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猪子寿之の〈人類を前に進めたい〉
第12回「自分と〈世界〉を一体化させたい!」
【毎月第1水曜配信】
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☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 ☆
2016.9.7 vol.684
今朝のメルマガは、チームラボ代表・猪子寿之さんによる連載『猪子寿之の〈人類を前に進めたい〉』の第12回です。今回は『Pokemon GO』や『シン・ゴジラ』などのヒットコンテンツを分析しながら、チームラボ作品がいかにしてそれらの作品と闘えるかについて話しました。新作『カラス』や表参道の展示を通じて考えた、「展示方法」と「作品」の概念の拡張とは――?
▼プロフィール
猪子寿之(いのこ・としゆき)
1977年、徳島市出身。2001年東京大学工学部計数工学科卒業と同時にチームラボ創業。チームラボは、プログラマ、エンジニア、CGアニメーター、絵師、数学者、建築家、ウェブデザイナー、グラフィックデザイナー、編集者など、デジタル社会の様々な分野のスペシャリストから構成されているウルトラテクノロジスト集団。アート・サイエンス・テクノロジー・クリエイティビティの境界を曖昧にしながら活動している。
47万人が訪れた「チームラボ 踊る!アート展と、学ぶ!未来の遊園地」などアート展を国内外で開催。他、「ミラノ万博2015」の日本館、ロンドン「Saatchi Gallery」、パリ「Maison & Objet」など。2月からシリコンバレー「teamLab: Living Digital Space and Future Parks」、イスタンブール「Borusan Contemporary」、5月はバンコク「Central World」、また3月からシンガポールで巨大な常設展「FUTURE WORLD: WHERE ART MEETS SCIENCE」開催中。
◎構成:稲葉ほたて
本メルマガで連載中の『猪子寿之の〈人類を前に進めたい〉』配信記事一覧はこちらのリンクから。
■ジョン・ハンケと猪子寿之の違い
宇野 猪子さん、『Pokemon GO』やってる? 僕はまだレベル8くらいで止まっているんだけど。
猪子 いや、リリースされた直後は超やってたんだけどね……。宇部市ときわ公園で「呼応する森」という展示をしてて、ちょうどその出張中に始めたの。
▲山口県宇部市ときわ公園で開催された「呼応する森」
宇部市って彫刻が多い街なんだけど、『Pokemon GO』をやっていると「あ、こんなところに彫刻が!」という発見がたくさんあってすごく楽しかった。それで、東京に帰ってきてからもその勢いでやっていたんだけど、よくよく考えたら俺の東京の生活って自宅と会社の往復ばかりで、本当につまらないわけ(笑)。もはや『Pokemon GO』がつまらないのか俺の人生がつまらないのか……という問題に直面してしまったわけだよ。
宇野 俺は『Ingress』のときもハマってたんだけど、やっぱり2〜3か月でやめちゃったんだよね。奇しくも『Ingress』のおかげで「こういうものに気をつけて歩くと面白いスポットが見つけられる」という散歩のコツがわかってきて、要するにゲームという支援装置が要らなくなってしまったんだよね。
でも、『Ingress』と『Pokemon GO』を作った元Google副社長のジョン・ハンケは「ゲームの力で人を外で歩かせることが目的なんだ」というようなことを言ってて、両作ともそれ自体は達成されてはいるんだよ。
▲『Ingress』プレイ画面
【参考】
猪子 でも、その後が続かないってことだよね。『Pokemon GO』はひたすらアイテムやポケモンをとるのみで、街とか全く見なくなっちゃった。周りを見ていても、みんな途中からAR機能は切っているしね。
宇野 へー、僕はまだ切っていないけどね。あのビジュアルはやっぱりいいと思うから。
猪子 それは珍しいね。結局ゲームって、ある種の報酬制度を使った中毒性でできていると思うんだけど、それが目的化しちゃうとパチンコと一緒でひたすらその報酬を求めるのみになっちゃうんだよ。ただの中毒患者としてやらされてる感じで、今はプレイするのが嫌だもん(笑)。
宇野 ただ、まずは世界中のゲームとか全くやったことのないおばちゃんとかにARゲームをやらせるということが彼らの目的だったと思うんだよ。『Ingress』は敷居が高くて、暇なインテリしかやってなかったけれど、『Pokemon GO』でその敷居を下げることには成功したとは思う。この先、封印していた機能もどんどん解放されるだろうしね。プレイヤー同士のモンスター交換とか。
なんで『Pokemon GO』の話をしたかというと、最近のチームラボの作品って、ジョン・ハンケとは違うかたちで、テクノロジーの力を使って「人間が世界を眺める視線」に介入していると思うんだよね。
猪子 どういうこと……?
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