ごみため長屋
ざんざんと、雨が降っていた。
外れかけた板戸が軋む戸口に、あなたは立っている。背を向けた部屋の奥からは、か弱い咳が時折聞こえてくる。長旅の疲れが出たのだろう、あの後ミシュナは熱を出していた。
あなたの足下では、ごぼごぼとどぶから汚水が溢れている。
ここは、肌寒く、湿っていて、暗かった。
ブラックレイク地区のスラム、ヘプタとセイヴが住んでいる廃墟同然の長屋である。
正確には、かつての貴族の館、その部屋の一つ一つに有象無象が住み着いて共同住宅となっているのだ。良くある話である。館の持ち主は先の災害で死んだか、この街を離れており、不法滞在をとがめるものはいない。
リヴァイアサン亭を思い出す。
騒々しく、いる連中も決して褒められた素性ではないが、あそこは暖かく、乾いていて、明かりが途切れなかった。せめてミシュナだけでも残して置いてやりたかったが、ハラグ船長は首を横に振った。
「すまねえな、ニュー・ネヴァーウィンターの面子に泥塗るような真似してくれたんだ。この店には置けねえよ。他を当たってくんな」
酒場から踏み出すと、怒りの声と共に腐った生ゴミが投げつけられた。
「ネヴァーウィンター仮面を裏切ったな! なんで仲間にならなかったんだ!」
まだ幼さの残る少年だった。セイヴが拳を振り上げると、一目散に逃げ出した。彼にとってネヴァーウィンター仮面は、このスラムから彼とその生活を救い出してくれる存在に映ったのだろう。そして、あなたたちは裏切り者なのだ。
「おい、チンピラ。地元だろう、他にマシな居場所はないのか?」とエリオンが尋ねる。
「任せておけ、って言いたいところなンすけど、ここ以外はどこも危険で」
「治安がいい場所に行くわけにはいかないのかしら」これはエイロヌイ。
「ニュー・ネヴァーウィンターの面子潰しちまったからなァ。守護卿区に『月長石の仮面』ってのがあったが、あそこはミンターンの傭兵団の本拠地だ」
「どっちの味方もしないって言っただけなのに」
「おかげで、どっちからも爪弾きにされるわけだ」
そうして結局、ヘプタ達のねぐらに戻ることになったのである。
DM:黒ずくめの集団がなにやら儀式をしていたようですが、ヘプタが戻ってくるとそそくさと片付けはじめます。「や、ヘプタ殿。申し訳ない、しばらく留守にしておられたので場所を少々お借りしていたところで」
ヘプタ:「いや、お気になさらず」で、PC達に「彼らはただの近所のカルト教団員で別に悪い人じゃないですよ」と言います。
ヘプタ除く全員:<b>いやいやいやいや。</b>
DM/カルト教団員:「いつもお世話になっております。場所を借りたお礼と言っては何ですが、生け贄の羊が余ったんで、足一本置いてきます。召し上がってください」
ヘプタ:「いつもご丁寧にどうも」
セイヴ:普通にご近所つきあいするなよ(笑)
DM/カルト教団員:「ヘプタ殿も、気が向いたらいつでもアシュマダイ(九層地獄の王アスモデウスを崇める教団)にいらっしゃい」
サブマス/ジェイド:今、アシュマダイって言った! 言ったよ!!
DM:ヘプタは外見が外見だから、向こうも悪役だと思って仲良くしてくれてます(笑)
エリオン:なんて不穏な場所だ(笑)
エイロヌイ:外で雨が降っているんなら、これ幸いと鎧を脱いで雨に打たれています。「雨だわー♪」
セイヴ:裸で!?
サブマス:まぁ、フェイワイルドの人だし、元は植物だからなぁ。
エリオン:“プレスティディジテイション/奇術”でモザイクかけときましょう(笑)それはそれとして、落ち着ける場所を探さないとな。
ヘプタ:「え、ここじゃダメなんすか?」
エリオン:「何だと! ここ、家だったのか!?」
サブマス/ジェイド:とりあえず、ここでいったん各自の素性と目的を話しておきましょう。実はジェイドはフェイの二人がなぜ同行しているのか、ちょっとわかってないんですよ。毎回イベントに対応するのに手一杯で、理由聞かないままだったので。
というわけで、ここでエリオンとエイロヌイはそれぞれの導入について話をする。
エリオン:と言うわけで、先遣隊がどうなったか探しに来たのだが、見つけたのは戦いの痕跡とネズミの足跡。それとハーパーのピンだけ。それを追ってネヴァーウィンターに来たところ、事件に巻き込まれた。
サブマス/ジェイド:でもって、第3回でヘプタからハーパーの中に裏切り者がいたってのは聞いてるんですよね。
エリオン:このまま真相が不明のままだとフェイワイルドにいるニュー・シャランダーのサン・エルフ(エラドリン)との戦争になる。
サブマス/ジェイド:ネズミの足跡についてはこれまた前回、セイヴが何か知っているって話してましたね。
セイヴ:ああ、「この街にはワーラットの盗賊団、死鼠団ってのがいるんだよ」
エイロヌイ:イリアンブルーエンの先遣隊ともあろうものがワーラットの盗賊団ごときに全滅させられるとは思えませんね。事情は詳しく調べた方が良さそう。「まだ帰れませんね♪」
セイヴ:そもそも何でニュー・ネヴァーウィンターとアラゴンダーの息子たちとが対立しているかとも、キャラクターとしては聞いてないね。その辺はヘプタから聞かないと。
ヘプタ:ではですね……と、ここでブロマガの記事を参照。
冒険者たちは情報交換や知識の掘り出しを行なう。
死鼠団はネヴァーウィンターの地下道、廃墟などを利用して人身売買をはじめとしたさまざまな悪事を行なっている。その本拠はブラックレイク地区と言われているが、実際の場所は判明していない。
ネヴァーウィンター仮面については、これまで情報はない。少なくともヘプタは知らなかった。おそらく、あの“ネヴァーウィンターの宝冠”を手に入れてから活動を開始したのだろう。
サブマス/ジェイド:で、ここでちょっとジェイドは悩むんですね。自分がネヴァーウィンター王家の末裔だということを聞かされた日に、彼の家は襲撃を受けているので、やはり襲撃と自分の血統には関係があると推測する。で、ネヴァーウィンターでは今まさに統治を巡って争いがあるわけで、各勢力にとってジェイドの存在は意味を持つ。こうなってくると、改めて自分の正体を仲間には伝えておいた方が良いのかも……。
DM:ではですね、そうジェイドが悩んでいるときに来客があります。
珍客来場
「へへ、ミートパイのおとどけでござい!」
聞き覚えのある声がした。ただし、隣の部屋の戸口で、だ。
「なんだと! テメエ、ここが秘密結社ゼンタリムのアジトだと知ってやってきたのか!」
セイヴ:待ってたぜ!
ヘプタ:「あ、オイラの部屋はこっちッす! スンマセンねどうも」
DM/ゼンタリム兵:「ヘプタ、お前のツレだってんならちゃんと話しとけ!」
サブマス:つか、この長屋ゼンタリム(犯罪結社)とアシュマダイ(悪魔崇拝教団)とハーパー(善の秘密結社)が三つ並んでんのかよ!
やがて、頭をかきながらハーフリングのジャーヴィが戸口をくぐる。手には引越祝いのミートパイ。その後にはもう一人。これもまた見覚えのある女。ネヴァーデスの墓地で、王冠の奪還をあなたたちに依頼したハーフエルフ、セルドラ・ティルマランドであった。
DM/セルドラ:「数日でだいぶ有名になったわね」
セイヴ:「まァね」
DM/セルドラ:「ネヴァーウィンター仮面の誘いを蹴ったそうじゃない。もったいない。それに街で一番権力を持つネヴァレンバー卿の誘いも断った。だいぶ街の中を歩きにくくなったようね」
エリオン:「一体何の用で来た? もう一度考え直せとでも?」
DM/セルドラ:「違うわ、今のあなた方にしかできない仕事を持ってきたのよ」
ヘプタ:「そもそもアンタはいったい何者なんす?」
「このネヴァーウィンターを平和に導きたいと誰よりも願っている者よ。我が身に流れるティルマランドの血にかけてね」
ヘプタとあなたはティルマランドの名に心当たりがあった。
「あなたは、レディ・アリベスの末裔!?」
――レディ・アリベス。
ネヴァーウィンターの民はこの名を、後悔と共に思い出す。
彼女の美貌は万人に知れ渡っていた。
彼女はその信心ゆえに騎士に任ぜられ、その優しさゆえに誰からも愛された。
ソード・コーストに正義神ティアのパラディンは多けれど、レディ・アリベス・ド・ティルマランドこそはその筆頭。そのように当時、謳われていたのである。
彼女と共にネヴァーウィンターを守るのは、やはりティアの神官であるフェンシック・モス。「ティールの剣と鎧」とも讃えられたこの二人の英雄は、その熱愛でも知られており、結ばれる日が近いことを誰も疑わなかった。
彼女がその名を残したのは、今から百年以上昔、ナシャー・アラゴンダーの治世。呪文荒廃がこの世界を変えてしまう前である。
その頃ネヴァーウィンターは“死悶の疫”と呼ばれる疫病により興廃の危機にあった。
レディ・アリベスとフェンシック・モスは共にこの危機に立ち向かい、この病の治療薬を見いだすことができた。しかし治療薬が完成するその時、裏切り者がそれを奪い逐電する。裏切り者とつながりのあったフェンシックは事件の関与を疑われ、ナシャー・アラゴンダーは苦渋のうちに彼を処刑する。
守るべき人々に恋人を“殺された”レディ・アリベスは、その失望と哀しみ、怒りに導かれ暗黒騎士(ブラックガード)の道に墜ち、ネヴァーウィンターを滅ぼそうとしたのである。
DM/セルドラ:「レディ・アリベスは私の大叔母の大叔母にあたるわ。私はそれを聞いたとき、ティルマランドの血統に課せられた汚名を雪ぐ決心をしたの。私は、命に代えてもネヴァーウィンターのために働く」
セイヴ:「なるほどね。それでネヴァーウィンターの王冠を捜し出してきたってわけか」
DM/セルドラ:「そうよ、最後で危うく奪われるところだったけれど。ネヴァーウィンターの王冠は正しい相手に渡したわ。知っての通り、ネヴァーウィンター仮面よ」
エイロヌイ:「あなたは仮面の中の人をご存じ?」
DM/セルドラ:「もちろん。彼は正真正銘王家の血を引いていたわ。だからこそ、王冠の魔力に灼かれなかった」
セイヴ:「それでアンタはどっちにつくんだ」
DM/セルドラ:「どちらにもつかない。私は自分の心に正直に生きる」
「なら、ここにいる坊やと同じだな」セイヴの鉤爪があなたを指さした。
「けどね、」セルドラは日に焼けた顔を一瞬しかめる。「ネヴァーウィンター仮面はいいとして、彼に協力している“アラゴンダーの息子たち”に気にくわないことがあるの。彼らはね。死鼠団と取引をしているわ」
セイヴの表情がすぅ、と冷たくなり、より一層死人の相を帯びた。
「かつてアラゴンダーの息子たちは武力抵抗の支援者としてハーパーと手を組んでいたの。けれど、ハーパーとアラゴンダーの息子たちの幹部がまとめて討ち取られるって事件があってね。どちらが裏切ったか、秘密を漏らしたか、双方共に言いつのったあげくに喧嘩別れになった。
けれど、アラゴンダーの息子たちにはやはり武力が必要だった。他でもない彼らがそれを一番実感してた。そこに死鼠団がつけいったのね。そこで、あなたたちには、死鼠団を壊滅させて欲しいの」
「そうやってオイラたちを使って、“アラゴンダーの息子たち”の廻りを綺麗にしたところでネヴァーウィンター仮面を押し立てて、ネヴァレンバーを打倒するってわけッすね」
「今のあなたたちにはぴったりの仕事じゃない? 仕事もほとんど地下、地上でごみ投げられる心配はないわ」
あなたたちは顔を見合わせる、彼女の言うとおりだった。
「それに、死鼠団を倒すとウォーターディープの街からも賞金が出るわよ」
「ウォーターディープへ取りに行かないといけないのかしら?」
「最近、ウォーターディープで貴族の家が幾つか襲われていてね。そして、その時に誘拐された貴族の何人かが売買されているって話があるの。良家の子女は高く売れるからね」
軽い世間話として流された情報に、あなたは我が耳を疑った。
襲われた貴族の家、人身売買。
「どうした、ジェイド?」
エリオンの貫くような視線。気がつけば、あなたは椅子から立ち上がっていた。視線があなたに集まっている。くすり、と笑うのはエイロヌイである。あなたは、言葉を濁して腰を下ろす。
以前、ネヴァレンバーに面会したときに鎧の造りでウォーターディープが故郷ということは話していた、同行したヘプタにはおそらくもう見抜かれているだろう。潮時かも知れない。あなたはそう考えた。
明かすべき真実
セルドラは死鼠団について、本拠や他の活動についても情報を伝え、さらにヤツらが生きている人間だけでなく、死体の売買も行なっていること、最近フェイたちの死体が運ばれたことを伝えた。エリオンがその情報に殺気立つ一幕もあったが、向こう三軒両隣に気を使ってヘプタがそれを押しとどめた。
やがてセルドラが、前払いに魔法の水薬を人数分置いて去って行くと、エイロヌイが微笑んであなたをうながす。
「何か話すことがあるのではないですか?」と。
このシーンのうらがわ
かつてジェイドは自分の正体を仲間達にも伏せていた。しかし、ネヴァーウィンターの情勢は風雲急を呼び、ジェイドの仇、そして生きているかも知れない妹の情報を得るには仲間の力が必要不可欠である。
しかし、正体を明かすにも段階がある。
一つにはウォーターディープのサン家であるとだけ明かす段階である。すでにヘプタ他にもジェイドの素性(ウォーターディープ出身、貴族)は見当は付けられている。
もう一つは、ネヴァーウィンター王家の血を引くのが自分であると言うことまでを明かす段階。これは、ネヴァーウィンター仮面および王冠との関わりを踏まえたものだ。ジェイドの素性がネヴァーウィンターのいずれかの勢力に知られたならば、この地の覇権を争う切り札として確保しようと動く者達が出るだろう。それへの対処はもはやジェイド一人の手に余るうえ、仲間を巻き込む可能性があるのだ。
問い:自分の素性をどこまで仲間に明かすのか
1):これまでと同じく、明かさない
2):ウォーターディープのサン家出身であることまでは明かす。
3):ネヴァーウィンター王家の血を引いているらしい、ことまでも明かす。
果たしてジェイドの決断は――!
DM:おー! 思っていたより圧倒的だ。明かすところまで言っちゃうんだ。
エリオン:ついにこの時が来た!
サブマス/ジェイド:ではですね、ここにいるのは仲間だけですがそれでも一応秘密と言うことで……「みんな押入れに来てください(笑)」
そしてジェイド、あなたは自分の素性を仲間達に語るのだった。
すなわち――
自分がウォーターディープの貴族、サン家の人間であるということ。
成人の折、自分が実の息子ではないこと。ネヴァーウィンターの貴族、アラゴンダー王の血を引くのだと告げられたこと。
そしてその時に敵の襲撃をうけて家族と離別したことを。
また、推測交じりではあるが、自分がネヴァーウィンター王家の血を引くという事実を知ったその日に襲われたことから、既に自分はネヴァーウィンターの覇権争いに巻き込まれているのではないかと言うことも。
「あの時、王冠を見て私は迷った。私も自分の血統についてその真偽を確かめたかったからだ」
「ネヴァーウィンター仮面の兄弟ってコトっすか?」
「遠縁、と言う可能性もある。我々エラドリンと違って人間は数十年で代替わりするからな」
「けれども」と、あなたは言葉を続ける。
ネヴァーウィンター王家の血を引くと言われても、ネヴァーウィンターに来たのは今回が初めてで実感がない。正直この街には思い入れも、今のところは、ない。
それよりも気になるのは、なぜサン家が襲われたのかということで、いまここで秘密を明かしたのもそれが理由だ。
ネヴァーウィンター仮面とネヴァレンバー卿によってこの街の覇権が争われている現在、王家の血を引く自分をどちらかの陣営が襲わせたのかも知れない、そう考えはじめている。
私と行動を共にするならば、本来の危険とは別にこうした厄介事に巻き込まれる可能性もある。だから、知って置いて欲しい――。
サブマス/ジェイド:ただ、屋敷を襲ったのは黒い肌で毒を使う刺客だったんで、多分ダークエルフで、死鼠団ではないんですよね。
ヘプタ:「何が本当なのか、さっぱりわからないッす……」
ジェイド:だからジェイドは、いろんな情報について近づきたいと考えているんだと思います。
セイヴ:「真実はよ、自分の目で見抜かなきゃ、いけねえんだよ。けどまぁ、そう言うことならやることは決まったな。ネズミ退治だ」
DM:と、その時! ちゅうちゅうとネズミの鳴声が、どぶや部屋の隅、壁に開いた穴、天井などから聞こえて来ます。
セイヴの脳裏に、生前の記憶が蘇る。死鼠団の始末屋、わずかな壁の隙間から侵入し、犠牲者を跡形もなく食い尽くし、そして去って行く牙の大群。
「このネズミ、連中の手先だ!」
現れたのは地面を埋め尽くすネズミの群れ(ラット・スウォーム)。
どぶの中から飛びかかってくる大型犬ほどの大ネズミ(ダイア・ラット)が2体。
さらに、下水の蓋を跳ね上げて這いずり上がって来たのは、真っ白な肌のワニ(クロコダイル)。
エリオン:「下水道のワニぃー!?」
DM:いやまあ、その。連中は下水道の動物を操るんで……。
ブラックレイク地区の路地裏。泥とどぶ板が散らばる戦闘が幕を開ける。
ダイア・ラットは凶猛な上、その牙にかかれば疫病に感染する。
下水のワニは一度その大顎に敵を捕えたならば、命中判定の必要なく甚大なダメージを与えてくる。
そして、一匹一匹は取るに足らぬとしても群れとなったドブネズミは、恐るべき相手となる。剣の一振り、一射の矢で数匹仕留めても無数の敵の前にはほとんど意味がない。単体を攻撃するパワーではダメージが半減してしまうのである!
路地裏の死闘
真っ先に飛び出してきたクロコダイルは、エイロヌイに噛みつこうとする。鎧や盾も気にしない。万力のような顎がドライアドの美しい鎧を捕まえる。しかし、その瞬間。
「タラーン!」再びエイロヌイ以外のメンバーの悲鳴が響く。
一瞬に起こったのは二つの事象。
一つは、主の目配せに答え、瞬時に侍従がクロコダイルの前に身を挺したこと。
そしてもう一つは、相手が変わろうとおかまいなくクロコダイルの顎が閉じた瞬間、「あ、こりゃ駄目ッス」と妖精境に帰還したこと。
当然のこととばかりに、エイロヌイは微笑んでいる。
しかし、だ。
冒険者たちは、竜をも退けた腕利きである。犠牲らしき者と言えばそれくらい。
続くヘプタがクロスボウでダイア・ラットの片割れを牽制すれば、そこにセイヴが雄羊の構えで突撃。右、左と剣を振るえばただちにネズミは解体される。
異音を耳にした瞬間、建物の上に登り戦況を確かめていたエリオンは、軽やかにフェイ・ステップで着地。ブレード・ソングが鳴り渡れば、クロコダイルの白い甲羅がバターのように切裂かれる。
このシーンのうらがわ
エリオン:ここから飛び降りたいんですけど、判定失敗すると転倒かぁ。カッコ悪いからフェイ・ステップで降ります。
全員:「カッコつけだけでパワー使った!」
ジェイド:というか何で無駄に上に登ってるんですかッ!
エリオン:高いところから名乗って登場したかったんですよう。
エイロヌイ:でも、名乗る相手はネズミ(笑)
「よくもタランをやってくれましたわね」
クロコダイルを挟撃するエイロヌイは、やはり笑ったまま命令を下す。
「タラン! いらっしゃい」
「ちーっす」
呼ばれて来たのはふたたび、タラン。これで三人目。
そのままエイロヌイがエンフィーブリング・ストライクでクロコダイルの命中を下げ、ジェイドはグラウリング・スレットで自分以外への攻撃を阻害するという風に、それぞれが持てる技を次々と披露して行けば、戦いの趨勢は自ずと落ち着いてくる。
「このようなネズミなど、廃屋ごと燃やし尽くしてくれる!」
「やめてくれッすー!」
おなじみのブレード・ソングを乗せたバーニング・ハンズがあたりを薙ぎ払えば、後は残敵掃討。火事もぼやで済んで戦闘終了である。
炎の旅立ち、だと思う
DM:ジェイドは一応病気の判定どうぞ。
サブマス/ジェイド:〈持久力〉判定成功、感染しませんでした!
セイヴ:「これがヤツらのやり方だ」
DM:見れば、入り口に小さく印が刻まれてます。これに気づくのはセイヴのみですね。おそらく大休憩を取っている最中に付けられたかと。
セイヴ:みんなには黙っています。「糞野郎ども、これではっきりとヤツらをやる理由ができたな」
サブマス/ジェイド:「次の寝場所どうしよう」
ヘプタ:「死鼠団から奪うッすよ」
エリオン:ワニの肉もって、ミシュナ担いで(笑)
エイロヌイ:寝場所を強奪しに行く最低の冒険者だ(笑)
そして冒険者たちは炎を背に旅立つのであった。
DM:で、死鼠団のアジトですが、ここから歩いて二分くらいのところにあるボート小屋に入り口がありまして。
全員:これじゃ単なるお礼参りだよ!
ブラックレイク地区は魔窟である。
ジェイドの決断まとめ
初回:
問い:成人の誓いはどの神に誓う?
決断:“幸運の女王”タイモラに誓う。「身寄りのない自分が己の運命を切り開くのに必要」属性は善となる。
二回目
問い:衛兵に絡まれているヘプタとセイヴ、あなたはどのように振舞う?
決断:「兵士は横暴だ。あの二人に言い分がある。力ずくで助ける」
三回目
問い:王権を証し立てるネヴァーウィンターの失われた王冠。これを前に、あなたはどうする?
決断:「まだ正体を明かすべきではない」王冠は被らない。
四回目その一
問い:あなたは自分がネヴァーウィンター王家の血を引くことを仲間に、明かすか?
決断:まだその時ではない。明かさない。
四回目その二
問い:あなたがネヴァレンバー卿の元に連れて行く、信頼できる仲間は誰か?
決断:ネヴァーウィンターをよく知るヘプタ。ネヴァーデス墓地での事件の当事者であるミシュナ。
五回目
問い:あなたは今後、どの陣営に協力するか
決断:まだわからないことが多すぎる、どちらの陣営にも属さない。
六回目
問い:あなたは自分の素性をどこまで仲間に明かすのか
決断:ネヴァーウィンター王家の血を引いているらしい、ことまでも明かす。
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