暦の上では今日は大暑ですが、市場の方は概ねクールな展開です。ウクライナ情勢、中東情勢が伝えられると反応するものの方向性に著しい変化は見られませ ん。いつものことながら、米国の主要イベント(7月月末のFOMC)や主要経済統計(8月月初発表の7月雇用統計や第二四半期GDP)待ちか?という声も 聞かれます。地政学リスクを懸念しつつも、夏休み要因も重なり、引き続きレンジ相場が続きそうです。
6月末からの主要通貨の上昇トップは、利上げをした南アフリカ・ランド(+0.6%)、下落トップは利下げしたスウエーデン・クローネ(-2.4%)です。そのほかに上昇した通貨はシンガポール・ドル、メキシコ・ペソにブラジル・レアルでしたが、微小な上昇率でした。
米ドルの価値を、対貿易取引国通貨のバスケットで構成される指標、ドル・インデックスは5月につけた安値(79.093)から直近では80.779と上 昇してきています。構成比率が高いユーロがウクライナ情勢や今後も金融緩和の長期化予想から低下していることが背景にあります。今回の地政学リスクでは、 基軸通貨米ドルがやや優勢です。
ところで、米ドルが1944年のブレトンウッズ協定を通じて、基軸通貨として君臨してから昨日(7月22日)で70年が経ちました。第二次世界大戦後に膨大になった国家負債のために基軸通貨の地位を失った英国に代わって、米ドルは色々ありながらも地位を確保しています。
金兌換の停止(ニクソン・ショック)、双子の赤字累積問題、ユーロ市場の台頭、また、日本の貿易黒字の巨大化とバブルによる資産急騰によるジャパン台頭もありましたが、未だに国際的貿易決済では米ドルは大きな比率を占めています。
最近、中国人民元での国際決済が直近2年間で4倍に拡大、ユーロ決済とほぼ同じ水準に達していることが話題になっています。6年前の金融危機の後に、中 国政府は人民元の国際戦略を進め、人民元決済、または貿易相手国通貨での決済を進めて新興国ではその政策に同調する向きも増えていると言われます。また、 外貨準備通貨として人民元比率は今後も上昇するとみられています。このところの米国経済の復活でドルの基軸通貨喪失の声はあまり聞かなくなりましたが、一 方でじわじわと増える元決済。かつて、日本が巨額な貿易黒字を誇っていたころも「円の国際化」が言われて輝きその後後退した歴史を思い出しますが、人民元 の動向には今後、ますます要注目です。
その中国元の対米ドル相場ですが、今年2月に中国人民銀行の為替政策変更により、大きく下落しましたが、人民元決済の増加のニュースも材料になり、上昇 しています。今年1月に対ドルで6.03台をつけた後、4月には6.26台後半に下落。その後、米政府の人民元安批判コメントもあり、反発。直近では 6.20割れの6.1975まで上昇しています。対円では、円相場の安定もあり、このところ16円30銭台での推移が続いています。
さて、話しは先進国の金利に変わります。
今後の政策金利の予想を表すとされるのが2年物の金利と言われます。今年に入ってからの日、米、英、独の2年物金利をチェックしてみましょう。
日本がじりっと下げ続け直近0.057%、米国はじりじりと上昇して0.48%、英国は上昇続きで直近0.83%、そして、独はほぼゼロに等しい水準 (直近0.02%)まで下げが続いています。各国が採用してきた超低金利の出口への距離が表れていて、為替相場の動向にも影響しています。
ユーロ相場のじり安は、ウクライナ情勢も影響していますが、今後の金融政策への予想を反映しています。昨日、対米ドル1.35割れとなりましたが、方向として1.30台のユーロ安へ動く確率が高まったと考えています。
豪ドルは、ボックス圏での動きが続いています。中央銀行による豪ドル高けん制が注目点になっています。このところ、中央銀行からのけん制が出なかったこ とで買われる場面もありましたが、通貨高が続けば利下げの可能性も否定できず、当面はボックス内での動きが続きそうです。
同じオセアニア通貨であるニュージーランド・ドルは、明日7月24日の政策委員会で3.25%から3.5%への利上げが予想されています。ただ、これに て利上げ一巡の見方もあり、先取りでやや頭が重い転換になっています。ただ、ニュージーランド・ドルは金利水準が高い(10年物で4.21%)ことからも 引き続き底堅く動くとものとは思っています。
豪ドル対ニュージーランド・ドルは、7月前半には1.06台の前半の豪ドル安となっていましたが、オーストラリアの好経済指標に反応して直近では1.08台の豪ドル高に戻してきています。当面は1.06と1.09の間での往ったり来たりではないかと考えています。
地政学リスクを気にしながらも、当面ボックス相場が続くものと思いますが、急変に備えて、柔軟に動けるように余裕ある資金管理が肝要かと思っています。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
夏の暑さにはお気をつけてお過ごし下さい。
*7月23日13時執筆
本号の情報は7月22日のニューヨーク市場終値レベルを基本的に引用、記載内容は参考情報として記しています。
式町 みどり拝
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)
6月末からの主要通貨の上昇トップは、利上げをした南アフリカ・ランド(+0.6%)、下落トップは利下げしたスウエーデン・クローネ(-2.4%)です。そのほかに上昇した通貨はシンガポール・ドル、メキシコ・ペソにブラジル・レアルでしたが、微小な上昇率でした。
米ドルの価値を、対貿易取引国通貨のバスケットで構成される指標、ドル・インデックスは5月につけた安値(79.093)から直近では80.779と上 昇してきています。構成比率が高いユーロがウクライナ情勢や今後も金融緩和の長期化予想から低下していることが背景にあります。今回の地政学リスクでは、 基軸通貨米ドルがやや優勢です。
ところで、米ドルが1944年のブレトンウッズ協定を通じて、基軸通貨として君臨してから昨日(7月22日)で70年が経ちました。第二次世界大戦後に膨大になった国家負債のために基軸通貨の地位を失った英国に代わって、米ドルは色々ありながらも地位を確保しています。
金兌換の停止(ニクソン・ショック)、双子の赤字累積問題、ユーロ市場の台頭、また、日本の貿易黒字の巨大化とバブルによる資産急騰によるジャパン台頭もありましたが、未だに国際的貿易決済では米ドルは大きな比率を占めています。
最近、中国人民元での国際決済が直近2年間で4倍に拡大、ユーロ決済とほぼ同じ水準に達していることが話題になっています。6年前の金融危機の後に、中 国政府は人民元の国際戦略を進め、人民元決済、または貿易相手国通貨での決済を進めて新興国ではその政策に同調する向きも増えていると言われます。また、 外貨準備通貨として人民元比率は今後も上昇するとみられています。このところの米国経済の復活でドルの基軸通貨喪失の声はあまり聞かなくなりましたが、一 方でじわじわと増える元決済。かつて、日本が巨額な貿易黒字を誇っていたころも「円の国際化」が言われて輝きその後後退した歴史を思い出しますが、人民元 の動向には今後、ますます要注目です。
その中国元の対米ドル相場ですが、今年2月に中国人民銀行の為替政策変更により、大きく下落しましたが、人民元決済の増加のニュースも材料になり、上昇 しています。今年1月に対ドルで6.03台をつけた後、4月には6.26台後半に下落。その後、米政府の人民元安批判コメントもあり、反発。直近では 6.20割れの6.1975まで上昇しています。対円では、円相場の安定もあり、このところ16円30銭台での推移が続いています。
さて、話しは先進国の金利に変わります。
今後の政策金利の予想を表すとされるのが2年物の金利と言われます。今年に入ってからの日、米、英、独の2年物金利をチェックしてみましょう。
日本がじりっと下げ続け直近0.057%、米国はじりじりと上昇して0.48%、英国は上昇続きで直近0.83%、そして、独はほぼゼロに等しい水準 (直近0.02%)まで下げが続いています。各国が採用してきた超低金利の出口への距離が表れていて、為替相場の動向にも影響しています。
ユーロ相場のじり安は、ウクライナ情勢も影響していますが、今後の金融政策への予想を反映しています。昨日、対米ドル1.35割れとなりましたが、方向として1.30台のユーロ安へ動く確率が高まったと考えています。
豪ドルは、ボックス圏での動きが続いています。中央銀行による豪ドル高けん制が注目点になっています。このところ、中央銀行からのけん制が出なかったこ とで買われる場面もありましたが、通貨高が続けば利下げの可能性も否定できず、当面はボックス内での動きが続きそうです。
同じオセアニア通貨であるニュージーランド・ドルは、明日7月24日の政策委員会で3.25%から3.5%への利上げが予想されています。ただ、これに て利上げ一巡の見方もあり、先取りでやや頭が重い転換になっています。ただ、ニュージーランド・ドルは金利水準が高い(10年物で4.21%)ことからも 引き続き底堅く動くとものとは思っています。
豪ドル対ニュージーランド・ドルは、7月前半には1.06台の前半の豪ドル安となっていましたが、オーストラリアの好経済指標に反応して直近では1.08台の豪ドル高に戻してきています。当面は1.06と1.09の間での往ったり来たりではないかと考えています。
地政学リスクを気にしながらも、当面ボックス相場が続くものと思いますが、急変に備えて、柔軟に動けるように余裕ある資金管理が肝要かと思っています。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
夏の暑さにはお気をつけてお過ごし下さい。
*7月23日13時執筆
本号の情報は7月22日のニューヨーク市場終値レベルを基本的に引用、記載内容は参考情報として記しています。
式町 みどり拝
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)
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