IPO市場には時に、驚くような企業が出てきますが、直近の話題で驚くのは月面開発事業を行うispace(9348)が4月12日にグロース市場にIPOすることになった点です。

 同社は2010年に設立された月への物資輸送をはじめとした月面開発事業を展開するベンチャー企業。既に同社はこの地球のお隣とも言うべき月面着陸に向け準備を進めてきたとのことです。

 同社のHP上では3月7日現在で地球から約58万kmの地点にあるHAKUTO―Rミッション1のランダー(着陸船)が地球を周回しているとしています。この日本初、民間主導のランダーでの月面着陸を目指しているのが同社であり、このビッグイベントを前にしたIPOということになります。

 先日のH3ロケットの打ち上げ失敗は残念でしたが、人類の夢とも言うべき月面開発、宇宙開発の第1歩となる民間企業となるのが同社となる訳ですから投資家の大きな関心を呼びそうです。


 株主にはINCJ(旧産業革新機構)、日本政策投資銀行、VCファンドのほか今ホットなTBSホールディングスなどが名前を連ねています。同社から発信されているメッセージは地球規模の枠を飛び越え、宇宙という世界での人類の生活を念頭に入れたものとなっています。

 スカパーJSAT(9412)やNTT(9432)、NEC(6701)のような通信インフラ系の宇宙関連やアドソル日進(3837)のような宇宙データ活用関連企業などとともに今後、株式市場では折に触れ注目される存在となるものと思われます。


 同社ではIPO時に2469万9700株の公募増資を予定。その想定発行価格を244円としていますので、約60億円の資金調達となります。

 IPO後は紆余曲折あるかと思われますが、様々な投資家の皆さんが同社のことを見守ることになります。ただ、これだけの開発プロジェクトとなるとスケールが大きく利益を生むまでにはかなり紆余曲折がありそうです。

 3月決算の同社は3Qまでの段階で売上8億2381万円、経常赤字97億1764万円を計上。開発先行で収益を生むまでのプロセスは十分にわかっていませんが、メディアにおいても話題を集める点が重要です。


 それにしても日本発の月面開発事業会社のIPOは驚きです。
 創薬ベンチャーなどと同様にまだ夢の先行ではありますが、夢に賭ける投資家にとっては応援したくなる企業の登場に心躍るホットな話題と言えます。


(炎)


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