ラーマガ限定「NAKED」#014
立川中華そば とと ホンテン『魚×魚(ととかけ)』
ラーマガと人気ラーメン店によるコラボレーション企画「NAKED」。毎月1軒の人気ラーメン店がラーマガ限定ラーメンの「かけラーメン」を創作します。ラーメンの根幹ともいえる「麺」と「スープ」だけで食べさせる、作り手の技術と食べ手の味覚に挑むような究極の限定ラーメン。
通算第14作目となる11月は、立川の人気店『ととホンテン』が登場。身体に安心安全なオーガニック素材に造詣が深い店主高橋さんが作るNAKEDは、ととらしさが存分に発揮された一杯に。スープは通常のととと同じく2種類の煮干し、丸鶏、昆布でとった清湯スープ。そこに有機白醤油とともに加えられた隠し味は「オーガニックトマト」。グルタミン酸を豊富に含むトマトを使用することで、自然な旨味をプラス。燻製した厚削り節とエシャロット、ニンニクで作った特製香味油が、よりスープに深みを与えています。薬味には自家焙煎した玄米を乗せ、香ばしさのアクセントに。麺は100%内麦使用で平飼い地鶏の卵を用いたオリジナル。どこまでも味わい深く、オーガニックなNAKEDが完成しました。
山路力也
何度もここで書いているように、NAKEDというネーミングはその言葉通りに「裸の、素の」という意味合いで、具材を乗せない「かけラーメン」から思い浮かんだ名前であることは間違いないのだが、それと同時に店主のラーメンに対するシンプルな素の姿勢が浮き彫りにされる、というもう一つの隠しテーマも潜んでいたりする。その店主はラーメンに対していったいどのような意識で向き合っているのか?それがストレートに表現されるのがNAKED。今回のととホンテンのNAKEDは、まさに高橋さんの料理人人生が注ぎ込まれた一杯になっているかと思う。
高橋さんがラーメン店を営む前は料理店をやられていたのは、ほとんどの方がご存知のことだろう。ラーメン店をやるよりも遥かに多くの食材や調理法と出会ってきた中で、身体に優しく自然に沿った形の「オーガニック素材」に意識を払うようになっていった高橋さん。有機栽培による農作物や調味料などは、その手間の掛かり方もさることながら、市場ニーズが低いために価格も高くなる。安価に提供することが当然とされているラーメンにおいては、原価を考えたら正直割が合わない素材たちであろうと思う。しかも安易に麺だけは無添加とか、タレは有機醤油とか、そういう話ではなくて、丼の中に入るすべての素材に対して、完全なオーガニックを貫くということは、商売よりも思想や哲学が上回らない限りは困難だ。しかしそれをやり続けているのが高橋さんなのだ。
具材が乗らない麺とスープだけの「かけラーメン」は、調理技術のみならず素材そのものの良し悪しが重要なファクターとなる。それはまさに高橋さんのように素材に意識を払い続けてきた人が作るべき一杯ではなかろうか。麺に使う小麦、卵、スープに使う煮干し、鶏、昆布、タレに使う醤油、トマト、そして香味油に使う油やカツオ節、エシャロット、ニンニク、薬味の玄米。パッと思いつくままに挙げただけでもかけラーメンとはいえ、これだけの素材が使われている。そしてそれらすべての製法をチェックして、安全性の高くかつ美味しいものを厳選する。たかがラーメン、されどラーメンという言葉を具現化するような作業ではあるまいか。
様々な素材の旨味が綺麗に一体感を産み、そこには一切尖った部分や引っかかる部分はない。そして麺との調和も完璧。麺とスープに全意識を集中して味わえば味わうほどに、その一体感に驚かされることだろう。唯一アクセントとして私たちに訴求してくる玄米は、まさにオーガニックをアイコン化したもの。香ばしさや味わいもさることながら、その存在意義そのものがメッセージとして私たちの心の中に突き刺さる。
ラーメンが身体にいい食べ物ではないことは否定しないし、健康に対して神経質な人はラーメンを食べるべきではないと思っているが、こういうラーメンもあるのだ、ラーメン屋もこういうラーメンも作ることが出来るのだということは、私たちラーメン好きは誇りに感じて良いと思う。
山本剛志
魚の美味しい、素材を厳選する料理屋「魚魚」が、今の「ととホンテン」の原点。今回のNAKEDでは、原点を意識しつつもラーメンらしさも兼ね備えた一杯を提供してくれた。
スープは煮干し・丸鶏・昆布を使った澄んだスープで、基本メニューの「中華そば」に用いているもの。それだけではかけラーメンとしては一杯を食べさせる力が弱いため、醤油ダレにグルタミン酸の旨みをプラス。オーガニックトマトの上澄み液をタレに加えている。また。香味油にも鰹節やエシャロットなどくを加えていて、すっきりだけでは終わらせない、アクセントをつけた味わいにまとめている。麺は国産小麦に平飼い地鶏の玉子を加えて食感をプラスした中細麺150g。シャッキリと茹でた麺を啜れば、スープの上にかけた焙煎した玄米が麺にも絡み、薬味として楽しめる。
ラーメンらしさを加えたこの一杯、高橋店主によってほぼ完成していたが、ネーミングだけが決まっていなかった。「魚魚」で「とと」なので、「かけ」を含めて「魚×魚」で「ととかけ」。魚介を知り尽くした店主らしい一杯に、このネーミングが決まった事も嬉しい。是非、この店の原点と今に通じる技を感じとってほしい。
【NAKED #014】
立川中華そば とと ホンテン(東京都立川市曙町3-22-15)
「魚×魚(ととかけ)」800円
販売期間:11月1日(土)〜30日(日)
(ラーマガ有料会員ではなくても注文が可能です)