■「ラーマガ」本誌に載せきれない「ラーメンイベント速報スペシャル」です
「ラーマガ」本誌は、10日ごとの発行なので、今回はこの3連休に見てきたラーメンイベントのレビューをこの号外で掲載します。今回は以下の3つのラーメンイベントと、15杯のレビューを掲載します。ラーマガ本誌と合わせてお楽しみください。
・「大つけ麺博」第二陣(6杯)
・「町田ラーメン祭2014」(3杯)
・「つくばラーメンフェスタ2014」(6杯)
□目次
1.大つけ麺博第二陣レビュー
2.大つけ麺博第二陣:全6店レビュー
肉玉そばおとど<昨年つけ博3位のプライド!>
吉田商店<今年は佐野ラーメンを意識しつつ独自のつけ麺>
Junk Story<関西若手の雄が鶏白湯煮干しで勝負>
五ノ神水産<銀だらでダラダラいかせて>
ストライク軒<大阪からの魔球はウイング麺>
麺屋 菜々兵衛<北海道の味を実直に出してます>
3.町田ラーメン祭2014レビュー
4.町田ラーメン祭2014:3店舗レビュー
麺匠佐蔵<安養寺味噌を東京へ!>
とろぽたや<沼袋のとろとろ派!>
鯵壱北條<小田原の味と鯵を広めたい!>
5.つくばラーメンフェスタ2014レビュー
6.つくばラーメンフェスタ2014:6店舗レビュー
猪貴×ドラゴンラーメン×稲葉<茨城の濃厚味噌ラーメンコラボ!>
喜元門×喜乃壺×華丸<茨城の人気店、鶏と煮干しと直火焼きコラボ!>
渡なべ<東京の行列店が海老そばで、看板に店名を入れないワケは…?>
活龍<つくばの福来ミカンを練り込んだ「福来麺」が堂々デビュー!>
小五郎×ごう家<つくばの2軒がつくば鶏を鶏白湯スープで>
東京スタイルみそらーめん ど・みそ<高品質の味噌をMAXスピードで!>
1.大つけ麺博第二陣レビュー
歌舞伎町の「大つけ麺博」も、10月9日から第二陣スタート。第一陣は「レビュー増刊12号」で紹介しましたが、つけ麺博の概要としては以下の通りで変わりません。
・会場の「大久保公園」は、東京都新宿区歌舞伎町2-42-3。
・毎週木曜日から水曜日まで、第一陣から第四陣が6店舗ずつ出店。
・営業時間は11:00~21:00(10/8、10/15、10/22は15時で終了)。
・全店共通の食券制。普通盛880円、女子盛(女性限定)800円。
・セブンイレブンの前売りは、普通盛だと830円になる。
第一陣も第二陣も平日に見ているので、大きく混んではいない。ただ、メディアへの露出があったためか、第二陣の方がやや混んでいるようにも思える。第一陣に続いて、第二陣も週末に台風の心配が来てしまったのは残念だが、いずれも質の高いつけ麺になっていると思う。
第二陣の6軒のつけ麺も、ラーメン仲間がやってきて皆でシェアしながら食べられたので、それぞれについて少し短めにレビューします。
2.大つけ麺博第二陣:全6店レビュー
-----------------------------------------------------------
【肉玉そば おとど】
「濃厚旨辛鶏つけ麺」880円
※10月15日まで
つけ麺専門店でないにも関わらず、昨年のつけ麺博で3位に入った事でつけ麺界隈を驚かせた店。今年は去年から味を変え、ベースはおとどで初の鶏白湯濃厚つけ汁。肉も鶏肉へ変更しているが、濃い目の味付けは共通している。麺の上には他に青ネギと、「ご当地つけ麺」という事で、千葉県産のピーナッツをたっぷりと。つけ汁はラー油を加えてピリ辛にできるが、辛味噌をトッピングして辛さを増した方が私の好みだった。つけ汁の中には卵黄も入っているので、中太のストレート麺をつけながら卵黄を崩してとろみを増しながら啜りこめばインパクトも増してくる。辛味噌を含めて具材が一気に増える「全部増し」もありかと。今年もまたしても「ごはんが進むつけ麺」だとは思うが、ライスはメニューにないので、ごはんを持ちこんでいる人がいるとか(笑)
鶏だって 濃厚な味で 押し進む
【吉田商店】
「吉田流・佐野つけそば・牛モツの襲来!」880円
※10月15日まで
栃木県小山市で人気のラーメン店。2年連続の登場だが、去年の濃厚系の逆を行き、今年は隣町の「佐野ラーメン」のモチーフにしたつけ麺。麺は佐野ラーメンをイメージした平打ちでぴろっとした食感。麺がくっつくことを防止する為、麺にスープをかけているとの事。つけ汁は豚・鶏・牛を合わせた澄んだスープ。具に熱した牛モツが入る事で、つけ汁に油脂が補足される。牛モツは佐野では煮込みで使われるそうだが、その使い方とは異なる新しいスタイル。つけ汁には更に唐辛子も入っている。佐野ラーメンのスープよりは塩分も感じるが、油や辛味がしっかりと加えられているので、しょっぱさが立つ事もなく、平打ち麺に相性よくのっかってきてくれる。スープ割りには「イカ天」が入るとの事なので、そちらの味の変化にも注目してみてほしい。
地元の味を活かしながら、地元にない新しいスタイルのつけ麺になっているので、是非これはここで食べるしかない。あっさり好きなら、是非この一杯を楽しんでみてほしい。
佐野の味 モツを取り込み 新味へ
-----------------------------------------------------------
【Junk Story】
「たまり醤油仕立ての煮干鶏白湯」880円
※10月15日まで
若い店主が挑む、大阪市高津の行列店。大阪でも人気店という事があり、今回の行列は比較的長い。今回は濃厚な鶏白湯をベースに煮干ダシを加え、更に煮干粉をプラスしたつけ汁。溜まり醤油をタレに加えているので、鶏白湯のありきたりなイメージに染まらず、見た目には非常にシンプルだが、うずらの味玉はつけ汁の中に沈んでいる。焙煎胚芽を入れた麺はかなり太く、やや固めの茹で上がり。回転を上げる為に早めにあげているのかもしれないが、もう少し茹でてくれた方が私の好みには近いかな、という感じ。とはいえ、ブースの回転を見る限り、このペースより遅くなるのはイベントとしてはお客さんを待たせすぎない為に必要なのも分かるので、難しい所とは思う。
レアめに仕上げたチャーシューが分厚くドーンと乗り、食べごたえがある一枚。トッピングで燻製チャーシューを乗せる事もできるそうなので、チャーシュー好みの人はそちらもオススメです。
若さから Junkで挑む 大東京
-----------------------------------------------------------
【五ノ神水産】
「吟醸味噌つけ麺ぎんだら搾り」880円+「銀だらスペアリブ」200円
※10月15日まで
昨年末の開店以来、強烈なインパクトを与えている魚白湯の人気店。「五ノ神製作所」時代に、らーナビ限定提供後に「大つけ麺博」でも販売した「つけ麺ぎんだら搾り」の印象も強いが、今回はその「ぎんだら搾り」に「味噌」を加えてやってきた。
とはいえ、つけ汁にだけでなく、会場中に容赦なく漂わせているのがやはり「ぎんだら」の匂い。つけ汁にはそのインパクトだけでなく、酒粕の匂いもしっかり感じさせていて、甘みと深さが感じられる。軽く一味唐辛子が振られているが、味噌の力がもう少し前面に出ていてもよかったかも。
全粒粉をブレンドした中太麺がぎんだらのインパクトをつけ汁からしっかり受け取っている。つけ汁には鶏肉が入り、麺の上に三角メンマとネギ、薬味のスペースにはガリが入っていて、つけ汁のインパクトをリフレッシュさせる効果をネギとガリで味わえる。
トッピングで気になるのが「銀だらスペアリブ」。銀だらの実を、スペアリブのようにタレで焼き上げたスタイル。味付けが分かりやすくていいのだが、骨が取りづらくて身をほぐすのが大変でもある。
ぎんだらの 匂いを放つ 歌舞伎町
-----------------------------------------------------------
【ストライク軒】
「NEOシンカー(進化系つけ麺)」880円
※10月15日まで
大阪天神橋筋で新進気鋭の店。店舗ではスタンダードな「ストレート」と、貝でひねりを利かせた「シンカー」の2種類のラーメンを提供しているが、「初の東京遠征」と名付けた今回のつけ博では、「NEOシンカー」という新機軸のつけ麺で勝負をかける。いわゆる全部乗せトッピングを「グランドスラム」と名付けているが、その注文を受けるたびに「グランドスラム入りましたー」のコールが、会場内で響いている。
まず驚くのは、「麺屋棣鄂」による、独特の切り歯による「ウイング麺」。太麺とも平麺とも違う形状で、つけ汁をその溝に入れ込んでいる。そしてつけ汁は、鶏と貝を使ったとろみがあるもの。貝のポタージュスープのようなオンリーワンの味。キャベツやパセリ、フライドオニオンがその味に深みを加えている。
麺の上に乗った具は、まずは大きなハマグリが2つ。そして「肉球」と名付けられた鶏つくね。海苔の「緑」、カレー粉の「黄」、唐辛子の「赤」に色づけされているのは、野球場での「ボール」「ストライク」「アウト」表示をモチーフにしていて、笑いがこぼれてしまう。個性的な味ながら幅広い人に美味しく食べてもらえそうで、イベントならではの楽しさも持ちこんでいる。是非食べてみてほしい一杯。
大阪の ノリと味決め 真価出す
-----------------------------------------------------------
【麺屋 菜々兵衛】
「つけめん」880円
※10月15日まで
北海道でラーメンが人気の店だが私は未食。一番端のブースで長い列を作るようなことはなかったが、回転よくつけ麺を提供していた。メインは北海道小麦をつかった中太麺。軽く縮れて小麦の素朴な味わいを出している。つけ汁はアナウンスされている「鶏白湯」のイメージよりはあっさりしていて、鶏清湯に近い。そこに魚介スープや魚粉などを加えているのか、魚介のつぶつぶ感が感じられる。麺を邪魔しないつけダレなので、そのまま麺の力を感じ取りたい。
具はつけ汁の中にチャーシューと穂先メンマ。こちらもスタンダードな味わいで、さまざまな形でインパクトを与えてくるイベントの中ではおとなしく感じてしまうかもしれないが、北海道産にこだわる姿勢を味わいたい。
この小麦 北海道の 風受けて
3.町田ラーメン祭2014レビュー
今年から「町田ラーメン祭」が始まった。会場は「町田シバヒロ」。「どこだよ?」と思っていたら、移転した町田市役所の跡地で、町田第一小学校の隣。ラーメン的には、町田駅から「一番いちばん」に向かう手前、と言っておけば間違えない(笑)。多目的広場として芝生を植えていて「芝生広場」を略して「シバヒロ」らしい(笑)。
第一部初日の11時に着くと20人くらいがチケット売場に並んでいた。チケットは当日券のみで800円。売場は現金扱いが3箇所と「suica」や「edy」などの電子マネー限定の売場が1箇所。特に案内されていないので時に混乱するかも。また、平日の昼の時点で「100円玉が不足しています」とアナウンスされていたので、銀行で両替できない週末は大変な事になるんじゃないかと心配になる。
第一部4日間と第二部3日間で、全9店舗が入れ替わる。第一部は以下の9店舗。「店の味を提供する」がテーマらしい。
・(京都祇園)らぁ~めん京
・(杉並)世界の龍ちゃんよしき坊
・(小田原)鯵壱北條
・(町田)なんでんかんでん
・(松本)麺匠佐蔵
・(中野)とろぽたや
・(新潟見附)みそら
・(町田)ゴル麺
・(博多)長浜ナンバーワン
気になったのは、写真のような店舗の並びで、チケットを買った側に5店舗、その裏側に4店舗が並んでいる事。
この状態だと、全店舗の込み具合を一瞥する事ができない。また、行列が長くなった時の並ばせ方も運営から指示がなかったので、本当に混んだら大変かもしれない。
行列は、チケット売場に一番近い「らぁ~めん京」が比較的長め。あとは味噌味を出している「佐蔵」「みそら」が長かった。最初は「世界の龍ちゃんよしき坊」が並んでいたが、昼過ぎに「スープが切れたために一旦クローズします」とアナウンスされた後は、すぐに再開したようだがそこまでの行列ではなくなった。博多豚骨の「なんでんかんでん」「長浜ナンバーワン」は行列はほぼなし。というか、「なんでんかんでん」と修業元の「長浜ナンバーワン」が同時出店なんですね。あと「なんでんかんでん」の川原社長の姿は、初日の昼過ぎまではなかった模様。なお、第一部の出店店舗は主催者の「産経リテールプロモーション」が選び、第二部の出店店舗については、そこに出店するある店舗の店主が集めたという。
客席は、テントの中に150席を用意。平日昼ごろで七割くらいは埋まっていたかと。テントの片隅に、ジュースやビールを売るコーナーが、主催者によって設けられています。ごみ箱はそこそこの大きさがありますが、スープを入れる容器が、他のイベントより小さくて、これも混んだ時に混乱しないか心配。
運営側にイベント慣れいていない感じがあり、知名度のある店が更に増える第二部で混乱しないか少し心配もある。
4.町田ラーメン祭2014:3店舗レビュー
【麺匠 佐蔵】
佐蔵味噌らぅめん(800円)
※10月13日まで
2010年、松本に開店したラーメン店。佐久にある「七代目助屋」の姉妹店との事。つまり、かつて新宿に出店していた「三代目助屋」とも繋がりがある。「佐蔵」と書いて「さくら」と読むらしい。佐久市では、地元の「安養寺味噌」を使った味噌ラーメンをPRしているが、こちらの店でも安養寺味噌を使ったラーメンを提供しているそうで、店舗では色々なメニューがあるようだが、今回のイベントでは味噌ダレを濃厚豚骨スープを割った「佐蔵味噌らぅめん」で参加。
濃厚だが匂いを控えめにした豚骨スープなので、味噌で割るとその存在感は結構抑えられる。細麺なのでするすると食べられるが、もう少し安養寺味噌の特徴が分かりやすく出てもいいのかな、とも思える。それだけに、肉味噌を軽く乗せているのはいい感じ。この肉味噌を増せるようにしてもいいのかもしれない。メンマの量が多く、チャーシューも大きく分厚いのは「三代目助屋」を思い出させるもの。値段なりの存在感はあるラーメンにまとまっていると思う。
信州の 味噌で咲けるか 味の華
※10月13日まで
※10月13日まで
5.つくばラーメンフェスタ2014レビュー
【猪貴×ドラゴンラーメン×稲葉】
【渡なべ】
【活龍】
【小五郎×ごう家】
【東京スタイルみそらーめん ど・みそ】
■編集後記
ラーメンイベントは、規模も目的もそれぞれ。今回、3日連続で「大つけ麺博」「町田ラーメン祭」「つくばラーメンフェスタ」を巡ってみて、「いろいろあるんだなぁ」と新鮮な気持ちになった。この3つ以外にも全国各地でラーメンイベントが行われているそうなので、皆さんも是非ラーメンイベントへ。そして、日本最大規模のラーメンイベント「東京ラーメンショー」への期待も高めたいと思います。
山本剛志:ラーメン評論家、ラーメン王。1969年生まれ。東京都出身、東京都在住。TVチャンピオン第6回ラーメン王。ラーメンwalker「百麺人」。