億の近道 チャンネル版

2013年前半のIPO通信簿

2013/07/09 14:04 投稿

  • タグ:
  • 銘柄
  • 炎のファンドマネージャー
  • IPO
  • 新規公開
  • 2013
  • ICDAホールディングス
  • ジェイエスエス
  • リプロセル
  • 横田製作所
7月3日のサントリー食品インターナショナル(2587)で2013年の新規株式公開(IPO)数は21社となりました。昨年前半のIPO数は17社でしたので今年はそれを上回るペースとなっています。
 そこで今回は2013年前半のIPO銘柄をチェックしてみたいと思います。

【2月】4社

1.メドレックス(4586・M)
 公開価格1000円
 初値2200円
 高値7500円(5月)
 安値2111円(6月)
 時価3490円

創薬ベンチャー。
 売上3億円 経常利益▲7億円 時価総額193億円

 創薬ベンチャー人気に乗って株価上昇。初値から5月高値まで3.4倍になるもその後6月にかけ上場初値を割り込むなど波乱の動き。直近は戻り相場の動き。他の創薬ベンチャーの動きとほぼ連動する可能性。

2.ビューティガレージ(3080・M)
 公開価格2300円
 初値4160円
 高値5320円(5月)
 安値2710円(6月)
 時価3170円

サロン向け物販・卸売り。
 売上63億円 経常利益3.7億円 時価総額37.5億円

 上場初値は公募価格の1.8倍、初値から5月高値まで1.27倍となるなど順調に推移したが、その後6月にかけ調整し公開価格水準に接近するなど波乱の 展開。直近の戻り相場も動きは鈍い。業績は堅調だが、株価は今期の業績までは織り込み済みの感じ。上場後の変動リズムからすれば再び上昇の可能性。

3.買取王国(3181・JQ)
 公開価格900円
 初値2000円
 高値3000円(2月)
 安値1225円(6月)
 時価1435円

総合リユース小売業。
 売上58億円 経常利益5.2億円 時価総額25.2億円

 上場初値2000円から短期に3000円まで5割上昇したが6月の安値1225円まで調整。他の買取企業並みの評価に落ち着く。出来高も細っているが、調整期間からするとそろそろ一度は上向きに転じる可能性。PER10倍割れ水準でコツコツ買いの対象に。

4.協立通信情報(3670・JQ)
 公開価格1500円
 初値5000円
 高値5700円(2月)
 安値2001円(6月)
 時価2900円

SIベンダー・モバイル事業。
 売上58億円 経常利益4億円 時価総額34.8億円

 いきなり上場初値から公開価格の3.3倍で上場。その後初値から上場後の高値まで14%上昇したが、6月にかけて安値2001円まで調整。先週あたりは戻り相場を示したが、高値の半値水準。業績は底堅いが株価はほぼ織り込み済み。半値戻りは3800円。


【3月】9社

1.ソフトマックス(3671・M)
 公開価格1300円
 初値5510円
 高値7200円(5月)
 安値3005円(6月)
 時価3950円

総合医療情報システム。
 売上41億円 経常利益4億円 時価総額78.5億円

 公開価格の4.2倍で上場。その後初値から上場後の高値まで30%上昇したが、6月にかけて2,3回の下値調べを行い、結果6月に安値3005円をつけ ました。3000円割れを回避し戻り相場の動き。電子カルテをはじめとした医療情報システムへの成長性を期待する向きも多いのか、PERも30倍以上と高 い。12月期決算で業績の進捗注目だが、業績は後半に偏り。

2.オイシックス(3182・M)
 公開価格1200円
 初値3700円
 高値7280円(5月)
 安値2867円(3月)
 高値後安値2980円(6月)
 時価4085円

農産品ネット販売。
 売上163億円 経常利益8.3億円 時価総額223億円

 公開価格の3倍で上場。初値をつけた後に2867円まで下落。その安値から2.5倍にまで上昇したが6月にかけて安値2980円まで調整。農業関連とし て根強い人気があり、安値から4割の上昇を見せる。今後の成長を織り込んで既に株価は形成されているので需給で変動しやすい点に注意。

3.オルトプラス(3672・M)
 公開価格1500円
 初値 4015円
 高値16570円(5月)
 安値 2702円(4月)
 時価 5410円

ソーシャルゲーム。
 売上27.5億円 経常利益9.1億円 時価総額216億円

 公開価格の2.7倍で上場。上場2日目に5250円まで上昇したがその後2702円まで初値から33%調整。その後短期に安値から6.1倍まで急騰。そ の後は調整を続け、直近の安値3100円まで5分の1まで下落。異常な乱高下が見られます。時価はその安値から70%上昇した水準。かなり乱高下が激しい が先駆したグリー、DeNAなどの後を追うソーシャルゲーム会社として今後の成長期待が高いのでプレミアムがつきやすい。時価総額では既に経常利益20億 円水準まで織り込んだ水準となっています。上場時はガンホー人気に連動した面もあります。流動性も結構ありますので折に触れ人気を集める可能性があります が、更なる収益拡大の必要があります。

4.ウォーターダイレクト(2588・M)
 公開価格1200円
 初値3600円
 安値1787円(4月)
 高値4280円(5月)
 時価2480円

富士山系ミネラルウォーター宅配。
 売上94億円 経常利益6億円 時価総額56.9億円

 公開価格の3.0倍で上場。人気化すると見られたがその後3630円をつけて下落。4月に1787円の安値をつけました。その安値から再び5月には安値 から2.4倍の高値をつけましたが、その後はまた調整の動き。6月7日、6月27日と2回の2000円割れ寸前の安値挑戦を経て出来高は細っていますが戻 り歩調。富士山関連と言って良いか不明ですが、富士山の湧水を利用した事業ですので底堅いのかも知れません。株主には楽天の三木谷氏の名前もあります。時 価はほぼ今期の業績を織り込んだ水準にあり、来期以降の業績拡大がポイントになります。

5.鴻池運輸(9025・東証1部)
 公開価格1020円
 初値1404円
 高値1778円(3月)
 安値1221円(6月)
 時価1347円

総合物流。
 売上2279億円 経常利益76億円 時価総額383億円

 公開価格の37.6%上で上場初値。初値直後に26.6%上昇し1778円まで上昇したが、その後6月の安値1221円まで調整。時価は依然として上場 初値を下回った水準。業績は安定成長型で今期はほぼ横ばい。PERは9.3倍、PBRも0.55倍と低いが利益成長も低いため評価が高まらない状況です。

6.アサンテ(6073・東証2部)
 公開価格930円
 初値1034円
 高値1195円(3月)
 安値 766円(6月)
 時価 945円

住宅用白あり防除トップ。
 売上130億円 経常利益23.4億円 時価総額113.5億円

 公開価格の11%上で上場初値。初値から上場後の高値まで15.6%上昇。上場後穏健な株価推移を続けてきたが、5月に一旦1076円の高値をつけた 後、6月には766円の安値まで売り込まれました。高値から36%下落した水準となりPERは7倍を割れました。その後は戻り歩調。公開価格をようやく上 回ってきました。上場後の華やかな株価上昇は見られませんが、業績は底堅く中期30億円の経常利益を目指していますので、見直しの余地がありそうです。時 価PERは8.5倍。

7.ファルテック(7215・東証2部)
 公開価格3940円
 初値4150円
 高値5600円(3月)
 安値3540円(6月)
 時価4270円

TPR系自動車外装部品・中国関連。
 売上725億円 経常利益33億円 時価総額131億円

 上場初値は穏健なスタート。その後35%の上昇を経て安値3540円まで下落。公開価格を下回る水準となりましたが、その後は戻り歩調。時価PERは 6.5倍で自動車部品株特有の低評価。今後の業績変動へのリスクを織り込んでの株価形成と見られます。新四季報では予想EPS816円としており、これが 達成できるとなればPERは5.2倍となります。親会社TPRの株価変動にも注意しておきたいところです。値がさ株なので派手な変動のように見えますが実 際は394円の公開価格の株が415円で初値をつけ高値560円までついて354円に安値を経て現在427円という水準になっていると考えて取り組むこと が必要です。

8.ブロードリーフ(3673・東証1部)
 公開価格1080円
 初値1200円
 安値1180円(2月)
 高値2777円(5月)
 時価1650円

中古車販売業向け業務ソフト開発・販売。
 売上179億円 経常利益39.5億円 時価総額409億円

 上場初値は穏健なスタート。その後の安値1180円から5月高値まで2.3倍まで上昇したがその後は6月27日に1240円まで売り込まれました。現在 はそのリバウンド局面ですが、時価PERは20倍前後でほぼ業績の伸びを織り込んだ水準。今12月期の業績よりも来12月期の業績の伸びが鍵を握っていま す。翼システムを源流にしている点が不透明で継続的な業績の拡大が続くかどうかがポイントです。100株単位で流動性が比較的高いので比較的売買の対象に はなりやすいと思われます。

9.タマホーム(1419・東証1部)
 公開価格980円
 初値1700円
 高値1870円(3月)
 安値 991円(6月)
 時価1203円

住宅。
 売上1570億円 経常利益50億円 時価総額362億円

 テレビCMでもおなじみの同社の上場初値は公開価格の1.7倍でした。その後の高値はその10%上の1870円。6月安値は公開価格割れ寸前の991円でその後も頭重い展開が見られ初値買いで失敗した事例となりました。
5月期決算は第3四半期決算まで発表済みで小幅ながら営業赤字ですので通期経常利益50億円とのかい離が大きくなっているのが投資家の判断を躊躇させてい ると思われます。住宅業界特有の四半期業績推移なので、これを極端にネガティブに見る必要はないとは思いますが、上場後の株価の評価が高まらない要因に なっていると思います。同社の事業内容そのものは有名タレントを使用するなど派手さがありますが、株価の推移は逆に地味です。今後も業種への評価、財務内 容の悪さ、業界内での評価などからこうした傾向が続くと考えられます。短期的には7月12日の決算発表がポイントになります。


【4月】2社

1.サンヨーホームズ(1420・東証2部)
 公開価格700円
 初値1250円
 高値1266円(4月)
 安値 656円(6月)
 時価 846円

住宅。
 売上577億円 経常利益19.2億円 時価総額107億円

 公開価格の1.78倍で上場。その後の高値から6月安値まで調整の一途。上場後の高値から48%下落して下げ止まり。その後は徐々に戻りつつあり、公開 価格を146円上回ってきました。住宅株特有の四半期業績変動で9月中間期までは営業赤字で通期計画とのかい離が大きくタマホームと同様に低評価が続く可 能性があります。近畿中心の事業エリアで知名度も低く、財務内容も有利子負債への依存度が高いなど投資には不安がつきまとっていますので乱高下しやすい要 素があります。唯一のポイントは株主にオリックス、セコム、LIXIL、関西電力といった企業が入っていて4社で72%を占めている点です。上場後の株主 構成がどうなったのかも関心を寄せられます。

2.オークファン(3674・M)
 公開価格2600円
 初値10480円
 高値32350円(6月)
 安値 6990円(6月)
 時価13590円

ネットオークションサイト運営。
 売上7.2億円 経常利益2.9億円 時価総額246億円

 いきなり上場初値から公開価格の4倍で上場。更にその初値から6月高値まで3.0倍に上昇したが、そこから一気に6月安値まで4分の1以下の水準まで下 落し乱高下が見られました。時価は安値の1.9倍の水準ですが、収益水準に比べかなりのプレミアムがついて評価されています。今後も成長性と過剰な評価と の間での株価の乱高下が続く可能性があります。上場後の急騰で利益を得た投資家にファンが増えているのであればまたリバウンド相場もあっても良いかと思わ れます。取り敢えずは8月1日の第3四半期業績に注目しておきたいと思います。


【6月】5社

1.ぺプチドリーム(4587・M)
 公開価格2500円
 初値7900円
 高値13700円(6月)
 安値 5930円(6月)
 時価 8990円

創薬ベンチャー。
 売上6.7億円 経常利益1.8億円 時価総額1190億円

 公開価格の3.2倍で上場。上場初値から上場後の高値まで73%上昇したが、6月にかけて57%調整し現在は戻り歩調だが、時価総額の評価が現状の収益水準に比べやや高過ぎる印象。創薬ベンチャーの将来性期待が株価に多大に反映されているとの印象が強い。

2.横田製作所(6248・JQ)
 公開価格720円
 初値1702円
 高値2573円(6月)
 安値 915円(6月)
 時価1240円

ポンプ製品。
 売上17.4億円 経常利益3億円 時価総額22.3億円

 公開価格の2.36倍で上場。初値から上場後の高値まで51%上昇したが、6月にかけてその高値から安値まで64%下落。現状は戻り歩調。PERは12倍台、PBRは1.5倍台で極端な割安感はない。

3.リプロセル(4978・JQ)
 公開価格3280円
 初値17800円
 高値18610円(6月)
 安値14040円(6月)
 時価15730円

創薬ベンチャー。
 売上7.1億円 経常利益0.11億円 時価総額1306億円

 iPS細胞関連人気で公開価格の5.4倍で上場。その後14000円から18600円のゾーンで変動。過剰な評価なのかどうかは今後の業績がどうなるか で決まります。中計では来期売上高15億円、経常利益3.5億円を見込むが、既に経常利益100億円の水準まで織り込んでいますので、今後の展開は波乱も 予想されます。

4.ジェイエスエス(6074・JQ)
 公開価格950円
 初値1200円
 高値1235円(6月)
 安値 780円(6月)
 時価 832円

スイミングスクール。
 売上73億円 経常利益3.1億円 時価総額16.8億円

 公開価格を26%上回る水準で上場初値をつけましたがその直後の高値1235円から翌日の780円安値まで上場後の高値まで37%下落して公開価格を下 回ってきました。その後徐々に落ち着きを取り戻しておりますが、いまだに公開価格を上回るには至っていません。事業への評価が低い状態で公開価格を上回る には時間を要す可能性が高いと思われます。ただ、中期計画次第では時価総額が高まる要素もあります。

5.ICDAホールディングス(3184・JQ)
 公開価格1900円
 初値3000円
 高値3040円(6月)
 安値1943円(6月)
 時価2079円

ホンダ系カーディーラー。
 売上255億円 経常利益8.7億円 時価総額43.7億円

 公開価格の1.58倍で上場。その後高値から翌日の安値まで36%下落しました。その後は2000円から2300円での比較的穏健な推移を辿っています。

(炎)

(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。万が一、事実と異なる内容により、読者の皆様が損失を被っても筆者および発行者は一切の責任を負いません。)

コメント

コメントはまだありません
コメントを書き込むにはログインしてください。

いまブロマガで人気の記事

「億の近道」金融&経済情報チャンネル

「億の近道」金融&経済情報チャンネル

このチャンネルの詳細