米大統領選はようやく民主党のバイデン候補勝利でほぼ決着を見た。
 ほぼというのはトランプ大統領の敗北宣言がまだなく最高裁への提訴が控えているためだが、株式市場には既にどちらが大統領になろうとも大勢(上院での共和党優位)に変化はなく、今後の経済運営その他にも大きな波乱はないという判断の下、停滞局面から短期急騰という流れが見られる。

 大統領選を前にした市場にはコロナ禍もありリスクオフ、様子見のムードが続いてきたが、3QのGDPの大幅回復などもあり、蓄積してきた買いエネルギーが噴出してきたとの印象も持てる。
 米国株が意外なほど堅調な展開となってきたことを受けて、日本株にもその流れが受け継がれ、とうとう日経平均は2万4000円台に乗せバブル崩壊後の戻り高値を更新してきた。とは言え、このところの物色の流れはソニーなど限られた銘柄に主導され、出来高面での迫力にはやや欠けているように思われる。


 親中派のバイデン大統領誕生で、米中間の高関税合戦が緩和されるのかどうか、コロナ対応の新たな展開、エネルギー政策の変化、減税から増税に向かうなどの経済への懸念材料も想定はされるが、大統領が誰であれ、議会が共和党主導で運営される点は株式市場にとっては中立に働く。むしろ大統領選が終わったことが株式相場にとっては最大の好材料とも考えられる。

 大統領選までの株式相場は様子見を決め込み調整の動きを見せていたが、NYダウは投票日を前にした10月30日の安値2万6143ドルから11月5日の高値2万8495ドルまで4日間で2352ドル、約9%の上昇を見せた。
 さすがにその後の先週末は伸び悩んで終えているが、週末のバイデン陣営の勝利宣言を受けてどのような展開を見せるか注目される。

 結果を待たずに株価が上昇した流れは好需給の下で手控えられてきた投資家のポジティブな投資行動が見切り発車的に出てきたという印象が持てるが、皆様にはこの動きはどのように映っているでしょうか。

 相場の勢いは止められず、このまま一気に米国株が上昇し、それに連動して日経平均も2万5000円台乗せとなるか関心が寄せられるところだが、まずは2018年10月高値2万4448.07円を今週にも抜けるかどうかに関心が寄せられる。

 日経平均株価に対してTOPIXはまだ、2018年1月高値1911.31よりも250ポイントも下にあり、このあたりの指数が高値更新に向けて進むのかに注目が集まる。この流れについていける投資家もお見えになるかも知れませんし、ついていけずに様子見を続ける投資家も多いかと思われる。
 特に二極化が激しい相場展開で物色されている銘柄はソニー、TDK、村田製作所などのハイテク株に集中しており、指数の上昇ほど個別銘柄では値上がりをまだ示していない状況だと考えられるので、あまりこの株高の恩恵を受けていない投資家が多いものと思われる。
 コロナ禍で業績に不安がある銘柄を避けて好業績銘柄についていこうと言う投資家がこのところ増えてきたと考えられる。つまり全面高ではなく好業績銘柄や個別材料株の株高が見られるだけなので、この指数の上昇についてあまり有頂天になる必要はないと考えられる。


 筆者も含めて多くの市場関係者が想定していた日経平均2万4000円台乗せを果たした状況下で投資家心理が強気に傾くかどうかは、出遅れ銘柄も含めた横への広がりが見出せるかどうかになる。

 なかなか多くの投資家は短期の上昇相場についていけない。
 ここはあせる必要はなく、何らかの格好で再びの調整場面をじっくりと待つスタンスで良いだろう。

 株式相場に波乱は付き物。二日新甫で始まった11月相場は毎年やってくる12月の税金対策の損切り相場の前哨戦。上がる株と値下がり株の二極化相場が続く中で指数の動きに惑わされることなく冷静に良い銘柄をポートに入れておきたい。

 株式相場は時に摩訶不思議な動きをしがちで迂闊に先読みはできない。
 新型コロナの感染拡大防止と経済再生、雇用回復という二律背反となる難しい政策のかじ取りがバイデン大統領となったとしても簡単ではないことは言うまでもないがいずれにしても再び経済の回復に向けた積極的な施策への期待感がこの先も続くことになろう。

 米国株に連動する日本株ではあるが、このところの日本株はマザーズ銘柄に主導された格好でこれまでにない潮流が見られたものの、その物色人気は行き過ぎの咎めも出て一旦穏健なものとなってきた。
 10月後半のIPOはマザーズ銘柄(カラダノート、プレミアアンチエイジング、さくらさくプラス、Retty)だったが、概ね順調な初値形成が見られ、その後は各銘柄ともにやや波乱の動きが見られたが、概ね各銘柄ともに切り返しの動き。好需給によって初値が高くなり過ぎた場合の咎めは出やすい筈でまだ多少波乱が予想されるが、中長期的な成長期待やテーマ性を持つ新規上場銘柄への活躍期待は継続するだろう。

 4年に1回の米大統領選の混乱の下で、全体相場もややイレギュラーに反映され、11月後半に予定されているIPOにもバトンタッチされようとしている。この後のマザーズIPOは19日のアララ(4015・M)まで予定はなく、マザーズ銘柄はしばしの間、お休みムードが想定し本格的なマザーズIPO銘柄への物色気運の高まりは11月後半のIPO相場がスタートするタイミングからだと見ていたが、待ちきれない投資家が多いようで直近IPO銘柄は以下のように切り返しの動きが見られる。
 このままでいくと怒涛のごとく出てくる12月のIPO銘柄も人気化が予想される。


【直近IPO銘柄】

カラダノート(4014)
 時価2100円(前日比400円高) 先週末出来高1184万株
 公開価格450円 初値1890円⇒安値1351円⇒高値2100円


プレミアアンチエイジング(4934)
 時価6950円(+400円)先週末出来高134万6800株
 公開価格4140円 初値5670円⇒安値5000円⇒高値7560円


さくらさくプラス(7097)
 時価2773円(+214円)先週末出来高24万2400株
 公開価格2330円 初値3435円⇒高値3440円⇒安値2430円


Retty(7356)
 時価2378円(+400円)先週末出来高842万3200株
 公開価格1180円 初値1611円⇒安値1606円⇒高値2378円


(炎)


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