昨年、監督初経験ながらFC東京U-18を2011年以来となるプレミアリーグEAST昇格に導いた佐藤一樹。彼はプロを目指す選手たちの育成、指導を図る上でどういった要素を重視しているのか。気鋭の指揮官がユース年代の育成論を語ってくれた。

[Jリーグサッカーキング7月号掲載]

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■勝敗を左右するのはうまさよりもメンタル

 FC東京アカデミーの育成方針は言うまでもなく、トップチームで活躍できる選手を数多く送り出すことです。その中で、僕自身の選手経験も踏まえると、《自立した選手》に育ってもらいたいなと。周りの指示を待つのではなく、自分に何が足りないのかを考え、自主的に動ける選手であってほしいと思います。もちろん私生活においても自分を律して、ピッチ上で最大限のパフォーマンスを示す。そういう個の集団になってもらいたいですね。

 僕ら指導者はと言えば、言い方は少し悪いかもしれませんが、「こういう選択肢もあったんじゃないのか」とヒントを提示しつつ選手のプライドを刺激してあげて、選手自身に火をつけるという作業にエネルギーを注いでいます。一昔前の師弟関係のように、ペナルティーを設けて選手を動かすのではありません。選手自らが自身を奮い立たせて、前向きに練習に取り組んでいく責任がFC東京U-18にはあります。やはり下のカテゴリーから選び抜かれ、トップチームを目指している個、そして集団ですからね。そういう責任感と誇りを持って取り組んでいってほしいと思います。