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プライベートバンクの特徴と国内PBの比較

2013/09/02 15:42 投稿

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こんにちは。株式会社ZUUの冨田和成です。

 様々な調査で、日本は米国に次いで富裕層が多い国といわれています。なお富裕層の定義は調査によって異なりますが、概ね100万ドル以上の金融資産の保有者を富裕層と定義することが多いようです。
 そして、そんな日本では、国内外の金融機関が富裕層向け金融サービスの顧客争奪戦を繰り広げており、「プライベートバンク」や「ウェルスマネジメント」 と言われるようなサービスです。これらは最低預け入れ資産100万ドル(1億円)以上が必要という所が多く、場合によっては10億円以上というような所も 存在します。

 今回は、そんな富裕層向け金融サービスのまとめと比較をお届けしたいと思います。


【富裕層向け金融サービスの特徴】

1)プライベートバンクやウェルスマネジメントのような特別な呼称を冠している

 伝統的な富裕層向け金融サービスといえば、前回の記事でスイス系のプライベートバンクについても取り上げました。

 プライベートバンクという言葉は、元々は、無限責任をとるパートナーによる個人出資によって運営される銀行を指すものです。無限責任制や個人出資である 事から、過度のリスクを取らず(取れず)、自己勘定で証券の引受業務なども行わない為、顧客に無理に商品を勧めるということがなく、富裕層の信頼を得やす い金融機関だったというのがプライベートバンクの始まりです。そんな由来が、富裕層向け金融サービスの代名詞となるまでにそのブランドを高めました。

 現在では、正式なプライベートバンクでなくとも、富裕層向け金融サービスを行う金融機関、またはサービスは、プライベートバンクを名乗ることが多いです。「プライベートバンク≠プライベートバックサービス」であることには、注意が必要かもしれません。


2)オーダーメイド型の金融商品の提供が可能

 私募投信やテーラーメイド型の債券など、顧客のニーズに合わせた特別な金融商品も提供できる体制を整えているところが多いです。
 ただし、近年は一般の方でも買える公募投信なども内容が充実してきているため、オーダーメイド型の金融商品の提供の意味は薄れてきているかもしれません。


3)社内でも優秀な人材によるコンサルティング

 公募投信などの充実により、金融商品をオーダーメイドで作る意味は薄れました。しかし、同時に多種多様な金融商品から、自分にとって望ましい商品を選ぶ難しさは増しています。
 そんな中、信頼できる専門家に相談ができるのなら、心強いと感じる人も多いかもしれません。

 例えば国内系のプライベートバンク部門やウェルスマネジメント部門には、社内でもトップクラスの人材のみが配置されています。
 顧客を担当する人材の優秀さは、富裕層向け金融サービスの特徴といえるでしょう。


4)高い入会基準と割安な手数料率

 上記のように、プライベートバンクのような富裕層向け金融サービスの最低預け入れ額は1億円を超えます。
 ただし、運用額が多いため、手数料率そのものは一般の金融商品よりも低めに設定されている場合が多いようです。


5)相続対策や事業継承など、金融関連のサービスも充実

 金融商品が充実しているだけではなく、相続税などの節税対策、企業オーナーのための事業承継サービスなど、付加的なサービスが充実していることも特徴で す。また、提供企業よりも担当者(いわゆるプライベートバンカー)の力量による面が大きいのですが、顧客のビジネスのサポートや、人脈のマッチングなどを 場合も行ってくれる場合もあるそうです。

 特に近年は、先進国にて富裕層に対する課税を強化する流れがあり、節税に関するコンサルティングの需要は高まっています。


6)非金融分野での数々のサービスの提供

 富裕層向けの金融サービスの強みや特徴は、金融やその周辺領域に留まりません。
 このようなサービスを提供する会社は豊富なネットワークを持っている例も多く、子女の海外留学や進路相談、一般的には手に入りづらい高級品の手配、家族間の揉め事の調停など、様々な付加サービスが充実している例も多いのです。


【国内で富裕層向けプライベートバンク業務を展開する主な金融機関】

 最後に、国内で富裕層向けのサービスを展開する主な金融機関を書いていきます。

1)最低預入額
2)サービス開始年
3)特徴

となっています。

◯みずほプライベートウェルスマネジメント
1)10億円以上(金融資産以外を含む)
2)2005年
3)資産クラスのバーが高く、みずほフィナンシャルグループのトップ顧客を対象に、オーダーメイドの金融商品やポートフォリオマネジメントサービス、富裕層の関心が高い健康・医療・教育情報などを幅広く提供している。

◯三菱東京UFJ銀行
1)非公開
2)非公開
3)三菱UFJフィナンシャルグループの各社が連携をし、資産運用、相続、事業継承を中心に総合的なコンサルティングをオーダーメイドで提案している。

◯三菱UFJメリルリンチPB証券
1)1億円以上
2)2006年
3)米国メリルリンチの海外ネットワーク等を活用し、私募商品など多様な商品を、顧客ニーズに合ったポートフォリオを作成した上で提案している。

◯三井住友フィナンシャルグループ・バークレイズ(英)
1)5億円以上
2)2010年
3)三井住友銀行の上位顧客へ、英国バークレイズのプライベートバンクを日本用にカスタマイズし提供している。特に、顧客の投資性向分析に行動ファイナンスを応用していることで有名である。

◯野村證券
1)非公開
2)非公開
3)富裕層向け営業を手がける部署を全国の特定の営業店に配置。最低投資単位が3億円の投資一任サービス等も取り扱っている。

◯大和証券
1)基準は設けずに個別対応
2)非公開
3)上場企業や非上場企業のオーナー層を中心に、法人運用や為替取引、また事業継承や相続対策などを支援している。

◯クレディ・スイス(スイス)
1)10億円以上
2)2009年
3)日本では10億円以上を対象としており、また口座開設審査などが厳格といわれている。オーダーメイドの債券提案などに強い。日本では2012年にHSBCの日本の富裕層向け事業を買収するなど攻勢をかけている。

◯UBS(スイス)
1)預かり資産2億円以上
2)2004年
3)プライベートバンクの聖地ともいわれるスイスの最大手。一人の顧客に組織的に管理を行うチーム制度が特徴的。東京の他にも名古屋や大阪に拠点を設け、攻勢をかけている。

◯ロンバー・オディエ・ダリエ・ベンチ(スイス)
1)預かり資産1億円以上(金融資産3億円以上)
2)2008年
3)投資一任運用を中心にサービスを提供している。その他、遺言代用信託や、子弟の教育支援なども手がけている。

※参考:日経ヴェリタスの2012年5月27日号


【まとめ:富裕層向けサービス利用者の方への注意点】

 最近では日本の金融機関も、響きが良いので富裕層向けに「プライベートバンクサービス」という名前は多くの金融機関にて利用されています。

 一般的な金融のアドバイスと何が違うかというと、上記にも少し書きましたが、ポートフォリオを構成する際に用いることができる金融商品の種類です。具体 的には、単なる投資信託だけでなく、仕組み債などオルタナティブ商品や投信一任契約等が、「プライベートバンクサービス」には加わってくるという点です。
(しかし、日本の金融機関は、日本の金融庁の認可を受けた金融商品しか扱えないので、提供できる商品種類には限界があります。)

 残念ながら、質が担保されること無く名前が一人歩きしている感も否めません。その点、利用者の方にはご注意頂き、担当者の本質をより丁寧に見て頂ければと思います。


冨田和成
株式会社ZUU 代表取締役社長兼CEO

冨田和成プロフィール

(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)

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