北島秀一・山路力也・山本剛志 共同責任編集
【目次】
□クロスレビュー「必食の一杯」
■連載コラム(第35回)
『ラーメンの憂鬱』〜ラーメンイベントの明暗(山路力也)
『教養としてのラーメン』〜戦後ラーメン史(10)~ご当地ラーメンブーム再燃から麺の時代へ~(山本剛志)
□告知/スケジュール
■編集後記
■巻頭コラム
『ラーメンと行列』北島秀一
ラーメンに限らず長い行列があると「儲かってるねえ」などとすぐに言われそうだが、実際にはお店にとってはマイナスな要素も大きい。長すぎる行列はどうしても周囲との軋轢を生む。実際に行列客のマナーが悪い場合もあれば、周辺からのやっかみなどもあったりで、場合によってはマスコミ登場を自粛したり、最悪は閉店や移転に追い込まれるケースがあるのは読者諸兄も耳にした事はあるだろう。
とりわけ影響があるのが、開業してまだあまり間もないお店が、いきなりTVなどで爆発的な話題を呼んでしまうケース。何しろお店側も不慣れだし、行列をさばくスタッフも足りない。お店の回転も追いつかない。普段なら常連さんがサイドメニューに大盛りやトッピングをのんびり食べてくれるのに、TVで来た一見客はたいていTVで見たノーマル品しか頼まず客単価は落ちる。頼りの常連さんはその行列を見てお店を回避して下手をすると戻って来てくれない。やっと行列をさばける体制が出来た時には既にTV客は消え、周囲からの冷たい目と、くたくたに疲れた店主だけが残る……ともなりかねない。
おそらくは、これから開業する店主さんにとって「常に行列が絶えない店」は大きな目標だろう。その為には、もしマスコミから話が来たら片っ端から受けたくもなるだろう。それ自体を止めるつもりはないが、よほどの例外を除けば一発や二発のTV露出は本当に一過性の物。また、先輩店主の話をよく聞いて行列の恐ろしさをしっかり認識しておいて欲しいなと思ってしまう。
そして、以上の論より更に大事な事。食べる側(並ぶ側)はマナーを守ろう。それが最終的には美味いラーメンを守るために並ぶ側が出来る一番の仕事だ。(ラーマガ008号より転載)
□クロスレビュー「必食の一杯」
一杯のラーメンを三人が食べて語る。北島、山路、山本の三人が、今最も注目しているラーメン店の同じ一杯をクロスレビュー。それぞれの経験、それぞれの舌、それぞれの視点から浮かび上がる立体的なラーメンの姿。今回は松戸市馬橋に2月オープンした新店『麺や ふくろう』の「醤油」を、山路と山本が食べて、語ります。