近年の企業成長の手法として導入されているのがM&Aです。
 最近はその仲介を行う企業が上場しテレビCMを流すなど仲介ビジネスも注目されています。

 時間価値、組織形成の価値、ブランド価値、資産価値、収益価値などのトータル資産をお金で買う手法です。買う立場と売る立場の双方の利益が合致することがM&Aにとっては成就する条件と言えます。

 M&Aの買い手である上場企業は豊富な余裕資金で事業シナジーのある企業を子会社することになります。この場合、買われた企業に資産がどれだけあるかに関心が持たれます。また有利子負債と保有現預金を差し引いたキャッシュフローにも関心が持たれます。

 100%子会社化された買収された企業の純資産と買収額との差が暖簾代として計上されます。


 暖簾(のれん)は店先に掛ける布のこと。物質的な価値はなくても顧客に知名度や販売品の品質などのブランド価値を示す象徴。こうした無形のものへの投資を行うことから実際の金銭的な価値に上乗せして評価するプレミアム分のことを指す用語になった。

 このようにのれん代は企業会計では企業が保有する無形固定資産のことだとされ、ブランド力や技術力、ノウハウなどを示すのが「のれん」でバランスシートにも金額表示されています。
 企業がM&Aで買収する際も買収する企業の純資産に加えて「のれん代」がかかるとされており、買収で支払った金額と買収先企業の純資産の差額と言えます。

 これは日本の会計システムの中では20年以内の一定期間(2年から20年と幅)でその期間収益の中で販売費一般管理費として償却されていきます。その結果、毎期営業利益以下の利益を下げる要因にはなります。

 一方、米国の会計基準や国際財務報告基準(IFRS)では定期償却せず収益性が失われるなど価値が大幅に低下した時点で減損処理されることになっており、日本の会計処理方法とは異なります。

 多くのM&Aでは買収金額>被取得企業の純資産であるのですが時には買収金額<被取得企業の純資産という場合も出て参ります。この場合は負の暖簾代が発生することになります。

 一般的なM&Aでは期間利益がのれん代の償却が発生することで減じることになりますので短期的には投資家には好まれないことになりますが、通常はそれを上回る中長期なメリットとしてポジティブに評価されるものと考えられます。そうでないとM&Aをする意味がありません。
 但し、思ったほど買収価値がなく収益効果が生まれずに減損が生じる可能性があります。

 一方の負の暖簾代が発生する場合は買収金額と被買収企業の純資産の差額が営業外収益に買収決算期内に一度に計上されることになります。


 次回はその具体的な事例としてM&Aで成長指向する福岡の金属加工、ゴム加工会社日創プロニティ(3440)について取り上げたいと思いますのでご期待下さい。


(炎)


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