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バックナンバーから「効果的な組み合わせ」

2014/07/25 12:36 投稿

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街のコンサルタント氏の過去配信ライブラリから、コラムを再編集して掲載いたします。
 なお、内容は執筆当時の背景に基づいており、現在の状況と必ずしも一致しないことを予めご了承下さい。
  (億の近道・2012/10/18配信号)

※注 2012年10月現在の内容ですので留意下さい。

【前略】

 さて、金融商品に関する記述につきましては毎回複数のコメントを頂戴しますので、おさらいの一環として、投信について以前に書いた続編を書きます。初歩的なことばかりですので詳しい方はお読みいただかなくて良いかと思います。

 ここ数年は利回りの高い外国債券等に投資するファンドが多くみられます。海外の配当利回りの高い株式に投資するものやREITなども多いようですが、2000年代に入ってからの主要ラインナップはその殆どが「好利回り」を謳うファンドです。
 1990年代後半から国内の円金利が急激に下がり、定期預金にしても今や何かキャンペーンでもない限り1%を大幅に下回る金利しか付きません。普通預金 に100万円預けておいても1年で100円にしかならないのですから、預金と言うよりは現金保管が主目的で、一部の銀行では一定額を超えないと口座管理料 が取られるほどです。

 このような市場環境ですから、幾らかでも利回りの高い運用をと考えるのは当たり前で、それ故にリスクを取ってでも高い利息が欲しい投資家を誘導するた め、一昔前のオーソドックスな株式投信では無く、外債や外国株式、不動産などに投資し、且つ見栄えだけでも利回りが高く、毎月分配がある…などを売りにし た投信ばかりになりました。もちろん従来型の株式投信のパフォーマンスが悪過ぎた、インデックスさえ上回れないなど投資家を裏切り続けた結果でもありま す。

 では、そのような変化の中で高配当を謳った投信が本当にリスクに見合うリターンを期待できる商品となったのか?…疑問に思える投信が多数あります。ここ では個別に解説するとキリが無いので、まだ投資初心者の方向けに原則論として「投信とは何ぞや?」の観点から記述したいと思います。

 まず投信のメリットを…(ザックリとですが)

1.少額でも分散投資が出来る
→ 合同運用を基本とし、多数の投資家から集めたお金で複数の原資産に投資しますので、投資家一人では資金的に十分な分散投資が出来ないケースに有効。

2.再投資のメリット
→ 保有資産(株式や債券など)から支払われる配当や利金、及び売買益などが自動的に再投資され、投資家がその都度支払うべき税金が課税されずに運用に回るため複利効果が得られる。
※もちろん投信から配当があった場合や売却益には課税されます。

3.専門家(ファンドマネジャー)が運用に当たる
→ つまり専門知識が無くとも、大雑把な判断で特定のカテゴリー(日本株とか外国債券とか)さえ決めれば、値動きの大きい資産などに投資する際に個人で運用するリスクが軽減される(されるはず、笑)。

 次にデメリット…(これもザックリと)

4.兎に角コスト負担が大きい
→ 購入時に販売手数料がかかりますし(オンライン証券などでは相当低く、またはものによってはゼロでの購入も可能)、信託報酬(日々の計算で運用報酬等が保有期間に応じて引かれる)がかかります。
 一般的には運用の簡単なもので1%弱、新興市場株式への投資や毎月分配があるなど、複雑になればなるほど高めで2%ほどになる投信もあります。

5.自分の希望する原資産に投資されるとは限らない
→ 資産配分や投資タイミングなど、投資家の意見は反映されません。自分で決められるのは投信の購入及び売却等のタイミングだけです。

 まだ他にもありますが上記の5点に絞って検証してみましょう。

1)毎月配当を謳う投信の場合には、原資産から生まれる通常は年2回ほどの配当や利金を毎月配当の商品に組み替える手間賃が余計な負担となりますし、配当を受け取るたびに税金を払う訳ですから複利運用の効果はありません。
※何度も話題にしてきましたが、元本部分を削ってまで高めの分配をし、好配当をパンフレットで謳っている投信など「金融詐欺」と言って良いと思います。最近は規制されるようになりましたが多数あります。

2)特定の原資産だけに投資する投信(どこかの国の国債だけに投資するなど)は、分散投資となりませんから合同運用の意味があるのか?と。ものによっては 数十万円で投資できる原資産があるなら投信を買うよりコストを抑えられる可能性が高いです。もちろん運用も難しいものではありませんから高い信託報酬を払 う意味も見出せません。
※日本の個人(非居住者)では投資出来ない資産であれば止むを得ません。

3)日本株に投資するのに外貨建てにしている類の投信にも違和感があります。要は多少の金利が付く外貨建てにすることによりそれなりの配当が得られるよう 見せかけ、円安にベットすることで円安時にリターンが大きくなるように、つまり運用部分の補完措置にしている訳ですが、それだけ運用に自信が無いのかと感 じます。

4)ファンド・オブ・ファンズ
 読んで字のごとし…で、購入した投信から外部の複数のファンドに再投資するものですが、その時々のマーケットの状況に応じて、債券など安全資産を増やし たり減らしたり、投資するファンドカテゴリー毎に機動的にウエイト(投資比率)を変えたりなど、複数の外部ファンドを投資対象とする投信です。
 海外の複雑なファンドや個人では買えないファンドを利用することが出来ますので思想的にはありかなと思いますが、何せ買った投信から信託報酬(概ね 1.5%前後)が引かれた上に、その先の投資したファンドからも運用報酬やら関連費用やらが差し引かれますので、出来上がりで毎年4%以上ものコストがか かる投信もあります。
 再投資先のファンドによっては興味を引かれるものもありますが、ファンド・オブ・ファンズでは、いかんせんコスト負担が大きく収益は得辛いと感じられます。
 このケースでは買付時に3%、3年間保有するだけで12%と、もの凄い費用負担になります。この手のファンドを組み入れた保険型商品も多く、5~6年前になりますが、とある信託銀行が勧めていた保険型商品では毎年5%もの費用が掛かる商品がありました。
 知り合いに相談されたため詳細な資料を取り寄せてみて初めて分かったのですが、当初その信託銀行マンが持参した資料だけではファンドの細部までは記述が 無く、過去の運用パフォーマンスばかりが強調されているパンフで、費用部分が殆ど開示されていませんでしたから。信託銀行マンには「あなたは誰ですか?」 とまで言われましたが、それでも目論見書類をしつこく要求して分かった次第ですが、この営業マンですら大まかにしか費用を把握していなかったことに驚きま した。

 投信に限らず生命保険でも何でも複雑な仕立てで見栄えを良くしようと努力しているのでしょうが、複雑にすればするほどコストが見え辛い(コストが大きく なり易い)ことに注意しなければいけません。ましてやそれが大手金融機関が販売し、その大手金融機関傘下の投信会社が組成・運用する投信ならなおさら(高 い人件費を賄うために)高コストに設計されているものが多く注意が必要です。

  つまり、投信購入の際に考えて頂きたいのは、
1)それと同様のことを自分の運用資産額の範囲で出来ないか?
2)多少の勉強をすることで似たような運用商品を見つけられないか?
3)投信を使わずに似たような金融商品の組み合わせは無いものか?
4)それが出来る場合のコストの違いは幾らか?
…などをしっかり検討することが大事です。

 相当数の投資信託について、ちょっと勉強すれば個人でも似たような原資産の組み合わせで近しい運用が出来ると考えられるからです。もちろん運用原資が毎 月数万円しか無いとおっしゃる若い方には無理ですが、まずは数十万円程度を貯めて、勉強を兼ねてその範囲で出来る運用から始めるなどが大事と思います。
 投信の保有コストは銀行預金金利の何倍になるのか?!(笑)

(街のコンサルタント)

(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。また、当該情報は執筆時点での取材及び調査に基づいております。配信時点と状況が変化している可能性があります。)

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