米国の利上げ予想が再び浮上してきました。
直近で発表された住宅関連指数、小売売上、物価関連の指数等、経済指標好調だったことに加えて、一部連銀総裁(2名)から6月の利上げも排除しないという話が伝わったことによるものでした。
利上げ期待を織り込んでくる2年物米債利回りは8bpだけ微妙に上昇反応しただけでしたが、株式市場は嫌気しました。
直近の、エコノミストによる米利上げ予想では、6月の金利据え置きが9割近くで、利上げ予想が据え置き予想を超すのは12月以降です。ただ、今後の経済指標次第で早まってくる可能性はあります。
現在の10年物米国債利回り1.78%はインフレ率を考えても低位安定状態。原油価格の反発による期待インフレ率上昇や小売売上などの景気関連指標の堅調さが見られれば利上げ時期は早まる可能性もあってもおかしくないと思います。
4月の日銀の追加緩和見送り、米国の為替報告書に為替操作国として日本がリストアップされたことからゴールデンウィーク始まるや105円台までのドル円での円高。麻生財務相の介入の可能性発言がなければ、更に円高に行っていた可能性があるでしょう。
実際に為替介入ができるか?
やったとしてどの位の額をやれば効果があるのか?
など現実面では難しいと言われる中、今週末20日21日に仙台で開かれるG7財務相会合、来週の伊勢志摩サミットは安倍政権の正念場として注目されます。
日本の財務相VS米国の財務長官の為替に関する議論が激化するなどがあれば円高リスク再燃となるでしょうが、ホスト国を刺激して、介入を示唆して取りあえず丸く収めた麻生財務相の顔を潰すことはないと言ったら楽観的過ぎるでしょうか。
日本の消費増税延期、財政、金融政策への期待、また、ここへ来て浮上した米国の6月利上げ説もあって109円台まで戻して推移しているドル円相場。110円~111円台の上値抵抗体はかなり強固とみられ、当面、107~111円水準での推移を考えています。
さて、今後、注目しておきたいイベントとしては6月2日のOPEC総会、6月15日16日の米国FOMC、そして6月23日の英国のEU離脱に関する国民投票があります。
6月23日に控えているEU離脱を問う英国国民投票は結果次第では、世界市場へ大きな影響を及ぼす可能性があります。
私事ですが、連休を挟んで英国に行っていました。主にスコットランドとイングランド・デボン州での循環型済を目ざす新しい取り組みをしているエコビレッ ジやトランジションタウンを体験することが目的でしたので、EU離脱か残留かの意見は限られた知人たちからしか聞いていませんが、知人の一人であり金融界 で一緒に働いた旧知のイギリス人からは、「自分の周りでは『残留』の意見ばかりなので、世論調査で賛否拮抗していることには違和感がある」との話も聞かれ ました。
ちなみに、最新(3日前)の世論調査では、オンライン調査は41%(残留)42%(離脱)、電話調査では43%(残)34%(離脱)その他:分からない。となっています。
英国はEU加盟国でも通貨はポンド使用を続けて一線を画してきましたが、EUとの関係は草の根ベースでも深まり、私が地方の環境関係の施設(下水システムのプロジェクト等)を見学した際、資金の一部はEUからの助成金で賄われているとのことでした。
国民投票を来月に控えて、残留をサポートするニュースもメディアで流されていました。「MI6に代表するスパイ機関がEU離脱は国防にもリスクがあると報告」や他国の諸機関からも離脱についての英国のリスクを警告する情報が発信されていました。
さらに、先週12日に開かれた英国中央銀行の金融政策委員会MPCの定例会合でもEU離脱による悪影響がいかに大きいかが指摘されました。
金融政策決定事項は全会一致での現状維持。事前に一部予想された利下げ議論はなかった模様です。これは今後EU離脱があった場合の金融政策での対応が複雑になることを想定したものとも見られています。
離脱により英国からの資本流出があった場合、利下げどころではなく、通貨防衛のために利上げを余儀なくされる場合もあるでしょう。
この日に同時公表された四半期毎に公表あれるインフレショーン・レポートにおいては英国の経済構造(経常収支は大幅な赤字、海外からの投資によるファイ ナンス)を考えると、EUを離脱した場合に起こる資本流出は深刻なリスクがあると指摘。離脱を懸念する強いトーンがありました。
英国国債のCDS(信用リスクの指標)は、2013年以来低位安定していましたが、今春から上昇(信用度低下)して取引されています。
今日は、英国下院でエリザベス女王が演説する予定だそうです。
お言葉の中に、離脱リスクが入るとは思えませんが、人気絶大な女王の演説がどんな内容なのか注目されます。ちなみに、スコットランド独立の投票の際に、女王は「慎重に考えてほしい」との意向を述べました。
6.23英国の国民投票の結果による市場への影響には、我々も気をつけておきたいところです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
*5月18日16時執筆
本号の情報は、5月18日東京市場前場終値のレートを主に参考引用しています。なお、記載内容および筆者見解は参考情報として記しています。
式町 みどり拝
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)
直近で発表された住宅関連指数、小売売上、物価関連の指数等、経済指標好調だったことに加えて、一部連銀総裁(2名)から6月の利上げも排除しないという話が伝わったことによるものでした。
利上げ期待を織り込んでくる2年物米債利回りは8bpだけ微妙に上昇反応しただけでしたが、株式市場は嫌気しました。
直近の、エコノミストによる米利上げ予想では、6月の金利据え置きが9割近くで、利上げ予想が据え置き予想を超すのは12月以降です。ただ、今後の経済指標次第で早まってくる可能性はあります。
現在の10年物米国債利回り1.78%はインフレ率を考えても低位安定状態。原油価格の反発による期待インフレ率上昇や小売売上などの景気関連指標の堅調さが見られれば利上げ時期は早まる可能性もあってもおかしくないと思います。
4月の日銀の追加緩和見送り、米国の為替報告書に為替操作国として日本がリストアップされたことからゴールデンウィーク始まるや105円台までのドル円での円高。麻生財務相の介入の可能性発言がなければ、更に円高に行っていた可能性があるでしょう。
実際に為替介入ができるか?
やったとしてどの位の額をやれば効果があるのか?
など現実面では難しいと言われる中、今週末20日21日に仙台で開かれるG7財務相会合、来週の伊勢志摩サミットは安倍政権の正念場として注目されます。
日本の財務相VS米国の財務長官の為替に関する議論が激化するなどがあれば円高リスク再燃となるでしょうが、ホスト国を刺激して、介入を示唆して取りあえず丸く収めた麻生財務相の顔を潰すことはないと言ったら楽観的過ぎるでしょうか。
日本の消費増税延期、財政、金融政策への期待、また、ここへ来て浮上した米国の6月利上げ説もあって109円台まで戻して推移しているドル円相場。110円~111円台の上値抵抗体はかなり強固とみられ、当面、107~111円水準での推移を考えています。
さて、今後、注目しておきたいイベントとしては6月2日のOPEC総会、6月15日16日の米国FOMC、そして6月23日の英国のEU離脱に関する国民投票があります。
6月23日に控えているEU離脱を問う英国国民投票は結果次第では、世界市場へ大きな影響を及ぼす可能性があります。
私事ですが、連休を挟んで英国に行っていました。主にスコットランドとイングランド・デボン州での循環型済を目ざす新しい取り組みをしているエコビレッ ジやトランジションタウンを体験することが目的でしたので、EU離脱か残留かの意見は限られた知人たちからしか聞いていませんが、知人の一人であり金融界 で一緒に働いた旧知のイギリス人からは、「自分の周りでは『残留』の意見ばかりなので、世論調査で賛否拮抗していることには違和感がある」との話も聞かれ ました。
ちなみに、最新(3日前)の世論調査では、オンライン調査は41%(残留)42%(離脱)、電話調査では43%(残)34%(離脱)その他:分からない。となっています。
英国はEU加盟国でも通貨はポンド使用を続けて一線を画してきましたが、EUとの関係は草の根ベースでも深まり、私が地方の環境関係の施設(下水システムのプロジェクト等)を見学した際、資金の一部はEUからの助成金で賄われているとのことでした。
国民投票を来月に控えて、残留をサポートするニュースもメディアで流されていました。「MI6に代表するスパイ機関がEU離脱は国防にもリスクがあると報告」や他国の諸機関からも離脱についての英国のリスクを警告する情報が発信されていました。
さらに、先週12日に開かれた英国中央銀行の金融政策委員会MPCの定例会合でもEU離脱による悪影響がいかに大きいかが指摘されました。
金融政策決定事項は全会一致での現状維持。事前に一部予想された利下げ議論はなかった模様です。これは今後EU離脱があった場合の金融政策での対応が複雑になることを想定したものとも見られています。
離脱により英国からの資本流出があった場合、利下げどころではなく、通貨防衛のために利上げを余儀なくされる場合もあるでしょう。
この日に同時公表された四半期毎に公表あれるインフレショーン・レポートにおいては英国の経済構造(経常収支は大幅な赤字、海外からの投資によるファイ ナンス)を考えると、EUを離脱した場合に起こる資本流出は深刻なリスクがあると指摘。離脱を懸念する強いトーンがありました。
英国国債のCDS(信用リスクの指標)は、2013年以来低位安定していましたが、今春から上昇(信用度低下)して取引されています。
今日は、英国下院でエリザベス女王が演説する予定だそうです。
お言葉の中に、離脱リスクが入るとは思えませんが、人気絶大な女王の演説がどんな内容なのか注目されます。ちなみに、スコットランド独立の投票の際に、女王は「慎重に考えてほしい」との意向を述べました。
6.23英国の国民投票の結果による市場への影響には、我々も気をつけておきたいところです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
*5月18日16時執筆
本号の情報は、5月18日東京市場前場終値のレートを主に参考引用しています。なお、記載内容および筆者見解は参考情報として記しています。
式町 みどり拝
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)
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