子供が「すべての人に思いやりを持って接しよう」みたいなことを教わっているようです。
理想的なことで、私もできればそうありたいと思いますし、というか、私くらいの歳ならそれくらい目標でないといけないとは思います。
一方で、中学生や小学生にとってこの目標は、もちろん、「世界を平和にしよう」と同じように高い目標として掲げられている必要があると思いますが、足元はもっと喫緊の処世術を身につけることに専念した方がいいと思っています。
1) 嫌いな人から距離を置く
昔は「かくあるべき」という人間像が決まっていて、みんなそこに向かって努力することが決まっていて、でも、それぞれ、ここが足りないあそこが足りないというモデルでした。
しかし、今は「個性」の時代。みんな自分らしくなんて時代です。あえてちょっと外したところで例出しますけど、「猫は大好きだけど、犬は大っ嫌い」「犬は大好きだけど、猫は大っ嫌い」でも構わない時代です。そんな人同士が近くにいたって、お互い面倒なだけです。
多様化が認められる世界というのは、
「あの人だけはどうしても嫌い」
が認められなければならない世界です。「いやいや思いやりを持って接すれば」とか、そんなの戯言で、それを言い出してしまう時点で、多様性の否定です。世の中には、自分には絶対には理解できないどころか嫌悪する趣味ってありますよね? そういうのを趣味にしている人を趣味は悪いけど「思いやりを持って接して」とか、そういうのはやっぱりずっとずっと大人になってからの試練です。
つまり、「すべての人に思いやりを持って接したい」とはいえ、「どうしても嫌い」な人がいて当然です。
まずはそんな人と「どう接する」かを身につけることが大切です。
どう接するか。
接しないことです。
距離を置くことです。視界に入っただけで「うわ、嫌いなやついる。むきー、消えろ」なんて思うことは、愚の骨頂です。どんなにむきーしたところで、消えて無くなるわけじゃなし。さっさと視界から消しましょう。向こうだってあなたのことが嫌いならなおさらです。お互い楽です。
そうやって、嫌いな人に心かき乱されない生活を送れば、心にも余裕ができ、いつか「すべての人に思いやりを持って接したい」に真剣に取り組めるかもしれません。
でも、いろんなストレスを抱える中で、さらに嫌いな人に嫌な思いをしていると心の病にすらなるかもしれません。
世の中いろんな人がいます。そしてそんな人が全部消えて無くなることはありません。なるべく関わらなくて済むよう工夫する。それが社会との関わりで一番重要なスキルです。
2) 断片的な情報で嫌いにならない
世の中の情報に触れていると、ものすごく悪者に見えてくる人たちがいます。たとえば政治家・公務員。こういう人たちがいかにひどい人たちかという視点でネットを調べれば、もうこいつらを一層すれば世の中は良くなるのではないかとすら思えてくるかもしれません。政治家・公務員を褒め称える記事なんてそうそう見られませんから。
でも、あなたがそういう人たちと実際に会ったり話したりしていないのであれば、見聞きした情報だけで嫌悪することはやめましょう。政治家・公務員だって実際は普通の人ですし、国会議員ともなれば、会えばなんて魅力的な人だと驚く人がたくさんいます。だから当選するんですから。
会ってもいない人、よく知らない人を間接的な情報で判断せず、とにかく保留しましょう。外国の人々を毛嫌いしていても、実際に会ってなんとかコミュニケーションできたら、実は素晴らしい人たちだったなんてよくある話です。
無理に好きになる必要もないし、無理に思いやりを持って捉えようとする必要もありません。よくわからない人は、よくわからないで置いておけばいいのです。
さっき「嫌いな人から距離を置く」と書きましたが、距離を置いて落ち着いたら、「嫌い」かどうかその気持ちからも距離をおきましょう。実は他愛のないきっかけで嫌いになってただけかもしれないし、誤解もあるかもしれません。その人といろいろ関わって嫌いになるなら仕方ありませんが、たいしてやりとりもしてないのに、嫌いなら、嫌うだけ損です。ちょっと離れるだけでなく、「嫌い」の気持ちからも離れてしまいましょう。
そうやって、「嫌い」の感情で必要以上に自分を疲弊させないことです。野放しにしてさらには「憎しみ」まで育ててしまっては、逆に自分の心が痛めつけられていきます。
そうではなく、「嫌い」の感情からは適切に距離を置き、心の健康を保つことで、やがて心に余裕ができ、できるところから「思いやりを持って接する」ことを考えられます。そのときもわざわざ「嫌い」な人からやる必要はありません。今まで思いを馳せることができなかったような人々で、自分が共感しやすい人たちからで十分です。
「すべての人に思いやりを持って接しよう」。その壮大な目標を人生で達成するためには、まずは自分の心を守ることから始めるのです。
《ワンポイントミライ》(?)
ミライ: この二つのポイント、私たちは毎日のように気にしてますよね。
フツクロウ: ホウじゃな。
ミライ: それはなぜか。
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