皆様こんにちは、投資家Sと申します。
創業(1964年)半世紀を超える投資日報社が、毎週月曜・木曜に発行を行っております、”投資日報α”(月曜版)に”投資家Sの今週の注目銘柄”を連載しております。
日曜から出張で北陸地方に来ております。
今回初めて北陸新幹線に乗ったのですが、乗客が非常に少ないです。私が乗った列車の乗車率は、20%程度かと思われます。
9月末日までは首都圏を中心に緊急事態宣言が発出されている為、ビジネス利用が大幅に減少している事は分かるのですが、先週のシルバーウィークで繁華街や行楽地の人手が大幅に増えたのとは対照的に、地方都市への出張や観光の回復はもう少し先になりそうです。
先日、日本のワクチン接種率はついにアメリカを抜きましたが、国内での本格的なRe Openの動きは11月以降との見方になっており、10月は経済再開の移行期間となりそうです。
経済再開に向けてどの分野が活性化するのかを考えてみましたが、エネルギーセクターの業績が改善する可能性が高いと考えております。
先進国を中心に世界的に脱炭素の流れが加速しておりますが、一方で人間は一度味わった便利な生活を止める事はなかなか出来ません。また、再エネはまだまだこれから普及して行く段階であり、コストが高いのも事実です。
結果的には、Co2排出量で石炭よりもまだマシなエネルギーである石油と天然ガスの需要が増す可能性が高く、実際に欧州では天然ガスの価格が1年で4倍に高騰しております。
現在がエネルギーの移行期にある事は事実ですが、従来型のエネルギーにもまだまだ需要あり、価格の上昇と需要の増加で収益面の改善が見込める現在の状況は、市場で過小評価されている銘柄を仕込むタイミングだと考えております。
今回の注目銘柄は、活況な大型株の中でも株価の回復が大幅に遅れている、石油元売り最大手のENEOS【5020】を取り上げております。高い配当利回りと足元の業績の改善を鑑みれば、株価は割安な状況が続いており、第二の海運株となる可能性が高いと考えております。
■投資家Sの今週の注目銘柄 ENEOS【5020】
今回は、石油元売り国内最大手ENEOS【5020】の株価を考察。
先週から日経平均株価は大幅上昇に転じており4カ月ぶりに3万円台を回復。
TOPIXも1991年以来30年ぶりの2,000P回復となっており、日本株は新たな局面に入っている。
8月末終値からのTOPIX大型・中型・小型の3指数の騰落率を見てみると大型株の上昇が最も高く次は中型、最も弱いのが小型株となり、“大きい株ほど良く買われる”状況となっている。
ENEOSの時価総額は9月9日時点で約1兆4,500億円となり大型株となるが、上げ幅は大型株指数を下回っており初動の動きは弱い。指数をアンダーパフォームしている理由を考えてみたい。
先ずは原油価格の上昇が一服しているという点。
昨年4月にマイナス価格による受渡が行われた原油は、数十年来のボトムを付けてから大幅上昇に転じており、WTI原油先物は7月に2018年以来となる76ドルの高値を付けている。8月以降はデルタ株の感染拡大による再度の移動制限及び、主要産油国による減産縮小報道で価格は下落に転じており、足元の上昇一服が石油株の上値を重たくしていた。現在は横ばいとなっているが、石油需要は秋以降に回復する可能性が高い。
日本政府は10月以降に緊急事態宣言が発令されていてもワクチン接種を行った人は移動の制限を緩和する方針を示しており、ようやく日本でもRe Openの時間に突入する。よって、秋以降は需要の回復が見込める為、業績
は向上する可能性が高い。
次に挙げられるのはE(環境)S(社会)G(ガバナンス)への対応。
石油株出遅れの要因に、石油精製を主力とする同社の環境対応がある。特に機関投資家からの要求は大きく、今や避けては通れない状況。同社のESG経営は、2040年までに自社排出分のカーボンニュートラルを目指す取り組みを進めており、技術革新で低コスト化した再生可能エネルギーやCO2フリー
水素の推進を実施。環境負荷の低い事業の強化・拡大中。市場参加者がイメージしているよりも、同社のESGに対する取り組みは進んでいる。
そのため現時点で株価の上昇率が他の大型株に対して劣っているのは、市場参加者が同社の事業リスクを過剰に織り込んでいるに過ぎないと筆者は考えている。
環境対応に対する不都合な真実は、先進国が化石燃料の使用を削減し始めている一方で、発展途上国の使用は依然伸びるという点であり、中期的な価格上昇と長期的な需要の拡大は続く公算が高い。これらの事実を鑑ると、上げ幅が指数を上回るのは時間の問題と筆者は見る。
(投資日報α2021年9月13日号掲載)
(投資家S)
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▼櫻田 学氏プロフィール
トレース合同会社 社長
株式会社投資日報社 専務取締役
大学卒業後、2004年から証券会社にてFXの仕事に従事。
以後、14年間に渡り、営業・企画・トレーディングの最前線で活躍。
リーマン・ショック・ユーロ危機・Brexit等々の並居る大相場の中、裏方として市場の最前線で指揮を取り、FXの表も裏も知り尽くす。
2018年秋、11年間勤めたマネックス証券を退社して、暗号資産(仮想通貨)の交換業者となる、株式会社ディーカレットの立ち上げメンバーに加わる。
2020年5月に、相場道を究める為に同社を退職。
個人投資家として株式投資を行いながら、投資に掛ける時間が限られる兼業投資家の方に有益な情報を届ける為、株式について日夜分析を行っている。
日本テクニカルアナリスト協会 認定テクニカルアナリスト(CMTA)
相場に対するモットーは、「利食いたくなったら乗せろ」
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