現在の株式相場はここに来てネガティブな評価がなされる成長株と多くの見向きもされない低PBRバリュー銘柄、更にはコロナ禍で未曽有の高収益を得ている低PER銘柄群などで構成されており、投資家のコアとなる投資対象の変化の中で形成されている。
金融相場から業績相場という市場の掛け声むなしく市場参加者の投資意欲は成長株へのネガティブな評価への変化を受け委縮しがちである。
根源的な企業価値は現在の持てる資産をベースにした評価と未来において生み出す収益を加味した評価とに分かれるが、これには上場企業のような認知度や信頼度が高まった企業においてはプレミアムが付きやすいので本来ならブランド価値などの無形資産も加味した評価がなされても良いことになる。
企業にとっては銀行との関係を断ち無借金経営を貫いているケースも多い一方で、日本の多くの基幹産業のように有利子負債を用いてレバレッジを効かせたダイナミックな経営をしている場合もあり、その評価はケースバイケースとなっている。
そもそも金融業という一種の国家的サービス業を営む銀行への評価が低い時代の中でモノ作り企業などには半ば銀行と同様に実質無借金経営を貫くような企業が散見されるがそうした一見して安定した経営を続けていると見える企業の評価は低い。これがバリュー銘柄からのリターンを上げるのは難しいとの結論に導かれる背景になる。
成長株投資には需給によって大きく変動する不確実な予期せぬ変動リスクも伴うが、一方ではそのセンチメントの変化、評価の前提となるファンダメンタルズの変化で大きくリターンを上げるチャンスもあるからあきらめる必要はないだろう。止めどない下げトレンドの連続で焦燥感が漂う日々ではありますが、投資対象企業から発信されるメッセージに関心を寄せながら春が来るのを待つことにしたい。
多くの無借金安定型バリュー企業の時価総額は経常利益の10倍以下に留まっている一方で、成長性が認められる企業の評価は高く予想される経常利益に対して概ね10倍以上の評価がなされている。投資家が成果を得るにはこの成長性の見極めが必要であり、そのためにも企業から発信される中長期の成長プランやニュースリリースに関心を寄せる必要がある。
今1億円しか経常利益が上がっていない企業がその100倍で時価総額が評価され割高な印象があっても近未来に経常利益10億円を達成できる可能性が高ければ決して割高だとは言えない。
実際には企業が発信する事業計画には堅めのものやや過大なものが含まれており、投資家自体もその計画を吟味してみる必要がある。
投資家からの質問は企業にとっては本来歓迎すべき話でありそのやり取りを拒否する企業の株式には投資すべきではないと肝に銘じておきたい。
株式相場は教科書通りに動いてはくれない。
株価は企業評価、市場人気の変動でもある。マクロ経済やその時々の需給要因にも左右されながら変動していく。ついこの間1000円していた株が500円なんてざらに起きる。その反対に500円だった株価がごく短期間に1000円になることもある訳でそれが株式投資の面白さでもあり難しさでもある。
今後もできるだけ余裕ある資金で変動リスクに備えながら取り組んで頂きたいと願うばかりだ。
(炎)
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