久しぶりに野口健さんに会った。

最後に会ったのが『ニュースの深層』(朝日ニュースター)に出演してもらった時のことだから、かれこれ5年にもなるのだろうか。

野口さんは、7大陸最高峰最年少登頂の世界記録保持者とは思えないほど重厚感のないアルピニストだ。

もちろんそれはいい意味で言っている。なにより正直で素敵なトリックスターなのだ。

とにかくよくしゃべる。私もしゃべりだすと止まらない方だがその比ではない。まるで「剣の舞」がBGMで流れているような勢いで話し続けるのである。

初めて彼と会ったのは議員秘書時代だった。エベレスト登山のゴミ拾いか何かの陳情だったと記憶している。その時の印象もやはり同じだった。

初対面(だった?)の鳩山邦夫代議士に食ってかかるように話し続けていたことしか印象に残っていない。

その彼と『週刊SPA!』の私の連載(「革命前夜のトリスタたち」)で再会できるとあって、私は心から愉しみにその日を待っていた。

ところが当日、直前にあった自由報道協会の理事会で大きな問題が発生し、私は心から疲弊し、重い足取りで彼の事務所に向かうことになったのだ。