やっと大学生活で最も忙しい時期を耐え抜きました。レポートを4本提出し、数え切れないほどの課題とプレゼンをこなし、3科目の試験を受け終わり、あともう1科目の試験でこの学期が正式に終わります。こういう時期には、立法会のパートタイム政策研究員、英語の家庭教師、政党業務、そして学生を兼任する辛さを深く感じてしまいます。
▲香港衆志は1周年を迎えました。
香港の大学は9月から始まります。9月から12月が第1学期で、1月から5月が第2学期、一般的に課題提出や試験の時期は11月から12月と4月から5月です。やっと終わった4月という月は、もっとも辛い時期の一つです。課題と試験があるだけでなく、高校生の家庭教師として3月から5月に行われる大学受験のために用意しないとならないのです。わたしは大学のレポートと課題をこなしながら、生徒に集中講座を行わないとなりませんでした。もちろん日々進めている政策研究の仕事と政党業務も同時にありました。
正直なところ、ここ数週間本当に死ぬかと思いました。
そしてここ数週間、香港の政界でもいろんなことが起きています。まず、以前議員資格を剥奪された青年新政の游蕙禎(ゆう・けいてい)と梁頌恆(りょう・しょうこう)が逮捕されました。その後9人の民主活動家が反基本法解釈の道路占拠や暴動の罪に問われて検挙されました。その中にはわたしたち香港衆志のメンバー2人も含まれています。毎年恒例で行われる返還記念日デモは、ビクトリアパークを始点にしています。しかしここ数日のメディアの報道によれば、香港政府は他の団体による返還記念セレモニーを理由に、このビクトリアパークの使用を許可しなかったと報じられています。
青年新政の議員2人の逮捕
先月の下旬、警察が青年新政の游蕙禎と梁頌恆2人を逮捕し、去年11月2日に「立法会会議ホールに不法侵入した」と称し、立法会での違法集会及び不法侵入罪で起訴しました。游氏と梁氏は去年の9月立法会選挙で選出した民選議員です。しかし、宣誓時に「Hong Kong is not China」の旗を掲げるなどしたために宣誓無効を言い渡され、議員資格を剥奪されたのです。
▲母の日街宣の様子
そのような起訴は馬鹿げています。去年11月2日、法廷はまだ2人の議員資格についての判決を下しておらず、立法会も彼らの出入りを禁止してもいませんでした。彼らは去年9月の立法会選挙において数万票を得て当選したれっきとした議員なのです。当然、議員として立法会に出入りする権利を持っています。仮に彼らの宣誓に問題があると判断されたとしても、選挙結果自体を覆すべきではありません。そもそもこの中央政府による干渉はとても計画的だといえます。まずは全人代による法解釈で、宣誓における条文を「書き換え」、そのうえで香港政府は司法審査を申請し、法廷によって「書き換えられた」基本法に基づき議員資格を剥奪したのです。立法会選挙はわたしたちに残されたわずかな民主制度でしたが、中央政府はそのわずかなものまで奪い去ろうとしています。
過去のデモを理由に、9人の逮捕
▲香港衆志のメンバーを含む、起訴された9人
同じく4月下旬、警察は11月に行われた反基本法解釈デモにおいて、違法集結および公務執行妨害で9人の民主活動家を正式に起訴しました。この活動家らは政党党員や学生などで、わたしたちの政党の常務委員2人も含まれています。反基本法解釈デモは市民的不服従運動の一環であり、平和なデモ行進の後、わたしたち香港衆志や社会民主連線などの団体は警察と衝突し、警察側は催涙スプレー使用しました。その後、参加者たちは一時的に中央政府駐香港連絡弁公室前を占拠しました。わたしたちはこのような不服従運動に参加した際、それに伴う逮捕や法的責任を背負う準備はできています。しかし、香港警察がこの時期に過去の案件を遡って逮捕を行うのは、7月1日の返還記念日に習近平国家主席が香港を来訪するのに備えて、わたしたちのような団体の抗議活動を阻止することがねらいだったのではないでしょうか? 警察内の違法問題は先延ばしにし、検挙に数年を費やすのにもかかわらず、政見が異なる人に対しては異常に対応が早く、白色テロ(※注1)を起こしていると思います。
※注1 :為政者側からの反体制勢力に対する弾圧のこと。フランス革命時に白色が王権の象徴だったことに由来する。
「方便」にすぎなかった法治国家
政府官僚は常に香港は法治社会だと強調していますが、「法治」の意味を理解していない(もしくは理解しようとしない)のではないかと思います。法治は守るべき法律が存在するということだけを意味するのでも、人々が法律を守るということだけを意味するのでもありません。公権力を持つ機関を制限するのと同時に、公義を果たさなければならないのです。しかし、全人代の法解釈にはじまり、政府は司法審査によって民選議員の資格を剥奪し、香港の法律にある「公安条例」がデモ活動に様々な制限を課しているなど、わたしたちの目に映る香港という「法治社会」は、香港政府と中央政府のただの「方便」に過ぎませんでした。
▲香港衆志1周年のお祝いでは「恋ダンス」を披露(※画像クリックでFacebook動画に飛びます)
間もなく返還記念日になり、習近平国家主席も香港に来訪します。わたしたちがどのような行動を起こすのかはまだ決まっていません。でも、わたしたちはどんな弾圧にも怯えず、市民的不服従という武器で戦うことを諦めません。
▲香港衆志1周年式典での集合写真
(続く)
▼プロフィール
周庭(アグネス・チョウ)
1996年香港生まれ。社会活動家。17歳のときに学生運動組織「学民思潮」の中心メンバーの一員として雨傘運動に参加し、スポークスウーマンを担当。現在は香港浸会大学で国際政治学を学びながら、政党「香港衆志」の副秘書長を務める。
『御宅女生的政治日常――香港で民主化運動をしている女子大生の日記』これまでの連載は
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