野田稔・伊藤真の「社会人材学舎」

野田稔と伊藤真の「社会人材学舎」VOL.2 NO.4

2014/03/24 06:00 投稿

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野田稔・伊藤真の「社会人材学舎」 VOL.2 NO.4

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コンテンツ

今週のキーワード
「ノブレス・オブリージュ」

対談VOL.2  横田響子氏 vs. 野田稔
今の日本は少しバランスが悪いそのバランスを是正することで、
日本はもっと元気になる!

第4回 時代のキーワードはフレキシビリティ

粋に生きる
3月の主任:「柳家小春」
第4回「小春の逢瀬」という企画が生み続ける化学反応

誌上講座
テーマ2 組織を活性化するリーダーシップ
第3回: 理解よりも納得よりも共感を引き出すリーダーシップ

連載コラム
より良く生きる術
釈 正輪
第8回 この世の中で、何としても幸せになることが仏の教え

Change the Life“挑戦の軌跡”
弁護士が挑んだ政治家への道
第4回 挑戦し続ける人が多いほど社会はよくなる

NPOは社会を変えるか?
第8回 籠の中に入れるのではなく、自立を助ける。それがケアの意味

政治・行政にやり甲斐はあるか?
3月のテーマ:南相馬市の任期付職員は何を見たのか
第4回 自分たちが率先して政治に参加することの大切さ


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今週のキーワード

「ノブレス・オブリージュ」

 日本の社会の中で、リーダー的な立場で仕事をしている、たとえば若手官僚や、大企業の幹部候補生、あるいは各専門家。彼らが今属している世界の中でのリーダーであることに留まらずに、さらに広く、一歩上の概念で、高い志を持って社会とか、日本とか、世界、地球にまで視野を広げて、ある意味、もっと青臭く考え、奮闘し、生きてほしい。

 それだけの能力もあるし、責任もあるということに気づいてもらいたい。

 能力というものは、自分のものではない。天から与えられたギフトだ。だから、その恩恵はしっかりと社会に返すべきだ。

 それこそが、ノブレス・オブリージュの考え方だ。

 残念ながら、そうした考えは、今の日本人には欠けていると思えてならない。すでにある種のパワーを持っている人たちが、社会のために青臭く議論することが、今後はますます重要になる。

 而立した市民として、自分が自分の人生の主人公となって、主体的に、何をしたいのかを考える。自分の良心に語りかけたときに、自分の内なる声は一体何をしろと言うのか。常に、その声を頼りとする。

 それこそが、ノブレス・オブリージュの生き方だ。


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対談VOL.2
横田響子氏 vs. 野田稔

今の日本は少しバランスが悪い
そのバランスを是正することで、
日本はもっと元気になる!

本誌の特集は、(社)社会人材学舎の代表理事である野田稔、伊藤真をホストとし、毎回多彩なゲストをお招きしてお送りする対談をベースに展開していきます。ゲストとの対談に加え、その方の生き様や、その方が率いる企業の理念などに関する記事を交え、原則として4回(すなわち一月)に分けてご紹介していきます。
第2回のゲストは、株式会社コラボラボの代表取締役社長である横田響子さんです。
横田さんは、会員数1400人以上を誇る日本最大の女性社長コミュニティサイト「女性社長.net」を運営。また、J300と名付けられた女性社長が多数集結する祭典を主催。2014年には、共催で大企業と女性社長たちを中心としたさまざまなコラボレーションを仕掛け、日本を元気にしようと奮闘しています。女性にとっての起業、起業家にとっての家庭、若い男性の欠点、女性たちへのアドバイスなど、大いに語り合います。



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第4回 時代のキーワードはフレキシビリティ


女性にとって起業とは

公私のバランスを取り戻すいい方法だが

野田:女性が起業をして、社長になるメリットって何ですか?
横田:私自身もそうだったのですが、プライベートと仕事のバランスを自分で決められるという点が一番大きいと思います。起業すれば、その究極のフレキシビリティを、持つことができる。もちろん、楽ができるなどと言う気はありません。会社経営は過酷です。それでも、一定のバランスをコントロールできます。それに、事業規模を自分で決めることもできるわけです。
 やりたいことを形にできるという部分は、男性も女性も変わりませんが、女性の場合はそれにプラスして、結婚して、子どもができても、家庭生活を苦しいながらも回し易くなると思います。
そういう意味で言うと、まだまだ大きな組織の場合は、そうしたフレキシビリティを具現化できていないということですね。
 もう1つ、私がいいなと思っているのは……、これは男性も女性も基本的には同じなのでしょうが、女性にとってより大事だと思っているのが、自分の感覚をちゃんと形にできるということです。
 大企業の常識では机上の空論であっても、あるいは規模が小さすぎて対応できない事業であっても、私の感覚ではこれは正しいと思う、自分の身の丈に合っていると思う、そんなニッチな可能性が受け入れられる世の中になってきていると思うのです。大企業ではできなくても、小さなベンチャー企業であれば実現できる。小さな組織で、固定費を小さくして、しかもインターネットを駆使することでできることがある。もちろん、簡単ではない、最初は苦しいかもしれないけど、形にできるし、少なくともある人たちには喜ばれる。その結果、回していくことができる。そんなことが、自分が起業をすれば可能になるわけです。少なくとも、成功への近道なのだと思います。
野田:確かに、感覚でビジネスをやろうとする人の比率はやっぱり女性の方が多いですよね。しかも、その多くは、規模は小さくても社会に貢献できる、そんなビジネスになる。そういう意味では、女性にとって起業というのはとってもいい道かもしれないですね。
横田:そう思います。ただ、今度は問題点ですけど、平均的に見て、男性より女性のほうが早く起業するようなのです。日本政策金融公庫では昨年、女性の起業家に対する融資額が倍増したそうですが、女性の起業が増えたことで、結果的に34歳以下の起業が増えているといわれています。こうした傾向は、悪いことだとは思いませんが、ただ懸念はあります。私の場合、マネジメント経験が乏しくて苦労したと言いましたが、もっと根本的な話として、やはり組織の中でビジネスを経験しておいたほうがお作法も身に付くし、組織相手の仕事はやりやすいわけです。そうした経験のない人が、取引先だけではなく融資先となる銀行などいきなり大企業にぶつかっていってもお作法に気づくまでに時間がかかることがあります。
野田:使っている言語も違うし、拠って立つ常識も違うというわけですね。
横田:だから、若くしてビジネス経験が少ないなかで起業するというのは体力があるという良さがある反面、経営力云々以前にビジネスパーソンとしての経験も乏しいと、廃業率を高めることにつながると思っています。これは男女とも同じわけなのですが、女性の場合はさらにそうで、男性以上になかなか大企業で責任ある立場を担う経験を積みにくいでしょう。その結果、入社20年選手でも経験は乏しいということも少なくない。それで、アイデアがあるからといきなり起業をしても、そうはうまくはいかないわけですよ。

仕事を挟んだ夫婦の関係もいろいろ
時代のキーワードはフレキシビリティに尽きる

野田:結婚をしているとして、旦那さんの協力は得られないものですか?
横田:確かに、上手に旦那さんを巻き込みながらやれるのであればいいですけど……、最近の傾向を見ていると、女性はある程度、自分で働いて貯めた貯金を持っているので、それを元手に起業する。私自身そうでした。だから、旦那さんには「文句を言うな」と言って始めるケースが多いです。
 大企業である程度のキャリアを積むと、自分のお金でとりあえずは起業できます。旦那さんも「俺の懐が痛むのか」「俺が稼いできたもので失敗する可能性があるのか」と思ったら黙っていられないですけど、そうでないとすると、温かく見守る、または冷静に傍観できますね(笑)。
 わが家は「勝手にやるのはいいけど、お前、泣くなよ。連帯保証人は勘弁してね」という感じです。自身で多少稼げていて、自分で始められる環境を作ればやりやすいというのは事実です。
野田:まあ、確かに。旦那さんの知恵を借りるとなると、喧嘩になる可能性のほうが高いかもしれないですね。そうならば、むしろ外部のブレーン、あるいはパートナーのほうがいいですね。
横田:いずれにしても、外部の人を混ぜていかないと苦しくなると思いますね。旦那さんが「俺のほうがビジネスをわかっている」と言って、上から目線で入ってくると、もう地獄です。
 うちの場合も、最初にJ300を企画した際は、旦那は冷たかったのです。「そんなリスクを背負ってどうするの? できるの?」と言うわけです。でも、1回目が成功した後のことですが、1週間ほど、私自身は報告などに明け暮れていたときに、参加者のブログを探して読んで、「お前、すごいことやったんだな」って、教えてくれたのです。私はそういう評価がどれだけ出ているかなどということはちっとも知りませんでした。
野田:なるほど、そういう支援もあるのかな。
横田:精神的支援も重要です。信じてくれる、あるいは評価してくれる相手の存在は、何物にも代えがたいものです。
 ただ、パートナー関係はいろいろ。中には奥さんの成功を妬む男性もいます。誤解なきように言えば、逆ももちろん同じくあり得ます。
野田:そこは難しいところですね。
横田:違うケースもあります。数年かけて旦那さんに信頼してもらう。「あ、本気なのだな」とわかってもらって、旦那さんに会社を辞めて自分の会社に入って手伝ってもらうというケースです。それでちょっと経営的に不安定な時は、旦那さんにまたサラリーマンや自分の仕事に戻ってもらう。そこは時代が変わってきていると言えますね。少なくとも、バリエーションは増えています。
野田:起業とは関係がない話なのですが、生き方のバリエーションとして、ふと思い出したのが私の同級生の話です。
 その人間は、生命保険会社に入って、3年で辞めたんです。かなり優秀だったのに、辞めた。それで理由を聞いたのですね。そうしたら、彼は社内結婚をしたのですが、嫁さんも優秀だった。当時の社内慣行として、社内結婚の場合どちらかが会社を辞めるか、部署移動になる。大体の場合、女性側が辞めるかそれまでのキャリアを捨てて部署移動になる。それで考えた。どう考えても、自分のほうが再就職しやすい。だから、自分が辞めることにした。それで彼は、暇だったから大学院に入った。博士過程まで進んで、それで大学教授になってしまうのですね。見事な人生だなと思いますね。結局彼は今、夫婦でニュージーランドに移住しています。目茶目茶うらやましい、自由闊達な人生ですよね。
横田:人生いろいろですよね。選択肢が増えていますね。
野田:いろんな人、いろんなカップルがあっていいわけですよね。女性社長を目指してほしいし、そんな女性社長を支える旦那を目指してもいい。それらの人生も、決して固定的に考える必要はない。
 その意味では、キーワードはフレキシブルですね。しなやかで、したたかということです。上下でしか考えられない人ってまだいるけど、それはもう古いかな。その意味でも、女性のしなやかさに男性は見習うべき点が多そうですね。


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男性以上に、女性のキャリアのほうが

選択肢が豊富でバラ色かもしれない

野田:実際、女性社長予備軍は増えていますか?
横田:増えていますね。間口は確実に広がっています。環境も整いつつありますから、女性もいろいろな意味でキャリアを積みやすくなっています。だから選択肢が広がっています。社内に残る選択肢もあるし、社外に出る選択肢もある。なので、予備軍は本当にたくさんいると思います。
 若い人もそうですが、40代後半の人でも、私が独立すると言ったら出資するという人がたくさんいると言う人もいます。だから「何か事業のネタない?」って聞かれて唖然としたこともあります(笑)。
 確かに、誰がどう事業化していくかのほうが大事で、事業アイデアは種でしかないという面はありますね。
 いずれにしても、社内で偉くなる女性の中でも、次の選択肢、その先のキャリアを考えている人は確実に増えています。
 たとえばある大手製造業で管理職をやってこられた方ですが、お子さんが大学生になったのを期に独立して、旦那さんの経営していた板金工場を立て直してしまった。製品化とコラボレーションの力を駆使して、新製品を開発して、販売まで行うように体制を作って、下請けから脱却させてしまったのです。
 起業しても、うまくいかなかったらすぐに畳んでまた組織に戻っていく。借金はせずに、自分が損の出来る範囲で試してみるという人もいます。変わり身が早いのです。
野田:それは男性にはできないな。男性って、勝手に背負ってしまうのですよね。負わなくてもいい責任も負ってしまう。そこがよくない。無責任くらいのほうがよくって、ダメなものはダメだと思えない男性は厳しいですね。彼らは、決まって最後は腹を切ろうとするのですよ。
横田:男性のほうが真面目なんですよね。

 

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