最近の話題は「インフレ」と「賃上げ」ですね。
2023年1月10日発表の日本の消費者物価指数は総合で前年比4.0%上昇となりました。「値上げ」が国民の生活を苦しめ始めています。
インフレということもあって、国内では賃上げの圧力が高まっています。
岸田首相は「構造的な賃上げ」を掲げてますし、連合は春闘の定昇相当分を含めた賃上げ5%を方針としています。具体例ではファーストリテイリングは、従業員の賃金を4割アップさせるという発表をし、その日のニュース番組は、その話で持ちきりになりました。
しかし賃上げにはマイナスの側面もあります。
賃上げをすると「人件費」が上がります。人件費は販管費なので、売上がそのまま、もしくは売上総利益がそのままであれば、人件費高騰分、営業利益は減ってしまいます。
株式会社の持ち主は株主です。従業員は、「生活のために賃金をあげろ」というのはもっともですが、株主にも多少気を使うべきだと思います。
つまり「営業利益が下がって株価なんて下がってもいいから、賃金を上げてくれ」というのは、さすがに倫理的によろしくないということです。それは「自分だけが良ければいい」という考え方だからです。株主も従業員も(顧客も地域社会も)ステークホルダーという意味では広義の「仲間」なわけですから、「自分だけが良ければいい」という考えは、まずいと思います。
さらにいうなら、持株会で自社株をたくさん持っている人については、「賃金は年50万円上がったのに、株価の下落で100万円含み損になった」というのでは本末転倒です。
人件費が上がっても株価が下がらない簡単な方法は「収益を上げる」ということです。最も単純な方法が「価格転嫁」です。しかし、日本のコスト上昇分の価格転嫁の割合は、アメリカ企業などと比較すると低い、というのは周知のとおりです。価格転嫁をするならサービスレベルアップも必要です。そうでないと顧客が離れてしまうからです。
また、価格転嫁でなく、量を増やすなら、業務効率化が必要です。1人の営業マンが月に10件の受注をしていたのであれば、15件、20件受注できるように工夫することが必要です。この場合、フロントの営業マンばかりを叩く組織がありますが、それでは営業マンはもちません。病気になってしまいます。事務方や商品企画部、マーケティング部やシステムの部署も一丸となって「営業マン(販売員)がたくさん収益を上げられるように努力する」ことが求められます。
賃上げは、従業員の意識改革、行動改革とセットで進めるべきだと私は思います。
収益アップのためには、従業員が同じ方向を向いてチームワークよく動くことが大切です。そのためには、「経営者的な目線」が必要です。
サッカーでいうなら監督的目線です。
サッカーでパスミスが起きた際に、パスをもらう側とパスを出す側が、「お前が悪い」と言い合っていたら話になりません。ただ会社ではこういうことが起きがちです。「収益アップ」を実現するために、従業員同士の歩み寄りが大切です。そのためには、「会社って今どんな状況で何を目指しているの?自分は1つのパズルのピースとして何をするのがベストかな?」ということを考える「経営者的目線」が必要です。
経営者目線は、株式投資で学ぶことができます。
株式投資においては、経営者が何を考えて何を目指し、会社がどのように動いているのかを見る力が不可欠だからです。
株式投資を学ぶことは、経営者目線を得ることに繋がり、組織で働く人がベストな仕事をすることに繋がると私は考えます。ベストな仕事をする人が多い組織の収益は向上し、理想的な賃上げができると思います。そのような企業が増えることが「構造的な賃上げ」だと私は思います。
今年も投資教育の活動を進めていきます。
(遠藤)
[遠藤 功二氏 プロフィール]
日本FP協会認定CFP
1級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)
MBA(経営学修士)
大学時代に借金に追われた経験からFPの資格を取得し、金融機関に就職。
証券会社と外資系銀行で延べ1,000人以上の顧客を資産運用アドバイザーとして担当した経験上、日本には金融教育が足りていないことを確信する。
自己責任が求められる社会で、子供たちが自立して生きていけるよう、お金の教育講座を実施している。子育て世代の親たちと子供たちに、金融の知識を届けるため教育特化のFPとして奔走中。
子育て世代のための金融教育サービスFP君
web:https://fpkun.com
メッセージ:koji.endo@fpkun.com
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