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常に目標を持っている、常に挑戦する心を持っている。那須大亮は今、その時を大切にして戦っている。だから常に周囲への感謝を忘れず、常にいろいろなものを感じ取っている。だからチームのため、サポーターのため、仲間のために死力を振りしぼる。魂のディフェンダーが語るレッズでの日々──

[浦和レッズマガジン7月号掲載]

──今のJリーグでの戦いを見ていると、浦和の球際の強さが際立っています。それはACLの戦いで外部から揶揄された影響もあるのでしょうか。

「なかなか難しいですよね。局面での球際の強さがあるだけでは勝利に繋げることはできない。局面の勝負を制した上で、チーム全体のバランスが整っていなければ結果に繋がらない。今季の浦和がリーグ戦で良い結果、良い試合内容になっていったのはここ最近のことだと思うんです。それまではチームのコンパクトネスなどが機能し切れていませんでした。ただ、様々な結果を踏まえた上で『局面での球際を強く、チーム全体をコンパクトにして戦う』という形を築きあげられた。それがチームの成長だと思うんです。シーズン当初はそれが出し切れていませんでした。個人的には今季のシーズン序盤は我慢が必要だと感じていて、歯がゆさも感じていましたけども、チームとしての手応えは試合をこなすことで得られていきました。残念ながらその成果をACLの中では反映させられなかった。ACLは結果を出せずに残念でしたが、そこでチームが下を向かなかったことで今のリーグ戦の成績に繋げられています」

──一方、リーグ戦の浦和は第??節終了現在で無敗の首位を堅持しています。その原動力はACLでの悔しさに加えて、昨季のリーグ戦で優勝を逃したという結果も大きく作用していると思われます。

「去年はタイトルに届く位置に長くいながら、結果を得られませんでした。その点は悔しく感じているのですが、自分たちにタイトルを勝ち取るだけの力がなかったとも考えています。サッカーの世界では簡単に物事を成し遂げられるものなどありません。かつて僕が在籍したクラブも逆転優勝を果たしたことがあります。去年の浦和のような結果になるチームはこれまでもあったわけです。シーズンを通して首位を堅持してきたチームが簡単に戴冠を得られることなどないのです。紙一重のところでどれだけチームとしてまとまれるか、力を出し切れるか。結果的に悔しい思いはしましたが、真摯に受け止めて足りない部分を改善していく気持ちを備えなければならないとも思いました。その点は素直に受け止めることができましたよ」

──今のチームには優勝経験のある選手もいます。それでも目標を果たせなかった。その要因はなんだったのでしょうか。

「内容が良くても結果がついてこないことはよくあります。例えば昨季の第32節のガンバ大阪戦は内容面で相手に劣っていたわけではありませんでした。またガンバ大阪戦の結果をクローズアップする前に、シーズンを通して勝つべき試合を引き分けたり、敗戦したりして勝ち星を落としたこともありました。勝ち点を取り切れたゲームもあるわけで、どこか一点、二点だけに焦点を合わせていては問題点が改善されないと思うんです。まあ、その中でも終盤戦のチームの戦いには課題が多かったですよね。ガンバ大阪戦で負けてもチームは1位のままだったのですが、その後に結果を引きずってしまった面はあります。まだまだ優勝できるという強い気持ちを浦和に関わるすべての者が、僕を含めて備えて、その雰囲気作りをしなくてはならなかった。僕もそれを周囲に伝えきれなくて、未熟だったなと感じています。メンタルの影響って大きいですよね。続く第33節のサガン鳥栖戦で引き分けた後、僕は必ず最終節にも何かがあると思っていたんです。ガンバの相手はすでにJ2降格が決まっていた徳島ヴォルティスでしたが、それでも結果はどう転ぶか分からないことは過去の例が示していました。それを分かっていたつもりなのですが、僕たち浦和は最終節で名古屋に勝利できませんでした。それは僕たちの力不足です。今思うと、鳥栖戦で引き分けた時にチームは負けたような雰囲気になっていました。自分たちの物足りなさ、力の無さを示してしまったかなと感じています。皆が『まだいける』と可能性を信じて戦わねばならなかった。シーズンを通してその思いで戦ってきたのに、昨季は終盤戦の何試合かでその気持ちを貫けませんでした」

──今年はその経験を生かせているように感じます。

「今季は昨季以上に『我慢』という気持ちを持って、チーム全体の共通理解として戦えています。得点を挙げられなくてもしのぐ。失点してもバランスを崩さずに冷静に戦う。それは昨年の経験から選手たち個々が成長した部分でもあります。ゲーム中に備えるべきメンタリティ。それは各選手の表情を見ても感じられますし、試合中の各選手の声の掛け方からも分かります。チーム全体のまとまりの部分では昨季よりも断然高いと感じています。実際、選手同士がかける言葉の内容も昨季とまったく違うんですよ」