桜の開花と共に、市場温度も上がってきたのでしょうか。新年度はリスク志向度の緩和と共に始まりました。
3月はウクライナ問題、中国の景気減速を主なネガティブ材料にリスク回避行動が広がり、外国為替市場ではドル円相場がボックス圏の下値を試しました。一 方で、後半にかけてボックス圏上値を試す動きのきっかけになった材料の一つが、日本の公的年金運用改革の話でした。もちろん、円安傾向の根底には、日本の 貿易赤字の恒常化や更なる金融緩和期待、また米国の金融政策が量的緩和縮小から利上げも視野に入ってきたということがあると思います。
3月のドル円相場は101円59銭に始まり、高値103.76、安値101.20、31日の終値は103.23でした。3月中の対米ドルの主要通貨パ フォーマンスは、ドル円が下落率トップの-1.39%。スウエーデンクローナ-0.99%、英ポンド-0.50%が続きます。逆に、上昇トップは豪ドル の+3.81%、ニュージーランドドル+3.27%とオセアニア通貨、ブラジル・レアル(+3.19%)、南アフリカランド(+2.12%)が続きます。 資源国や新興国が共通点です。このあたりには、リスク志向の動きが見られます。中国を回避して他の新興国への投資に関心が増えているというのもあるかもし れません。
ウクライナ問題の今後の進展や中国景気については引き続き注意していく必要がありますが、注目すべきはやはり米国経済ではないかと思います。
今年の1月から始まった量的緩和の縮小は毎月100億ドルずつ実施され、昨年末残の850億ドルは現在550億ドル。あと6回の縮小が基本路線通りに実行されれば、今年の年末にQE3量的緩和第三弾は終了します。
先月3月のFOMC(連邦公開市場委員会)では、金融政策の今後の方向性について示すフォワード・ガイダンスを修正。金融政策見直しの目安を,これまで の失業率6.5%を削除して、より幅広い要素で総合的に判断するとしました。今後は、物価・インフレ動向、労働市場の環境、金融市場の状況、経済状況など が判断材料になるようです。
利上げが早まるとみた市場では、10年物国債利回りが2.6%台から2.7%後半に上昇。これまで2年物国債利回りは0.3%前半が続いていましたが、これを機に0.4%台に乗せてきました。イエレン議長の年内にも利上げがありそうなコメントも影響しました。
今週は、3月の米国の雇用統計をはじめとした主要な経済指標が発表され、今冬の気候による要因が剥がれた後の米国経済の最新指標が最注目点になります。 強い数字が出てくれば、利上げ時期の早まりを懸念して株式市場がネガティブに反応する可能性もあります。ただ、FRB米連邦準備制度理事会は、金融政策変 更を市場の反応を見ながら、注意深く進めていくと思います。
ところで、FF金利の上げ時期予想で、年内利上げ予想は先月前半にはほぼありませんでしたが、予想確率は非常に低いものの今年7月の利上げ予想が出てき ました。センチメントの変化が見られます。また、FOMCの16名メンバーのうち、13名が2015年の利上げ開始に賛成していると伝えられています。
さて一方で、4月4日で異次元金融緩和が一周年を迎える日本は、更なる金融緩和が期待されています。4月の日銀政策決定会合は8日と30日に行われます が、消費税が上がった影響の確認や、6月の政府の成長戦略政策発表を待たずに、更なる緩和に動くとは思えません。日本の直近のインフレ率が1.3%、今年 はおよそ1.5%が予想され、日銀にとってはほぼ順調なペースで来ているようです。
もしも、消費税上げによる反動が予想以上に大きければ、秋頃に金融政策で支援する可能性はあるかもしれませんが、ただでも異次元なのですから副作用などを考えると、過度な期待は禁物かと思います。
どちらにしても緩和継続の日本と利上げタイミングの模索が言われる米国の金融政策の対照的な状況は、為替相場にも反映してくるでしょう。未だ基本的に101円~104円のレンジ相場での動きが続いていますが、ゆっくりとレンジを上げてくる可能性は高いと思っています。
ただ注意したいのは、昨年の円高修正相場のようにパワフルな相場にはならないだろうと言うことです。基本的には、今年は下がった場面で拾って、高いところでは調子に乗ってついて行かないことではないかと思います。自制です。
3月に注目すべき動きがあったのは、人民元の他には豪ドルです。これまで利下げ期待や中央銀行(豪準備銀行RBA)による豪ドル高けん制発言、主な貿易相手国の中国の影響を受けやすい等により下落が続いていた豪ドルでした。
ところが、ここへきて鉱業中心から内需の転換しつつあり、国内経済の勢いが強まるという中銀総裁発言などをきっかけに利下げ期待が退くなど豪ドル見直し 機運が高まりました。1月には対米ドルで0.86豪ドル台まで売られた経緯もありましたが、反転して昨日は一時0.93豪ドルに乗せる場面もありました。 中央銀行は長期的には豪ドルは高いとけん制は続けてはいるものの、底入れが見られ、先に利上げしたニュージーランド・ドルとともに好パフォーマンスを見せ ています。
日銀緩和期待、新年度の株式や外貨投資への資金流入もあってか、4月はほんのり桜色で始まったようですが、例年の諺に従えばSell in Mayの5 月は目前、そのあとには、昨年は落胆反応だった第三の矢(成長戦略)が発表される6月も控えています。事象を冷静に見極めながら対応して行きたいもので す。
最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。
*4月2日13時執筆。本号の情報は4月1日のニューヨーク市場終値レベルを基本的に引用、記載内容は参考情報として記しています。
式町 みどり拝
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)
3月はウクライナ問題、中国の景気減速を主なネガティブ材料にリスク回避行動が広がり、外国為替市場ではドル円相場がボックス圏の下値を試しました。一 方で、後半にかけてボックス圏上値を試す動きのきっかけになった材料の一つが、日本の公的年金運用改革の話でした。もちろん、円安傾向の根底には、日本の 貿易赤字の恒常化や更なる金融緩和期待、また米国の金融政策が量的緩和縮小から利上げも視野に入ってきたということがあると思います。
3月のドル円相場は101円59銭に始まり、高値103.76、安値101.20、31日の終値は103.23でした。3月中の対米ドルの主要通貨パ フォーマンスは、ドル円が下落率トップの-1.39%。スウエーデンクローナ-0.99%、英ポンド-0.50%が続きます。逆に、上昇トップは豪ドル の+3.81%、ニュージーランドドル+3.27%とオセアニア通貨、ブラジル・レアル(+3.19%)、南アフリカランド(+2.12%)が続きます。 資源国や新興国が共通点です。このあたりには、リスク志向の動きが見られます。中国を回避して他の新興国への投資に関心が増えているというのもあるかもし れません。
ウクライナ問題の今後の進展や中国景気については引き続き注意していく必要がありますが、注目すべきはやはり米国経済ではないかと思います。
今年の1月から始まった量的緩和の縮小は毎月100億ドルずつ実施され、昨年末残の850億ドルは現在550億ドル。あと6回の縮小が基本路線通りに実行されれば、今年の年末にQE3量的緩和第三弾は終了します。
先月3月のFOMC(連邦公開市場委員会)では、金融政策の今後の方向性について示すフォワード・ガイダンスを修正。金融政策見直しの目安を,これまで の失業率6.5%を削除して、より幅広い要素で総合的に判断するとしました。今後は、物価・インフレ動向、労働市場の環境、金融市場の状況、経済状況など が判断材料になるようです。
利上げが早まるとみた市場では、10年物国債利回りが2.6%台から2.7%後半に上昇。これまで2年物国債利回りは0.3%前半が続いていましたが、これを機に0.4%台に乗せてきました。イエレン議長の年内にも利上げがありそうなコメントも影響しました。
今週は、3月の米国の雇用統計をはじめとした主要な経済指標が発表され、今冬の気候による要因が剥がれた後の米国経済の最新指標が最注目点になります。 強い数字が出てくれば、利上げ時期の早まりを懸念して株式市場がネガティブに反応する可能性もあります。ただ、FRB米連邦準備制度理事会は、金融政策変 更を市場の反応を見ながら、注意深く進めていくと思います。
ところで、FF金利の上げ時期予想で、年内利上げ予想は先月前半にはほぼありませんでしたが、予想確率は非常に低いものの今年7月の利上げ予想が出てき ました。センチメントの変化が見られます。また、FOMCの16名メンバーのうち、13名が2015年の利上げ開始に賛成していると伝えられています。
さて一方で、4月4日で異次元金融緩和が一周年を迎える日本は、更なる金融緩和が期待されています。4月の日銀政策決定会合は8日と30日に行われます が、消費税が上がった影響の確認や、6月の政府の成長戦略政策発表を待たずに、更なる緩和に動くとは思えません。日本の直近のインフレ率が1.3%、今年 はおよそ1.5%が予想され、日銀にとってはほぼ順調なペースで来ているようです。
もしも、消費税上げによる反動が予想以上に大きければ、秋頃に金融政策で支援する可能性はあるかもしれませんが、ただでも異次元なのですから副作用などを考えると、過度な期待は禁物かと思います。
どちらにしても緩和継続の日本と利上げタイミングの模索が言われる米国の金融政策の対照的な状況は、為替相場にも反映してくるでしょう。未だ基本的に101円~104円のレンジ相場での動きが続いていますが、ゆっくりとレンジを上げてくる可能性は高いと思っています。
ただ注意したいのは、昨年の円高修正相場のようにパワフルな相場にはならないだろうと言うことです。基本的には、今年は下がった場面で拾って、高いところでは調子に乗ってついて行かないことではないかと思います。自制です。
3月に注目すべき動きがあったのは、人民元の他には豪ドルです。これまで利下げ期待や中央銀行(豪準備銀行RBA)による豪ドル高けん制発言、主な貿易相手国の中国の影響を受けやすい等により下落が続いていた豪ドルでした。
ところが、ここへきて鉱業中心から内需の転換しつつあり、国内経済の勢いが強まるという中銀総裁発言などをきっかけに利下げ期待が退くなど豪ドル見直し 機運が高まりました。1月には対米ドルで0.86豪ドル台まで売られた経緯もありましたが、反転して昨日は一時0.93豪ドルに乗せる場面もありました。 中央銀行は長期的には豪ドルは高いとけん制は続けてはいるものの、底入れが見られ、先に利上げしたニュージーランド・ドルとともに好パフォーマンスを見せ ています。
日銀緩和期待、新年度の株式や外貨投資への資金流入もあってか、4月はほんのり桜色で始まったようですが、例年の諺に従えばSell in Mayの5 月は目前、そのあとには、昨年は落胆反応だった第三の矢(成長戦略)が発表される6月も控えています。事象を冷静に見極めながら対応して行きたいもので す。
最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。
*4月2日13時執筆。本号の情報は4月1日のニューヨーク市場終値レベルを基本的に引用、記載内容は参考情報として記しています。
式町 みどり拝
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)
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