未来の普通:たまに馬車目線付き

誰に投票しても代わり映えしなさそうな理由

2014/11/25 22:45 投稿

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 解散総選挙がやってきます。

 しかし、私たちが一番気にしている景気については、私たちにこれといって打つ手がありません。

 「アベノミクスの終わり」解散で社会保障改革待ったなし 
  アベノミクスは、消費税10%への再引き上げを見送ったという点では財政再建の面からも、デフレ脱却で力強い経済成長の道筋を示すという面からも失敗に終わりつつあると考えてなんら問題ないでしょう。
 巷では、アベノミクスがどうのこうのというより、ごく単純にリセッション、景気循環における不況に陥っているのではないかという見方も出てくるようになりました。
 アベノミクスは失敗だと分かっていても代わりに投票すべき政策がありません。

 今政治家にできることはあまりないのです。

 官僚や大企業にもあまりありません。

 不勉強にもトリクルダウンという言葉を最近知りました。「富める者が富めば、貧しい者にも自然に富が滴り落ちる(トリクルダウン)する」(wikipedia)という意味です。戦後の日本はずっとこの考え方で発展してきたと言えるでしょう。当たり前すぎて、わざわざ言葉にする必要もありませんでした。

 でも、今この考え方は曲がり角に来ています。なので徐々にこの言葉を見る機会が増えてきています。

 今まではなぜトリクルダウンで良かったか。

 高度成長期はたくさん輸出しました。それは世界の私たちより豊かな国がそれらの品を買ってくれたからです。そして国内では、先進国に見習ってインフラを整備するという膨大なプロジェクトがありました。どちらも強いリーダーシップの元進めていくのが効率のいい事業です。ですからトリクルダウンがうまくいきました。

 しかし、時代は変わりました。今では日本は世界指折りの経済国です。インフラ整備は一巡し、維持費を考えるとただ何でも作ればいいというものではないことがはっきりしています。
 そしてモノ作りにおいても、いいモノを作れば世界の豊かな誰かが買ってくれる時代ではありません。日本人自身が買えないような豪華なモノは、海外でもなかなか買ってもらえないでしょう。
 サービスに至っては生産と消費が同時に起こりますから、やはり日本人に消費してもらうのが基本です。

 つまり、トリクルダウンが「貧しい者」と呼ぶ人たちが買ってくれないことには「富める者」も商売上がったりなわけです。

 ということで、私たちの新たな景気のネタは私たち自身の中に見つけていかなければならないのですが、実はあります。

 それを象徴する記事がこれです。

 病院の壁に模様をつけるという意味は

 ある病院の壁の絵をてがけたデザイナーが、1、2階分のデザイン料しかない中、7階全部違うデザインにしたという話。
 この病院にいる難病の方々は、おそらくはここから出る事無く、生涯を終えるそうです 
 そんな子達のために、普通の人でも見ることができない森の地面から空までの景色を7階に分けて描かれています。壁画の制作も学生ボランティアが活用されているそうです。

 とても感動的なお話ですが、いまやクラウドファンディングのある世の中。プロデューサーが適切にクラウドファンディングを募れば、7階分のデザインも、制作作業者の賃金もきちっとまかなえたのではないかと思うのです。関係者達の善意は素晴らしいものですが、もしきちんと費用がまかなえたなら、彼らはこのような話があれば持続的に活動できるし、それで得たお金は、またかれらが素晴らしいと思うものに使われていきます。お金は連鎖する「いいね!」なのです。

 この病院の壁画プロジェクトも、最初のうちはクラウドファンディングが必要かもしれませんが、いくつかこなされ、これが普通になれば、最初から予算に組まれるようになり、このような活動をしているデザイナーさんたちの仕事が増えることでしょう。

 そうやって「いいね!」というお金が連鎖するから景気はよくなります。一方この話を単なるいい話に終わらせれば「いいね!」というお金は連鎖せず、景気は悪いままです。

 お金に対するイメージが悪いのは、CMとかで無理矢理需要を喚起させられ買わされてるとか、金で金を産むせいでときにリーマンショックみたいに破綻して消えるみたいな不健全な使われ方をさんざんみさされているからですが、そんなのはお金の姿のほんの一部で、大部分は私たちの日々のクリエイティビティを支える潤滑油です。

 ですから、こういう素晴らしいプロジェクトを見かけたら、みんなで工夫して、関係者が相当の対価を得られるようにすることが、巡り巡って日本の景気を良くする大切な手段なのです。もちろん世の中のは自ら新しいビジネスを生み出せる人もいますが、それだけでは今の日本の景気を良くするのに足りてません。それ以外にビジネス度外視の素晴らしい活動がたくさんあります。その関係者が相当の対価を受けられるよう、皆で工夫しないといけないのです。

 またこれこそが大企業が手をこまねいている原因でもあります。こんな個人レベルのすばらしい活動はいくらでもありますが、それはあまりにも小さく一つ一つビジネスにしていくのが難しいのです(楽天市場などオンラインショップのプラットフォーム整備などは大企業も手がけられますが)。小さいプロジェクトは小さい単位でビジネスにしていかなければなりません。

 そこに今の日本の本質的な弱点があるのです。つまり、そういう素晴らしい活動をビジネスにしていく力のある人が少ないのです。

 そしてその遠因が、先日から取り上げている義務教育での落ちこぼれの問題です。日本のエリートを作る教育ばかりに目が行っていましたが(差別問題というより単に分かりやすいからだと思います)、小学生で3割、中学生で5割が、学校のカリキュラムについていけなくなっているという問題が、真っ正面から問題になっているのです。

 

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