有料メルマガ・石川臨太郎の「生涯パートナー銘柄の研究」の過去配信ライブラリ「銘柄研究」「コラム」のうち、コラムの一部を掲載いたします。
自立した投資家、石川臨太郎のコンテンツをお楽しみ下さい。
なお、内容は執筆当時の背景に基づいており、現在の状況と必ずしも一致しないことを予めご了承下さい。
=コラム「メンタルタフネスと投資企業への信頼の強さを試される下落局面」=
(有料メルマガ第389回・2016/7/12配信号)
※注 2016年7月現在の内容ですので留意下さい。
【前略】
自分の株のポートフォリオの資産額がズルズルと減っていくのは、怖いものです。このことに恐怖を感じない投資家は、壊れたブレーキの自動車と同じで大きな事故を起こして大破する可能性が高いです。
恐怖は投資家のブレーキであり、必要不可欠なものです。しかし効きすぎるブレーキも、下手に踏むと事故の原因となります。余裕をもってブレーキを踏む強さやタイミングを判断して運転することが事故を起こさないためには必要です。
運用資産が減っていくときの恐怖が続いていると、投資家には冷静に投資判断をするために、一番大切な『遊び』が失われて行ってしまいます。『遊び』というのは『余裕』のことです。厳しい投資環境が投資家から余裕を奪い去り、冷静な判断能力を奪っていきます。
メンタルタフネスが恐怖に削られて弱っていくのです。心が折れたら非情な経済戦争のバトル・フィールドで生き残ることは難しくなります。この失われた『余裕』を新たに生み出すためにはどうしたらよいのでしょうか。
メンタルタフネスを強化するために日ごろから行っている努力や、恐怖で追い込まれたときに失われた余裕を新たに手に入れるために実践していることを今日のコラムでは紹介してみたいと思います。
業績とか、資産背景とかに関係なく株価が下げていく企業がたくさんあります。決算短信の発表後に、好業績に反応して上げていた企業の株価が、決算発表前の株価さえ維持できずに、大きく下落してしまうことも良くあります。
これは企業に株価が下がる原因があるのではなく、その企業に投資している投資家サイドに原因があるのだと考えています。
しかし株価が下げている事実は、否定できません。株式投資を継続していくなら、投資家としてのメンタルタフネスがまさに試されているのだと感じます。
このような投資環境の厳しい時には、自分のメンタルを普段から鍛えてきた努力と共に、側面から自分のメンタルを支えてくれる『何か』を通常時や、投資環境の良い時に準備してきた成果も問われているのだとも感じます。
業績も伸びており、資産も着実に積み上げてきた企業の株価が、瞬く間に20%も30%も下げてしまう状況が長く続いていくときには、普段からの非常時への準備が生きてきます。
株式投資を続ける以上は、良好な投資環境が続くとは限りません。アベノミクスがスタートしてからの良好な投資環境で、投資している企業の株価が、順調に上げていき、気が付いた時には株に投資した資金が大きく増加している。このような幸運で、幸せな時間が長く続くことはないのです。
もちろんアベノミクスがスタートしてからの去年までの4年間の間にも、大きく株価が下落する時はありました。しかし、その後に株価は順調にリバウンドして、毎年資産が増えているという状況が続いていました。
しかし、今年はまったく様相が違います。どんなに業績が伸びていても、創業後の歴史が100年もあり、バランス・シートに表示されているので誰の目にも明白な現金性資産の金額が時価総額を軽くオーバーしているとか、有価証券報告書で確認できる賃貸不動産の含み益が時価総額の2倍はある。そんな企業の株価さえ、下げ止まることなく、下落してしまうような状況です。
株式投資を続けていくと、このような茨の時代、投資環境が厳しい時が続いていくことも多いのです。
日本の株式市場は、経験と知識が豊富な中長期に株に投資する個人投資家層が育っていません。そのような投資家が充分に存在している欧米諸国の株式市場とはちがって、投資家の層が薄いという欠点を抱えている市場です。
そのために資金力が豊富でレバレッジを効かせた先端の投資手段で株価を大きく上げ下げして、その変動から利益を吸い取るヘッジファンドなどに、良いように翻弄される、面倒でやっかいな市場です。
このような未成熟な日本の株式市場で生き抜いて、利益を確保していくためには、投資環境が悪い時にも耐え抜けるメンタルタフネスが必要とされます。
株式投資で中長期投資をするときの企業選びの基本については、次のように考えています。
投資する企業のファンダメンタルズの研究をして、よく理解して、その企業のファンダメンタルズを信頼することができる企業を選ぶことが必要だ。
このように私は信じています。
私の場合は、企業のファンダメンタルズのうちでも、過去の収益で積み上げてきた現金性資産や含み益の大きな土地を保有していることを重視しています。
株式市場という人間の欲望と恐怖がぶつかり合う経済戦争のバトル・フィールドで、市場が大きく荒れて環境が悪化しつづけているときは、投資家としてのメンタルタフネスが平常時以上に求められます。
企業のファンダメンタルズを調べる時も、妥協せずに、最善を尽くして細かく調べることが大事です。
特に投資環境が厳しく、株価が下がり続けている企業の株を持ち続けるためには、この最善を尽くして調べた企業のファンダメンタルズに対する信頼が何よりも自分のメンタル面での支えになります。
その企業の株を値段にかまわず売却しなければならない他の投資家の投げ売りで、どんなに現金性資産を保有していようとも、含み益の大きな不動産を持っていようと、業績が伸びていようと、株価は大きく下がります。
その下げに怯えて、売りが売りを呼ぶ事態も発生します。その突然の理由の分からない下げに動じて動揺して、自分も投げ売りに付き合わないためには、その企業のファンダメンタルズをしっかりと最善を尽くして調べているという、自分の調査に対する信頼も必要ですし、投資した企業のファンダメンタルズに対する信頼も求められます。
そして自分の経済的実力に見合った、『リスク管理』のもとで投資を行っているという自分のリスク管理に対する信頼も必要です。
このような、『信頼』のひとつひとつが自分のメンタル面でのサポートになってくれます。
しかし、どんなにリスク管理を徹底して、企業のファンダメンタルズを調べて信頼していても、自分の投資資産額がみるみる減少していくとき、恐怖を感じないということはありません。恐怖は感じても当たり前です。しかし長く続く恐怖はメンタルタフネスを徐々に削ってむしばんでいきます。
ですが、自分の感じる恐怖に無謀な投資行動を取るというのは、最悪の行動です。恐怖を感じながらも投資行動は、冷静な投資判断に基づいて行うことが絶対に必要なのです。
恐怖に怯えても、冷静に判断して決断をするメンタルタフネスが、過酷な株式市場というバトル・フィールドで生き残るためには求められているのです。
更なる株価下落の不安はあります。葛藤も付きまといます。
そして我慢してのホールドが長いあいだ報われない事態も生じ得ます。
努力すれば常に報われるわけでもありません。
株式投資には『遊び』が必要です。
『遊び』とは『適切な余裕』です。
余裕は冷静な判断力を育てます。
投資家は追い込まれると余裕を失っていきます。
余裕を使い果たしていくのです。
失った余裕を、再び作り出すにはどうしたらよいのか。
勇気をもって投資の決断をすることです。
その決断は損切りをするという決断になるかもしれないし、ホールドを続けるという決断になるかもしれません。
ホールドを続けるという決断をしたことも、一歩前に進むことになるのです。
損切りするという決断でも同じです。
苦しい状況の中で決断をしたことで、使い果たしていた余裕が生まれてきます。
簡単なようで、とても難しいことです。
しかし、新しく生み出された、この余裕がメンタルタフネスを支える大きな力になってくれます。
どんな企業の株に投資しても株価が下げてしまうような、いやな相場環境が続いています。私も預貯金から株にシフトするという方針も、実行できないままで時間だけが過ぎていきますが、ますます割安な企業の株が、更に割安になり、配当利回りや、配当優待利回りが高くなっていきます。
我慢するという決断も余裕を生んでくれています。戦闘意欲を失ってはバトル・フィールドでは生き残れないので、常に新たな投資の決断をしようという前向きな意欲をきらさないようにしようと考えて、企業分析を続けています。
【後略】
経済的独立ワクワク!サポーター 石川臨太郎
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