産業新潮9月号連載記事の冒頭部分です。
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■実力主義
バフェットは、「成果を出す前に従業員(役員)に報酬を与えてはいけない」と言います。それだけに、役員や従業員のビジネス上の成果とは何ら無関係に 「棚から牡丹餅」的に、彼らに報酬が転がり込んでくるストック・オプションは、「株主への背信行為」であり、「株主の懐の財布に手を突っ込む行為=泥棒」 とまで述べて、厳しく非難しています。実際、ストック・オプションの費用はすべて株主の本来得るべき利益=財布の中から支払われるわけですし、大部分の投 資家(株主)はその事実に気が付いていませんから、彼が「泥棒」とまで言って憤慨するのはよくわかります。
巷では、ストック・オプションの導入によって、役職員の能力ややる気が引き出されて業績が向上するから株主にもプラスになるというような、いい加減な話 が流布していますが、これは全くの間違いです。ストック・オプションは、一度与えられると、たとえその対象となった役職員が仕事を怠けていても、何かの ブームで販売商品が爆発的に売れて業績が向上して株価が上昇すれば、巨額の報酬がその怠けている役職員に与えられるシステムです。さらには、業績が低迷し ているにも関わらず、バブルで株価が上昇するだけでも怠けている役職員に多くの報酬が支払われることになります。
しかもすべての投資家が、株価の下落の際に大きな損失と痛みに耐えなければならないのに対して、ストック・オプションを与えられた役職員は1円の損もせ ず、株価下落(業績悪化)に対する何の責任も取りません。ですから、ストック・オプションを採用するようなモラルに欠けた経営者のいる企業が投資対象に向 かないのは、いうまでもありません。
もし、役職員が自分自身の仕事の実績に自信と誇りを持っているのであれば、その実績を株主にきちんと示して、明確な給与(ボーナス)の形で報酬を受け取 ればよいのです。正々堂々と金額が明確な給与(ボーナス)の形で受け取るだけの自信が無いから、実態が不透明なストック・オプションを採用するのだといわ れても仕方がありません。
また、自分が働く企業を誇りに思い将来性に自信があるのなら、ポケットマネーで自社株を買えばよいだけのことです。実際、従業員持ち株会という素晴らし い制度がありますし、自社株を買う資金は、仕事の実績を上げて稼げばよいのです。言うまでも無く、すべての投資家は、自分の稼ぎで株式を購入しています。
最近は、ストック・オプションの行使に、「業績面の目標値をクリアーすること」という条件を設けるケースが見受けられます。この場合、ただ株価が上がっ たらといって牡丹餅式に儲かるストック・オプションよりはるかにましという面で、一歩前進です。しかし、そこまでして無理にストック・オプション制度を導 入しなくても、自分のポケットマネーで株式を購入するか、手元に資金が無ければ、会社が役職員のために自社株購入用のローン制度を導入すればよいのです。 自分のポケットマネーで、自社株を購入したくないと役職員が言うのなら、その企業は投資家にとっても当然魅力が無い企業です。
★続きは産業新潮9月号をご参照ください。
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(大原浩)
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GINZAXグローバル経済・投資研究会・代表大原浩著
*ブログ「大原浩の金融・経済地動説」http://www.actiblog.com/ohara/
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)
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