皆様こんにちは、ニコ生D&D解説担当の塚田です。今回は防衛役の皮をかぶった撃破役のパラディン、ブラントの解説をお送りします。
『プレイヤーズ・ハンドブック』で防衛役として登場したパラディンは、『信仰の書』で“神の制裁”という新たなマーク能力を得て防衛役の中でもトップクラスの地位に登りつめました。その一方で、『影の書』で登場した撃破役のブラックガードはパラディンの一種という扱いのため、普通のパラディンとブラックガードのパワーは自由に組み合わせることができ、結果として純粋な防衛役から“限りなく撃破役に近い何か”まで、さまざまなパラディンを作れる状況になっています。
防衛役とは思えないダメージが目立つブラントですが、実のところ大ダメージの源のほとんどはモルデンクラッドという武器の強さと《強打》特技によるもので、パラディンというクラスの能力はあまり関係ありません。このため、レベルアップや再訓練で攻撃パワーを入れ替えてもキャラクター・コンセプトが揺らぎにくいのが長所です。ブラントを使ってみようとお思いの方は、ぜひパワー等を自分の好みにカスタマイズしてみてください。その方が“借り物”っぽさが薄れ、自分のキャラクターとしての愛着が沸くはずです。
今回の『ミスタラ英雄戦記』シリーズでは、原作再現の都合から大きなモンスターが少数出てくるパターンが多いので、サートン・ジャスティスによる敵の弱体化が強烈な効果を発揮しており、結果としてブラントは充分に防衛役の任を果たしています。一方、“標準”のモンスターが多数登場するような遭遇で仲間を守る能力には欠けています。このため、ブラントをプレイする際にはデータでなく運用面で敵のヘイトを稼ぐ(=「真っ先に倒すべきはブラントだ」と思わせる)よう努める必要があります。機会攻撃を受けてでも複数の敵に肉薄し、大ダメージを与えて敵たちを(そしてDMを)ビビらせましょう。
ダメージ・ロールの際にダイスをやたら沢山のダイスを振るのも、ブラントの大きな特徴です。最大で10d6(フレンジーイング・スマイト+フューリアス・アソールト)をロールする上、“暴虐”の特性によって何度も振りなおしが発生します。この手の大掛かりなダイス・ロールは、最初のうちはおおいに場が盛り上がるのですが、処理がもたもたしているとテンポが悪くなります。できれば6面ダイスを10個準備し、多数の数字を素早く足し算できるようにしておきましょう(端から順に足していくよりも、合わせて10になる組を抜き出した方が早いです)。
ブラントのデータ
種族他:ハーフオークの男性、無属性
クラス:パラディン レベル12
伝説の道:チャンピオン・オヴ・オーダー(秩序の勇者)
背景:嵐に触れた者
能力値(修正値)
【筋力】 22(+6) 〈運動〉+10
【耐久力】 12(+1) 〈持久力〉+12
【敏捷力】 14(+2) 〈隠密〉+6、〈軽業〉+6、〈盗賊〉+6
【知力】 9(-1) 〈宗教〉+12、〈魔法学〉+5、〈歴史〉+5
【判断力】 18(+4) 〈看破〉+15、〈自然〉+12、〈知覚〉+10、〈地下探険〉+10、〈治療〉+15
【魅力】 12(+1) 〈威圧〉+9、〈交渉〉+7、〈事情通〉+7、〈はったり〉+7
防御値他
AC:29、頑健:29、反応:22、意志:24
イニシアチブ:+8 移動速度:7マス(突撃時は9)
視覚:通常 言語:共通語、巨人語
ヒット・ポイント93(重傷値46) 一日の回復力使用回数11(回復力値23)
装備品
モルデンクラッド・オヴ・ストームズ+3、ライトニング・スローイング・ハンマー+1、エボン・ギスプレート・アーマー+3、ブレイサーズ・オヴ・マイティ・ストライキング(英雄級)、アクロバット・ブーツ、ホーンド・ヘルム、アミュレット・オヴ・プロテクション+3、シンボル・オヴ・ヴィクトリー+2、ガーディアンズ・ホイッスル、冒険者キット
その他の能力
ハーフオークのしぶとさ:
各遭遇の中で初めて重傷になった時に、10の一時的hpを得る。
勇気のアクション:
君が追加のアクションを得るためにアクション・ポイントを費やした際、君に隣接する敵はすべて、君の次のターンの開始時まですべての防御値に-1のペナルティを被る。
秩序の防護:
君が自分のディヴァイン・チャレンジの目標に隣接しているなら、その目標は君を目標に含まない攻撃を行なうたびに君から機会攻撃を誘発する。さらに、君がディヴァイン・チャレンジの目標としたデーモンまたはエレメンタル・クリーチャーに対して、君はすべてのダメージ・ロールに2d6[光輝]ダメージを追加する。
《無双の頑健》:
継続的ダメージに対する抵抗6を有する。
《強打》:
近接攻撃を行なう際、攻撃ロールに-2ペナルティを受けることによってダメージ・ロールに+6ボーナスを得ることを選べる。
《強力突撃》:
突撃の際、ダメージ・ロールに+2ボーナスを得る。
エボン・アーマーの特性:
[死霊]に対する抵抗9を得る。
使用者に隣接する敵が死亡した時、一時的ヒット・ポイント6を得る。
モルデンクラッド・オヴ・ストームズ+3
クリティカル:+3d8ダメージ
特性:暴虐1、武器ダメージ・ロールで1の目が出た場合、2以上の目が出るまで再ロールする。
攻撃パワー
近接基礎攻撃 無限回
標準アクション 近接・武器 モルデンクラッド・オヴ・ストームズ
目標:クリーチャー1体 攻撃:1d20+19対AC
ヒット:2d6+13ダメージ
遠隔基礎攻撃 無限回
標準アクション 遠隔・5/10 ライトニング・スローイング・ハンマー+1
目標:クリーチャー1体 攻撃:1d20+17対AC
ヒット:1d6+9ダメージ
フューリアス・アソールト 遭遇毎
フリー・アクション 使用者
トリガー:使用者が敵にヒットを与える
効果:その攻撃は、もし[武器]攻撃であるなら1[W](=2d6)、そうでないなら1d8の追加ダメージを与える。
ホーリィ・ストライク 無限回
標準アクション 近接・武器
目標:クリーチャー1体 攻撃:+19対AC
ヒット:2d6+11[光輝]ダメージ。使用者が目標をマークしているなら、ダメージ・ロールに+4ボーナスを得る。
ストライク・オヴ・ホープ 無限回
標準アクション 近接・武器
目標:クリーチャー1体 攻撃:+19対AC
ヒット:2d6+11[光輝]ダメージ。使用者から5マス以内の味方1人は一時的ヒット・ポイント1を得る(その味方が重傷なら6)。
ピアシング・スマイト 遭遇毎
標準アクション 近接・武器
目標:クリーチャー1体 攻撃:+19対“反応”
ヒット:4d6+11ダメージ。目標および、使用者に隣接している4体までの敵たちは、使用者の次のターンの終了時まで使用者にマークされた状態となる。
スタガリング・スマイト 遭遇毎
標準アクション 近接・武器
目標:クリーチャー1体 攻撃:+19対AC
ヒット:4d6+11ダメージ。使用者は目標を5マスまで押しやる。
サンダー・スマイト 遭遇毎
標準アクション 近接・武器
目標:クリーチャー1体 攻撃:+19対AC
(目標が使用者にマークされているならば、ダイスの目が19~20でクリティカル・ヒットとなる)
ヒット:4d6+11[雷鳴]ダメージ。目標は伏せ状態になる。
サートン・ジャスティス 遭遇毎
標準アクション 近接・武器
目標:クリーチャー1体 攻撃:+23対AC
ヒット:2d6+11ダメージ。目標が使用者にマークされているなら、目標は使用者によるマークが終了するまでのあいだ弱体化状態かつ幻惑状態となる。
パラディンズ・ジャッジメント 一日毎
標準アクション 近接・武器
目標:クリーチャー1体 攻撃:+19対AC
ヒット:6d6+11ダメージ。使用者から5マス以内にいる味方1人は回復力を使用できる。
ミス:使用者から5マス以内にいる味方1人は回復力を使用できる。
フレンジーイング・スマイト 一日毎
標準アクション 近接・武器
目標:クリーチャー1体 攻撃:+19対AC
ヒット:8d6+11ダメージ。使用者は目標を3マスまで押しやる。しかるのち、使用者は3マスまでのシフトを行なう。シフト先は目標に隣接するマスでなければならない。
ミス:半減ダメージ。
効果:使用者は次の自分のターンの開始時まで戦術的優位を与える。
スピリット・ハロウ 一日毎
標準アクション 近接範囲・爆発1
目標:爆発の範囲内のクリーチャーすべて 攻撃:+19対“頑健”
ヒット:4d6+11[精神]ダメージ、目標はシフトを行なうことも機会攻撃を行なうこともできなくなる(セーヴ・両方とも終了)。
ミス:半減ダメージ。
効果:目標のヒット・ポイントが10以下なら、目標は使用者の次のターンの終了時まで朦朧状態になる。
アイテム・パワー
ライトニング・ウェポン
無限回:フリー・アクション:この武器による攻撃のダメージ種別が[電撃]になる。元の種別に戻すのもフリー・アクションである。
一日毎:フリー・アクション:この武器による攻撃がヒットした時に使用する。目標および目標から2マス以内の敵すべてに1d6の電撃ダメージを与える。
ハンマー・オヴ・ストームズ 遭遇毎
標準アクション 近接範囲・噴射2
噴射内の敵すべて +15対“頑健”
ヒット:5の[電撃]かつ[雷鳴]ダメージ、目標は伏せ状態になる。
アクロバット・ブーツ 無限回
マイナー・アクション
効果:使用者は伏せ状態から立ち上がる。
シンボル・オヴ・ヴィクトリー 一日毎
フリー・アクション
効果:使用者または5マス以内の味方がクリティカルヒットを与えた時、そのキャラクターに1アクションポイントを与える。
ガーディアンズ・ホイッスル 一日毎
移動アクション
効果:10マス以内の味方1体を使用者の隣接マスに瞬間移動させる。
汎用パワー、クラス特徴など
チャネル・ディヴィニティ:ディヴァイン・ストレンクス 遭遇毎
マイナー・アクション 使用者
効果:使用者がこのターンに行なう次の1回の攻撃は6の追加ダメージを与える。
特殊:チャネル・ディヴィニティとつくパワーは、遭遇毎にいずれか1つしか使用できない。
チャネル・ディヴィニティ:ディヴァイン・メトル 遭遇毎
マイナー・アクション 近接範囲・爆発10
目標:爆発の範囲内にいるクリーチャー1体
効果:目標は+1ボーナスを得て1回のセーヴィング・スローを行なう。
特殊:チャネル・ディヴィニティとつくパワーは、遭遇毎にいずれか1つしか使用できない。
ディヴァイン・チャレンジ 無限回
マイナー・アクション 近接範囲・爆発5
目標:爆発の範囲内にいるクリーチャー1体
効果:使用者は目標を“マーク”する。目標がすでに他のクリーチャーにマークされているなら、使用者の“マーク”の効果がそれを上書きし、既存の“マークされた状態”の効果は終了する。使用者が別の目標にこのパワーを使用するか、使用者が目標と交戦する(下記参照)のに失敗するまで、目標は“マークされた状態”のままである。あるクリーチャーをマークできるのは常に1人だけである。同じクリーチャーが別の相手から新たにマークされたなら、既存の“マークされた状態”の効果は終了する。
使用者にマークされている目標は、使用者を目標に含まない攻撃の攻撃ロールに-2のペナルティを負う。また、使用者を目標に含まない攻撃を行なうと、目標は7[光輝]ダメージを受ける。このダメージは1ターンにつき1回しか発生しない。
使用者は自分のターン中、マークした目標と交戦するか、さもなくば別の目標をマークしなければならない。目標と“交戦”したとみなされるためには、使用者は目標に攻撃を行なうか、目標に隣接した状態で自分のターンを終えねばならない。使用者のターンの終了時にどちらの条件も満たされていない場合、目標の“マークされた状態”は終了し、使用者は次の自分のターンにディヴァイン・チャレンジを使用することができなくなる。
ディヴァイン・チャレンジは1ターンに1回だけ使用できる。
レイ・オン・ハンズ 無限回□□□□
特殊:このパワーは1日に4回まで使用できるが、1ラウンドに2回以上使用することはできない。
マイナー・アクション 近接・接触
目標:クリーチャー1体
効果:使用者は1回ぶんの回復力を消費するが、ヒット・ポイントは回復しない。その代わり、目標は1回ぶんの回復力を使用したかのようにヒット・ポイントを回復する。このパワーを使用するためには、使用者の回復力が少なくとも1回ぶん残っていなければならない。
ヴァイスス・リウォード 遭遇毎
マイナー・アクション 使用者
効果:使用者は一時的hp10を得、1回のセーヴィング・スローを行なえる。加えて使用者は次の自分のターンの終了時まですべての防御値に+2のパワー・ボーナスを得る。
アスペクト・オヴ・フェロシティ 一日毎
マイナー・アクション 使用者
効果:遭遇の終了時まで、使用者が1体以上の重傷のクリーチャーと隣接している時には、使用者の近接[武器]攻撃は2d6の追加ダメージを与える。
ターン・ザ・タイド 一日毎
標準アクション 近接範囲・爆発3
目標:使用者および爆発の範囲内の味方すべて
効果:目標はセーヴによって終了させられる効果のそれぞれに対して1回ずつセーヴィング・スローを行なう。
ナン・シャル・パス 一日毎
フリー・アクション 使用者
効果:この遭遇の終了時まで、使用者はディヴァイン・チャレンジを使用するたび、1体ではなく2体の目標を指定することができる。
『水曜夜は冒険者!:キャラクター解説』
著:塚田与志也
監修:柳田真坂樹
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