日本の株式市場には保有している純資産よりも時価総額が小さな銘柄がたくさんあります。今年はそうした低PBRを放置している企業に東証から改善要請が出て、そうした銘柄が見直される展開がありました。

 今年のこの動きは果たして一過性なんでしょうか?
 一頃人気化した低PBR銘柄の株価はこのところはやや大人しくなってきたとの印象がありますが、筆者は来年もまたこの流れが続いていくと予想しています。
 企業側から具体的なPBR1倍超えに向けた改善計画が示されることで、投資家がそれに反応してリスクテイクする流れが、年明けから予想されます。

 そうなるとまた個人投資家の皆さんの物色は低PBR銘柄に向かうということになりそうです。そうなると中途半端な銘柄の運用成果は上げ難いということにもなりそうですが果たしてどうなりますか。


 今回から本コラムでは今年一時活躍しながら後半にまた調整している低PBR銘柄を数銘柄ずつ取り上げていきたいと思っておりますので宜しくお願いします。


1.王子ホールディングス(3861)

 今年創業150年を迎えた製紙業界のトップ企業。
 今年の9月に678円まで買い進まれたが、2Q決算発表時に今期業績を下方修正したため株価は急落を演じ、現在は530円前後で推移しています。
 今期業績を下方修正したとは言え、今期予想EPSは57.5円で予想PERは9.2倍、実績PBRは0.52倍、配当利回り3%、時価総額5300億円(予想経常利益900億円)という水準。
 来年は同社を創業した渋沢栄一氏が新紙幣に登場予定。
 日本最大の山林保有会社でインドなどの新たな成長市場など世界的に活躍中。
 環境ビジネスにも注力。


2.日本山村硝子(5210)

 今月で設立82年を迎えた日本最大の硝子瓶メーカー。
 コロナ禍で過去3期間で累計132億円の経常赤字、特損含め180億円の累計赤字を計上するなど苦境が続いたが、今期からは黒字に転換。50億円の経常黒字、特別利益計上もあり当期利益107億円、EPS1047.8円を計上するとした。
 業績の好転を受け株価は年初の509円から8月の2120円まで4倍になったが、その後は調整の動き。一過性の利益計上でEPSはイレギュラーに膨らみ時価予想PERは1.36倍の水準。実績PBRは0.3倍、配当利回り2.1%となっている。
 時価総額は148億円、今期の予想営業利益32億円が来期も継続するなら極めて割安な水準と言えそう。
 硝子瓶は私たちの生活に不可欠なサーキュラーエコノミーの典型的な商材。
 籾殻由来の原材料を用いた画期的な硝子瓶を開発するなど研究開発に注力。


3.日本テレビホールディングス(9404)

 今年開局70周年を迎えた民間放送メディア。
 インターネットメディアの隆盛でオワコンとの評価で株価は長期低迷してきたが、低PBR銘柄人気で今年は反転上昇。
 年初の安値1003円から9月高値1675円まで67%上昇し、直近は1400円台で推移。今期は記念配当3円を含む40円配当を実施。
 豊富な現預金や投資有価証券で下値は堅いが、上値も重いとの印象。
 時価1477.5円は今期予想PER10.6倍、実績PBR0.43倍、配当利回り2.7%の水準。
 M&Aに注力。


4.日創プロニティ(3440)

 福岡に本社を置く金属加工、ゴム加工、タイルなどのモノづくり企業。
 加工の総合企業を目指し、中小モノづくり企業をM&Aでグループに入れて成長を図る。
 年初の550円から7月高値1011円まで84%上昇したがその後、今月安値669円まで34%調整。時価670円は予想PER14.6倍、実績PBR0.39倍、配当利回り4.48%。
 時価総額43.8億円(今期予想営業利益5億円)


(炎)


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