昨年11月28日“1000の用途を持つ粘土”を投稿しましたが、億近松田理事長から株式投資との関連がわからないとの連絡ありフォローさせて頂く
ことになりました。
投稿文にはスメクタイトや同族のモンモリロナイトという言葉を多用したため理解し難かったかと思います。
スメクタイトとは水を吸収すると膨らむ粘土鉱物の総称で、バイデライト、サポナイト………と幾つかの鉱物の中にモンモリロナイトも含まれています。このモンモリロナイトを主成分として石英、オパール、マイカなど珪酸物を含むものをベントナイトと呼び、日本では専門業者として上場企業のクニミネ工業(5388)や未公開企業のホージュン、三菱商事(8058)、双日(2768)など商社も扱っています。
化学組成は(Na,Ca)0.33(Al,Mg)2Si4O10(OH)2・nH2Oからナトリウム型とカルシウム型に大別され、一般にナトリウム型の方が膨潤性に優れる結晶構造で、ナトリウム型は山形県や群馬県、米国ワイオミング州が有力な産地です。双日系で日米合弁のボルクレイ・ジャパンはワイオミング産を、ホージュンは群馬県に本社を構えます。
一方、クニミネ工業は山形県大江町にある日本最大のベントナイト鉱山を有する他、有力な産地である宮城県蔵王町にも鉱山を有し、宮城蔵王から山形蔵王方面へ行くエコーラインの手前右側に工場があります。長い年月をかけながらの火山灰変質でベントナイト鉱床が出来るということで、火山や温泉の出るところが産地な訳ですね。
ベントナイトは千の用途と言われますが、日本に於ける市場規模は数百億円程度と余り大きくなく、クニミネ工業が大きなポジションを占めています。
市場規模の半分程度はシリンダブロック用型の砂に混ぜ合わせて利用されており、ディーゼルエンジンの生産量にリンクする傾向にありますが、複雑な水路形成で中子の利用が多いとベントナイトの使用量が増加する傾向にあると聞きます。しかし足元商用車生産は比較的良好ですが建機・発電など産業用ディーゼルエンジンの生産が弱含みで同分野向けは減少の模様です。
ペット関連や土木向けも堅調とのコメントですが、福島復興関連の寄与が大きそうです。化成品では増設したクニピアが増収で、有力顧客の底入れと生産回復が背景にある様ですが、増設による償却費用の増加が収益を圧迫しています。
中間期連結合計では増収・増益でしたが、利益は期初計画を下回りました。業績期待の先行から10月31日決算発表当日の株価は1,000円台へ乗せましたが、翌日は利食い売りです。
しかし11月初旬から上昇局面へと転じ、12月23日には1,465円の年初来高値を更新です。これは11月4日の日刊工業新聞の記事が背景にあります。
同社と山形大学の共同でベントナイトの通電性・特電特性を解明し、電池材料へ期待との見出しで、誘電率がチタン酸バリウムの2倍超からセラミックコンデンサへの応用の可能性から理想買いが起こった訳ですね。しかし採用されるか否か、また早くても2023年を考えると時期尚早で、一旦上昇相場は終焉に向かいそうです。
安全性も高く多方面への応用が期待されるため千の用途と言われていますが、実際の広がりはそこまで拡大していないようです。しかしカビ毒への採用や、海底掘削など話題は尽きそうにありません。
しかし今後大量のベントナイトを使用しそうなのが原子力発電関連です。
低レベル使用済み核燃料では日本原燃がベントナイト混合土を用いた埋設処理を実施済みですが、高レベル廃棄物では莫大な量のベントナイトが使用されるだろうとのFBR関係者の話しでしたが、まだ数十年先のことです。
非常に息の長い相場と考えておきましょう。
(あすなろ産業調査部)
過去掲載 「1000の用途をもつ粘土」
http://okuchika.net/?eid=8845
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