマリンさん(東京都・39歳女性・自営業)
Q.
國分先生、はじめまして。
格好悪い話ですが、ご意見頂ければ幸いです。
私には付き合って3か月になる恋人がいます。
そこそこ名の知れた企業の会社員ですが、知り合った当初から
「会社の中だけで終わるような人間にはなりたくない。
そのために会社の仕事とは別に事業を立ち上げて頑張っている」
という、男のロマン的な壮大な話を聞かされていました。
ただ、その事業の内容についてははっきりと聞かされていませんでした。
しかし付き合いが進むにつれ、色々と彼の行動に不信感を抱くようになり
問い詰めた所、その事業が某海外ブランドのネットワークビジネスであることを打ち明けられました。
ネットワークビジネス…と言えば聞こえはいいですが、
早い話がマルチ商法。試しにその会社のHPを見てみると
「毎週20%のコミッションが支払われる」「新たな会員を育てればあなたの収入もアップする」
他にも、特別ボーナス・豪華旅行・車などの高額賞品・・・
出るわ出るわ、胡散臭い誘い文句のオンパレード。
やっている本人も「ネズミ講みたいなもんだ」と、あっけらかんと言い放つ始末。
それが「男のロマン」なのだとしたら、なんて小っちゃいもんなんだろうと
ショックというより、情けなさでいっぱいの気持ちになりました。
彼は私にその会社の商品を買わせたり、会員にさせたりするつもりはないようで、
私自身も「一切関わる気はない」と言い放ってあります。
ただ彼は、「この仕事に懸けている。理解してほしい」と言います。
そう言う彼がやっている仕事について「理解」はしましたが
理解をした上で、「賛成」することはどうしてもできません。
出来る事なら止めて欲しいし、必死で阻止したいところですが
その道に詳しい方に聞いても、マルチに嵌っている人の洗脳を解くのは
本人が大損でもして気づかない限り難しいと言います。
こんな怪しい仕事をするような彼とは早い段階で別れてしまった方が
得策なのでしょうが、マルチをやっているという部分を除けば良い相手ですし、
私も年齢が年齢なので、出産の事などを考えると
どんなに小さな縁でも逃したくないという思いがあります。
ただ、いくら私の事は大切にしてくれるとは言え
金儲けのために、どこかの誰かを欺くような事をしているのか・・・
そんな事実を知っていながら笑って過ごしていていいのだろうか・・・
という後ろめたい気持ちは拭うことはできません。
説明が長くなりましたが、先生にお尋ねしたいのは
相手にわずかでも不信感を抱きながらの付き合いは
遠くないうちに歪みが生じ、破綻を招くするものなのかどうか。
また男性の立場から見て、自分の仕事に対して
理解を示さない、応援する気がないパートナーとは
関係を続けることは難しい事なのでしょうか、という事です。
よろしくお願いいたします。
A.
ご相談をお寄せいただきありがとうございます。
非常にセンシティヴな相談内容だと思います。しかし、アクアマリンさんの中ではほとんど答えは出ていて、いまは誰かに背中を押してもらいたい……そういうお気持ちなのではないかとご相談の文面を読みながら考えました。
「相手にわずかでも不信感を抱きながらの付き合いは、遠くないうちに歪みが生じ、破綻を招くするものなのかどうか。」
はい。アクアマリンさんがこのように正確に記述している通りであろうと思います。不信感を抱きながらの付き合いは、遠くないうちに歪みを生じるでしょう。
ですが、ここで一点付け加えなければなりません。歪みが「破綻」へと向かうのならば、それはむしろ幸運である。歪みを抱えたまま、歪んだ状態が続いていく可能性こそが最も恐ろしい、ということです。
革命家だったらこんな風に説明するかもしれません。
……資本主義は矛盾を抱えており、矛盾の堆積はいつか革命を引き起こす。しかし、もしかしたら社会は、矛盾に対する対応策をあれこれと捻出し、矛盾を、その悪質な搾取・抑圧機能はそのままに、しかし決定的な効果はもたない状態で維持するかもしれない。そうなると、矛盾はそのまま維持されていているのに、いっこうに革命は到来せず、搾取と抑圧の止まない社会が続いていくことになる。しかも、社会はある程度その矛盾、すなわち搾取と抑圧に対する対応策を捻出しているから、人々のつらさは、相当なものでこそあれ、許容不可能な程度には達しない。人々はつらいけれども、そのつらさを我慢して、耐えてしまう……。
革命家だったらここで、「階級意識の外部注入が必要だ」となります。彼らに、自分たちが被搾取階級であることを意識させねばならない!となるわけです。
さて、僕が恐れるのは、アクアマリンさんが、「小さな縁を逃したくない」という気持ちから、このような状態に陥ってしまうことです。アクアマリンさんは、既に「破綻」の可能性を考えていらっしゃる。ということは、この「歪み」を相当に現実的なものとして予感されているということです。これは相当深刻に受け止める必要があると思います。
更に気になるのは、アクアマリンさんが子作りを考えていらっしゃることです。もし歪みを抱えたまま、しかし破綻を迎えずにこの計画が実現しまうと、アクアマリンさんは、〈革命も起こらないが矛盾も解消していない社会〉をお子さんと一緒に耐えなければならないことになるのではないでしょうか?
アクアマリンさんだけならばいいです。自分で選んだ責任もありますから。しかし、親は自らが堪え忍ぶ矛盾を必ず子に向けます。絶対にそうします。すると、アクアマリンさんが既に現実のものとして感じている「歪み」は、子にそのまま向かっていくことになるでしょう。僕はこれが本当に恐ろしい。
もう一つ、アクアマリンさんは、「自分の仕事に対して理解を示さない、応援する気がないパートナーとは関係を続けることは難しい事なのか」という質問もなさっています。
こういう質問をなさること自体が、何事かを意味しています。つまり、アクアマリンさんは既に相手の男性から、そのような対応を受けているのではないでしょうか?
「ネットワークビジネス」なるマルチ商法にどっぷり浸かっていて、「会社の中だけで終わるような人間にはなりたくない。そのために会社の仕事とは別に事業を立ち上げて頑張っている」とか口にしてしまうような男が、交際中の女性からそのことにドン引きされたら、普通は「あいつは俺のことが分かっていない」という気持ちになりますよね?
アクアマリンさんは既にその男性から、「いま自分が人生をかけているこのマルチ商法に理解を示さないあいつは、そもそも俺を応援する気がないんだ」という無言のメッセージを受け取っているのではないですか? 「男性の立場から見て、自分の仕事に対して理解を示さない、応援する気がないパートナーとは関係を続けることは難しい事なのでしょうか」と書かれた時の「男性の立場」とは、その男性が既にとっている「態度(=立場)」を指していたのではないですか?
僕が冒頭で、いまアクアマリンさんは誰かに背中を押してもらいたい気持ちではないかと書いたのはこういう意味です。
現実的なものとして予想される歪み、そして現実に目の前にある相手の対応。もうアクアマリンさんの心は決まっているのではないですか?
「これはマズいかもしれない……」という気持ちで何かをすることは、一生の後悔を生み出します。これはどんな小さいことについてもそうです。
さて、こうしてお答えしてきたものの、これだけではアクアマリンさんの悩みに答えたことにはなりませんね。相談を読みながら、アクアマリンさんが結婚や子作りに関して、年齢の点から大変焦っていらっしゃることがよく分かりました。これは本当に重大な悩みであると思います。僕も何度か同じ相談を受けたことがあります。そのことについて、そのたびにいろいろと考えてきました。
今の僕の考えはこうです。今で言うところの「婚活」、昔のお見合い、そういったものを恥ずかしがることは全くないということです。もしも焦っていらっしゃるのなら、そういったやり方を一つの可能性として考えてみてください。
よい結婚相手との出会いなんて、はっきりいって僥倖としてしかやってきません。運命の出会いなんてのは、ほとんどないんです。だからこそ、昔の人たちはその場を用意しようとした。それがお見合いです。
僕はお見合いをかつてのように盛んに行うべきだという立場です。別にみんなが結婚しろなんて全く思いません。女の人に「そろそろお嫁にいかないとね」なんてプレッシャーを与えるヤツはくそくらえだ。しかし、結婚したい人がいるのにそれが完全に運命任せなのはおかしい。
アクアマリンさんはお仕事もなさっているようですので、これは単なる一般論として聞いていただきたいのですが、今の社会は、「責任をもった主体が一人で自分の生活をすべて維持する」というモデルにあまりに強く依拠しています。しかし、様々な理由からそれができない人はたくさんいるのです。ならば、誰かと助け合って生きていく際のモデルの一つとして、結婚があってもいい。そして、そのモデルを利用したいのにできない人がいるのなら、やはり社会がきちんと助力すべきではないか。
まだそうした助力はきちんとなされてはいませんが、手助けしてくれる人はいるはずです。アクアマリンさん、よい出会いがないこと、これまでなかったことは、少しも変なことではありません。ですから、出会いを組織する場を恐れず、積極的に活用してください。
國分功一郎
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▼執筆者プロフィール
國分功一郎
1974年生まれ。哲学者、高崎経済大学経済学部准教授。
著書に『暇と退屈の倫理学』(朝日出版社)など。
http://ameblo.jp/philosophysells
https://twitter.com/lethal_notion
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┗■ 03.【エッセイ】テレビでは言えない話
カリホリ(ジャーナリスト)
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マスメディアとソーシャルメディア、「放送と通信の融合」、
そしてパブリック・アクセス……激変する情報環境の最先端を
覆面ジャーナリスト!?「カリホリ」が、L.A.から発信!
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▼本コンテンツは連載です。前回記事はこちら
http://ch.nicovideo.jp/wakusei2nd/blomaga/ar114018
第23回 「紙に拘っていたら死んでしまうよ」
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