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賃上げと投資家目線

2023/01/23 11:25 投稿

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 最近の話題は「インフレ」と「賃上げ」ですね。

 2023年1月10日発表の日本の消費者物価指数は総合で前年比4.0%上昇となりました。「値上げ」が国民の生活を苦しめ始めています。

 インフレということもあって、国内では賃上げの圧力が高まっています。
 岸田首相は「構造的な賃上げ」を掲げてますし、連合は春闘の定昇相当分を含めた賃上げ5%を方針としています。具体例ではファーストリテイリングは、従業員の賃金を4割アップさせるという発表をし、その日のニュース番組は、その話で持ちきりになりました。

 しかし賃上げにはマイナスの側面もあります。
 賃上げをすると「人件費」が上がります。人件費は販管費なので、売上がそのまま、もしくは売上総利益がそのままであれば、人件費高騰分、営業利益は減ってしまいます。

 株式会社の持ち主は株主です。従業員は、「生活のために賃金をあげろ」というのはもっともですが、株主にも多少気を使うべきだと思います。

 つまり「営業利益が下がって株価なんて下がってもいいから、賃金を上げてくれ」というのは、さすがに倫理的によろしくないということです。それは「自分だけが良ければいい」という考え方だからです。株主も従業員も(顧客も地域社会も)ステークホルダーという意味では広義の「仲間」なわけですから、「自分だけが良ければいい」という考えは、まずいと思います。

 さらにいうなら、持株会で自社株をたくさん持っている人については、「賃金は年50万円上がったのに、株価の下落で100万円含み損になった」というのでは本末転倒です。

 人件費が上がっても株価が下がらない簡単な方法は「収益を上げる」ということです。最も単純な方法が「価格転嫁」です。しかし、日本のコスト上昇分の価格転嫁の割合は、アメリカ企業などと比較すると低い、というのは周知のとおりです。価格転嫁をするならサービスレベルアップも必要です。そうでないと顧客が離れてしまうからです。

 また、価格転嫁でなく、量を増やすなら、業務効率化が必要です。1人の営業マンが月に10件の受注をしていたのであれば、15件、20件受注できるように工夫することが必要です。この場合、フロントの営業マンばかりを叩く組織がありますが、それでは営業マンはもちません。病気になってしまいます。事務方や商品企画部、マーケティング部やシステムの部署も一丸となって「営業マン(販売員)がたくさん収益を上げられるように努力する」ことが求められます。

 賃上げは、従業員の意識改革、行動改革とセットで進めるべきだと私は思います。

 収益アップのためには、従業員が同じ方向を向いてチームワークよく動くことが大切です。そのためには、「経営者的な目線」が必要です。

 サッカーでいうなら監督的目線です。

 サッカーでパスミスが起きた際に、パスをもらう側とパスを出す側が、「お前が悪い」と言い合っていたら話になりません。ただ会社ではこういうことが起きがちです。「収益アップ」を実現するために、従業員同士の歩み寄りが大切です。そのためには、「会社って今どんな状況で何を目指しているの?自分は1つのパズルのピースとして何をするのがベストかな?」ということを考える「経営者的目線」が必要です。


 経営者目線は、株式投資で学ぶことができます。

 株式投資においては、経営者が何を考えて何を目指し、会社がどのように動いているのかを見る力が不可欠だからです。

 株式投資を学ぶことは、経営者目線を得ることに繋がり、組織で働く人がベストな仕事をすることに繋がると私は考えます。ベストな仕事をする人が多い組織の収益は向上し、理想的な賃上げができると思います。そのような企業が増えることが「構造的な賃上げ」だと私は思います。


 今年も投資教育の活動を進めていきます。


(遠藤)


[遠藤 功二氏 プロフィール]

 日本FP協会認定CFP
 1級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)
 MBA(経営学修士)

大学時代に借金に追われた経験からFPの資格を取得し、金融機関に就職。
証券会社と外資系銀行で延べ1,000人以上の顧客を資産運用アドバイザーとして担当した経験上、日本には金融教育が足りていないことを確信する。
自己責任が求められる社会で、子供たちが自立して生きていけるよう、お金の教育講座を実施している。子育て世代の親たちと子供たちに、金融の知識を届けるため教育特化のFPとして奔走中。

子育て世代のための金融教育サービスFP君
web:https://fpkun.com
メッセージ:koji.endo@fpkun.com


(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。万が一、事実と異なる内容により、読者の皆様が損失を被っても筆者および発行者は一切の責任を負いません。また、当該情報は執筆時点での取材及び調査に基づいております。配信時点と状況が変化している可能性があります。)

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