北島秀一・山路力也・山本剛志 共同責任編集
【目次】
『ご挨拶』(北島竜二)
□クロスレビュー「必食の一杯」
■ラーメン活動月報(8月)
□告知スケジュール
■編集後記
■巻頭コラム
『私がラーメンにはまった瞬間』北島秀一
「北島がラーメンにハマった瞬間」と言うと、おそらくかなりの人が「ああまた桂花の太肉麺の話か」と思うだろう。確かにまあそこが一番山場ではあるんだが、本当の意味で「ハマった瞬間」の話をするならその前段階が一個所。そして、その後の「本当にハマった瞬間」のもう一個所、計二カ所を話さなくてはならない。
私がラーメンにハマったのは進学で上京してからで、高校(&浪人)までを過ごした広島市時代は自宅近所の中華屋で普通のラーメンを食べるだけだった。すずめも陽気もしまいも未食どころか名前も知らない。当然ラーメンにいろんな種類がある事も知らない状態で上京。大学生活がスタートしたそこの学食にあったのが「九州ラーメン」だった。今にして思えば業務用の豚骨ペーストをとかしただけのスープに、醤油も味噌も九州も共通の普通の麺。具材には何故か唐揚げが載り、その唐揚げが無くなるとゆで卵半個に切り替わると言う謎のラーメンだったが、とにかくその時に始めて真っ白な豚骨スープを見たし、そもそもが「九州にはこんなラーメンがあるの?」と衝撃を受けたのをよく覚えている。
進学先の関係で、通学路に渋谷のあった私はその衝撃が覚めやらぬ間に、当時渋谷で大人気だった「ふくちゃん」に出会った。さすがに学食のラーメンより更に本格的な九州豚骨。替え玉システムに驚き、替え肉・替えスープ・5つの具材入れ放題など、本当にカルチャーショックだった。そして少し遅れて更に衝撃を覚えたのは、当時秋葉原に出来たばかりだった「九州じゃんがららーめん」。この出会いで私は九州豚骨ラーメンを強烈に意識するようになり、「桂花」で完全に心を鷲掴みにされる事となる。
が、ここまでの話はあくまで「桂花にハマった瞬間」だ。より広く「ラーメンにハマった瞬間」を言うなら、桂花のあった渋谷プライム麺道場に「げんこつ屋」が登場した瞬間であろう。鶏と魚介のマイルドで奥深いスープに、多加水で柔らかいのにもっちりと歯ごたえと風味のある麺。卓上調味料を載せないこだわりに、肩ロースの柔らかくジューシーなチャーシュー。ある意味「桂花」とは真逆な設計なのに、このラーメンがまためっぽう美味い。この二杯を対比する事で、「大桂花馬鹿」だった私は「ラーメンの驚異的な幅広さ」を知り、本を片手に有名店を片っ端から食べ歩くようになった。
その「本」の、「ベストオブラーメン 文庫版」にもまた並々ならぬ思い入れがあったりするのだが、その話はまた別の機会に(笑)。【ラーマガ011号より転載】
『ご挨拶』北島竜二
早いもので兄が亡くなってから一年。それまで存じ上げなかった方々からも多くの励ましを頂戴し、大変元気づけられました。また最後の入院はもちろん、その他にも病気やケガの多かった兄に対し、たくさんの方が様々な形で心配りをくださったことも、本当にありがたかったと改めて感じております。その節は大変お世話になりました。故人に代わり、深く御礼申し上げます。
遅ればせながら本日、神奈川県茅ヶ崎市の「成就院」に於いて、納骨法要を近親者のみにて執り行わせていただきました。兄の直前に亡くなった母が「樹の下で父と眠りたい」と申していたこともあり、19年前に亡くなった父も一緒に樹木葬という形で供養することにいたしました。
兄も母の願いをかなえたいと考えていたので、今は久々に親子三人の時間を静かに過ごせているのではと思います。甚だ勝手で失礼なお願いと存じますが、お近くにお越しの際にはお参りいただければ大変うれしく存じます。
なお、勝手ながらお参りの際はお花、お線香以外のお供えはご遠慮いただきますようお願いいたします。またお花が花立に入りきらない場合は、先にお供えしてあるお花を手桶に移し花立の脇に置いていただけますと幸いです。
兄が生前にいただきました御交誼に心から深く感謝申し上げるとともに、略儀ながら書中をもって御礼のご挨拶とさせていただきます。
平成27年8月30日
北島竜二(北島秀一 弟)
□クロスレビュー「必食の一杯」
一杯のラーメンを三人が食べて語る。北島、山路、山本の三人が、今最も注目しているラーメン店の同じ一杯をクロスレビュー。それぞれの経験、それぞれの舌、それぞれの視点から浮かび上がる立体的なラーメンの姿。今回は今年4月、曙橋にオープンした新店「鯛塩そば灯花」の「鯛塩そば」を山路と山本が食べて、語ります。
「鯛塩そば」780円
(写真は半熟味玉付き 880円)