いくつか感じる事例がありましたので、皆さんにもご紹介したいと思います。
まず一つ目は、相続のお話。
東京都心部に複数の土地をお持ちになっているのですが、過去の相続の関係で、土地所有者の名義人が複雑になっているので整理したい。また相続税についても何か対応をしたい。というご相談でした。
土地の所有者は90代の女性です。もちろん90代の女性が積極的にこうした課題に取り組むことは稀ですので、今回の相談者はこの本人ではありませんでした。今回直接ご相談にみえられたのは、その直系のお孫さんで40代の方です。
つまり、土地の所有者が90代、子供たちが70代、孫が40代で90代、70代の人間では、課題があることは認識できても解消までは具体的に動くことができないので、相談に来られるわけです。
結局こちらの案件は、ご提案したにもかかわらず本人が検討している間に残念ながら他界されてしまいまして、十分な効果を得ることができませんでした。
二つ目は、介護のお話。
こちらも本人は80代の女性。ただし既に介護施設に入所されていて痴呆症が進み、本人の意思能力が喪失している段階でした。
相談者は50代の子供でして、この母親の介護に伴い資産を整理していたら、想像以上に多額の金融資産を所有しており、その相続対策を検討したいと言うお話でした。
80代の女性は介護施設に入所しているのですが、毎月の支出は年金で十分にカバーできる範囲であり、むしろ毎月年金をもらうごとに金融資産が増えていく一方と言う状況のようです。
この案件では、弁護士と協議して検討しましたが、残念ながら80代の女性本人の意思能力が薄弱な状態では、相続対策も実行が難しいという結論になってしまいました。
三つ目は自宅売却のお話。
こちらは相談者は70代半ばの夫婦。しかしこちらのケースでも積極的にご相談に来られたのは子供たちの世代です。両親の現在住む住居を売却して、賃貸や介護施設で今後の生活を考えていきたいと言うお話です。
コチラのケースでは計算していくと、自宅を売却して所有している金融資産と上手く運用をしていけば、特に問題なく希望はかなえられそうです。ただし、これまで金融資産運用など考えたことも無い世帯ですので、資産運用を決断できるかどうかと言うのはこれからです。
上記の事例を通じて感じるところは、
1.本人(親)が80代、90代になって初めて、子供が親の生活設計について関わることが多くなる。
2.しかし80代、90代の本人は判断能力、問題決定能力がかなり衰えていて具体的な施策を実行することが難しい
3.結果、実行段階で行き詰まり、本来の課題が解決できないままになってしまう。
というケースが多いように感じました。
こちらのメルマガを読んでいる世代は30代~70代ぐらいだと思いますので、親の事を心配に思うのであれば、親がなるべく元気な60代ぐらいの時に、今後の事をきちんと話し合う事が重要だと現場を担当している私は強く思います。
株式会社マネーライフプランニング
代表取締役 小屋 洋一
http://www.mlplanning.co.jp/
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