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 チームから外れてひとり、別メニュー練習する興梠慎三はつまらなそうだった。

 鹿児島県指宿市で実施されるシーズン始動後のキャンプはここ数年浦和レッズが実施している定番の強化合宿だ。宿泊施設内にある広大なグラウンド施設は厳しいトレーニングを課すのにうってつけの環境で、ミハイロ・ペトロヴィッチ監督も当地を気に入っている。しかし当の選手はというと、外部からの接触が限られる修練環境は窮屈で、次第にストレスを溜め込んでいく。ましてや、興梠のように負傷を抱えてリハビリに明け暮れる者にとっては、他の仲間に置いていかれる焦燥感と、思うように身体が動かないもどかしさで理性が働かなくなる。

 ただ、興梠の所作はどちらかというとマイペースで、『つまらない』という言葉がピタリと当てはまる。彼は単純に外で身体を動かしたい少年のような感情を表現していただけだった。