今週(7月22日~25日)の東京株式市場は、日経平均株価で242円、率にして1.6%上昇しました。
 底堅い動きではありますが、膠着感が強まっているのも事実です。7/25付日経新聞の記事によれば、世界の主要な株式・債券・為替市場で「夏枯れ」状態が生じていると報じています。

 日経平均の将来の値動きの大きさを示す日経平均VIは約7年半ぶりの低水準であり、米S&P500種株価指数の予想変動率を示す米VIXも19年ぶりの 小幅な値動きとのこと。さらに、ドル円相場も過去100日の変動率が2.5%まで低下し、これは30年ぶりの低水準。米国債も同じような状況。
 米ゴールドマン・サックスのエコノミスト、ドミニク・ウィルソン氏によると、「米国の株、債券、為替の変動率が同時にここまで低水準で推移したのは、71年のニクソンショック前の60年代にさかのぼる」とのことです。歴史的な膠着状態ですね。

 米国株の上昇期間が長期にわたっていること、ウクライナ情勢がマレーシア航空機墜落により、一段と「政治問題化」したことなどへの警戒感はあるとは思い ますが、米国の景気、企業業績は堅調に推移しているわけですから、株高、債券安(長期金利の上昇)、ドル高の方向に動くのが普通ではないかと筆者は勘考い たします。

 日本株に関して考えますと、公的年金などの買いにより下値は固いでしょうが、当面、上値を追う契機になると思われるのは企業業績だと思われます。消費増 税による景気への影響が想定より軽微にとどまるとの見方が広がったことから、このところ内需関連株が堅調に推移しています。長期金利が低下傾向であること も寄与していると思います。
 一時懸念されたエルニーニョの発生による冷夏の懸念が薄れたこと、夏の賞与の増加による所得環境の好転など個人消費は今後も底堅く推移する見込みです。 公共投資も増加してくる見込みであり、設備投資、輸出などが増勢に転じれば、国内景気は力強い自律回復が続くと思われます。

 それに対し、タイなど主要な新興国の政局混乱などによる景気減速、中東情勢、ウクライナ情勢などなど、海外の方が、懸念材料が多いように思います。円安 の一服もあり、外需型加工製造業の業績動向が注目されますが、ここが好調であると確認できれば、日本株は上昇波動を回復するのではないでしょうか。

(水島寒月)

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