先日、
【馬】マイルドヤンキー論の限界と使い方
で、マイルドヤンキーの特徴の一つである
・内向的で、上昇指向が低い(非常に保守的)という点について、それはマイルドヤンキーに限ったことではないと考え、次のように書きました。
時代は持続的社会を目指しています。地方都会関係なく地域の経済をずっと続くものにしていきたいという時代です。上昇指向が低いことと、20年30年続く活動を懸命にやっていることとは違う軸で、上昇指向だけに着目するといろいろ誤解すると思います。たとえば自然とか環境を相手にする活動を考えると想像しやすいかと思います。たとえば、私が関わるビジネスプランコンテストとか見ていても、社会起業的なものがとても多くなっています。アジアの大会では一発大儲けみたいなぎらぎらみなぎったものが多いのとは対照的です。今、日本人で強烈な上昇指向を持つ人はかなり少ないのではないでしょうか。
それはなぜか。
世界が加速したからです。人間の寿命は長いままなのに。世界が加速してしまったたことで、未来の普通になる持続的な社会に向けた活動こそが、自分の人生も持続的にする分かりやすい拠り所だからです。
加速した社会
情報時代になったことで、社会の表舞台はとてつもないスピードで動くようになりました。mixiのように日本を代表するようなIT企業であってもあっという間に陰が薄くなります。IT企業だけではありません。家電メーカーはがんばって素晴らしいデジタルテレビを作り上げましたが、移行が一巡したらテレビ産業はあっという間に陰の薄い産業になってしまいました。次のような加速する技術について有名なグラフがあります。技術の命:加速する技術進歩からお借りしてます。IEEE Computer(March 2008)のものだそうです。
かつて、車や電話などの技術に取り組めば、普及に何十年とかかっていますから、人々は人生の取り組みとして取り組むことができました。しかし、技術の普及は加速し、携帯電話は10年以降鋭く立ち上がっています。スマートフォンに至っては iPhone 発売が 2007 年でまだ7年しか経っていませんが、日本での普及率は50%を超えているそうです。
加速し過ぎた仕事では、自分の人生を見通せない
このような加速は、技術に限らず様々な分野で起こっています。その結果として、特に若い人が仕事を考えるとしたらどう考えるでしょうか。20歳過ぎに働き始めるとして、結婚して子ども何人か20歳まで育てるとして、ざっくり30年はばりばり働かなければなりません。しかし、一つの取り組みが10年で飽和するような分野では、10年後また何か新しいことを始めなければなりません。二つ目は30代でまだいいとして、3つ目は40代になってしまいます。
人間のライフサイクルはそれほど変わっておらず、社会は加速してしまって、人生をかけて取り組める仕事が減ってしまっています。人生かけて取り組める仕事を持ちたいと考える人にとって、外向き・強い上昇指向は直接の答えになっていません。
それどころか、強い上昇指向には慎重にすらなります。いくら上昇するからといって持続的でない活動をすると、自分が生きている間に自分にしっぺ返しがきかねません。昔なら問題が出る頃には自分は定年で逃げ切れてたりするわけですが、今は何もかも加速していて、自分に帰ってきてしまいます。
持続的な仕事が魅力になる
そんな状況ですから、ソーシャルビジネスはとても魅力的です。なぜなら時間がかかるし、なくならないからです。高齢者の課題、交通弱者の課題、様々な社会問題がありますが、どれも時間のかかる問題ばかりです。時間がかかるから残っているとも言えます。このような取り組みは概ね20年続けて最初に始めた世代の子の世代が入るようになって、ようやく持続的に動くようになるとさえ言われます。これらの課題は共通して持続的に社会が回ることを目指しています。これらを通して社会が少しでも持続的になればなるほど、自分自身が穏やかな老後を過ごすことができます。
たとえば、地方で社会的課題に取り組みしっかりとした成果をあげて老後を迎えられれば、小さな畑で野菜作りつつ、地域に支えられながら、日々の生活にそうそう困ることはないでしょう。いつ崩壊するかわからない年金にあまり頼ることもなく。
このような生活は世界経済の影響にも強くなります。最近中国ツアーを扱う旅行会社が次々破綻しているというニュースを聞きます。クリミア問題でアメリカとロシアが経済制裁合戦が始まってしまいました。明日には世界恐慌が訪れるかもしれません。
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