ラーマガ限定「NAKED」#013
G麺7『らーめんかけ』
実食インプレッション
ラーマガと人気ラーメン店によるコラボレーション企画「NAKED」。毎月1軒の人気ラーメン店がラーマガ限定ラーメンの「かけラーメン」を創作します。ラーメンの根幹ともいえる「麺」と「スープ」だけで食べさせる、作り手の技術と食べ手の味覚に挑むような究極の限定ラーメン。
通算第13作目となる10月は、NAKED史上初となる神奈川よりG麺7が参加。先月急逝された北島秀一さんが直接オファーした最後のNAKEDは、店主後藤さん曰く「特別な素材を用いずに、手間暇と技で作り上げました」という志高い一杯。2種類の製法で仕上げた背脂が味の決め手となるスープと自家製麺が奏でる絶妙なハーモニーが、食べ進めるごとに深まっていきます。
山路力也
NAKEDのお店を決める時はミーティングの中で、思いついた店を挙げていって3人で決めていくのだが、後藤さんにお願いしようと言ったのは北島さんだった。基本的に言い出しっぺがオファーすることが多いので、後藤さんに北島さんがオファーしたわけだが、オファーから発売までのタイミングが少し空いてしまった。これは単純に他の店が9月まで既に決まっていたこともあったし、最初の一年は読者の方が行きやすいであろう23区内のお店にお願いしようというコンセンサスもあった。そんなことから上大岡のG麺7は2周り目となる13作目と決まったわけだが、今から思えばもっと早い時期に出して貰えたら北島さんも食べることが出来たのかなぁ、などとちょっと後悔もしている。
さて、北島さんがオファーした最後のNAKED。後藤さんは自分の作りたいものであることは当然ながらも、北島さんの思いを真ん中に据えてラーメン作りをされていたように思う。試作の段階では、ことあるごとに「北島さんならこっちが好きだと思うんですよね」とおっしゃっていたし、私たちも北島さんならどう思うかな?と思いながら食べていた。
「変わった食材を使うことはせず、手間と技で喰わせたい」と後藤さんは言った。それこそが後藤さんのラーメンにかけるNAKEDな(素の)思い。背脂を異なる2つの製法で仕込み、味や風味に差をつけてみたり、一杯作るごとに追い鰹や追い煮干しをすることでフレッシュな魚介の風味をプラスする。いやこれは原価的には折り合うからこその550円なのだろうけれど、もの凄い手間ひまがかかっているからこそ、この味になるのだ。
正直、私はこのラーメンが550円というのはおかしいと思っていて、試作の時もせめて650円にしようと主張したのだが、後藤さんはやはり具も乗っていないかけラーメンなので安くしたいということだったのでこの価格になった。しかし、敢えて言わせて貰うなら、原価は確かに安いのかも知れないが、その分手間暇、時間、技術が普通のラーメンよりも使われているはず。ラーメンの価格は原価だけで計算されるものではない。プロの技に対しても正当な対価が支払われて然るべきだと考えている。このラーメンにはそれだけの価値があると思うのだ。
山本剛志
北島さんから「G麺7の後藤さんにNAKEDやってもらおう」と、春から聞かされていた。8月に後藤さんにインタビューをした際にも、NAKEDに関する思いを語ってくれていて「北島さんにも食べてもらわなくちゃ」と語り合った。一番強調されていたのは「かけラーメンにする以上、普通のスープで値段は通常のラーメンより安くしたい」。ワンコインはさすがに難しかったが、550円は過去13作で一番安い。
単に安いだけでなく、通常のラーメンとは違う魅力もしっかりとプラス。まずはスープに鶏節や煮干しや鰹節をプラス。G麺7では初の魚介系プラスで味わいの奥行きを深め、それでいて動物系の力強さを持っているG麺7ならではの味わいは損なわれていない。自家製の中細ストレート麺が滑らかにスープに馴染みつつ、食感が違う2種類の背脂が麺やスープに絡みつくことで、その香りを含めて一気に食べられる。このメニューの為に用意してもらった薬味ネギも舌をリフレッシュさせてくれる。
ラーメンとしてのシンプルさとG麺7としての個性を両立させて、かけラーメンらしさも楽しめる一杯、気軽に頼んで、舌と胃袋でじっくり、ゆっくりと味わってほしい。
【NAKED #013】
G麺7(神奈川県横浜市港南区上大岡西3-10−6)
「らーめんかけ」550円
昼の部限定(ご注意下さいませ)
販売期間:10月1日(水)〜31日(金)
(ラーマガ有料会員ではなくても注文が可能です)