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私はダンサーとして働いています。
当時はテーマパークダンサーでした。
全国各地のいろいろなテーマパークでパレードに出演したり、キャラクターとショーに出演したりする仕事です。
オーディションを受けて合格をいただき、プライドをもって仕事をしていました。
一見、とても華やかな世界のように思えますが、体力勝負のなかなかハードな仕事でもあります。
イベントや時期ごとに演目が変わるため、1年中リハーサルをしなくてはいけません。ショーが終わったあとも、練習でずっと踊り続けていることもありました。
ダンスのスキルはもちろん、体調やスタイルの管理も仕事のうち。
太るのはもちろんよくないですし、痩せすぎても衣装担当のスタッフに迷惑をかけてしまいます。
しかし普通に仕事をしていれば、そんなに太る心配はありません。仕事でずっと運動し続けているわけですから、むしろカロリーを摂るためにしっかり食べるようにしていたくらいです。
私も太ったり痩せたりすることなく、きちんとスタイルを維持して仕事をしていました。
しかし、あることがきっかけで、そのスタイルがどんどん崩れていくことになってしまうんです。
「ちょっと痩せて」のひと言が悲劇を招く
ちょうど新しい演目の練習が始まったころです。
その演目では、男性とペアになってダンスを踊る部分があったのですが、それは私にとって初めての経験でした。
振り付けのなかには、「リフト」という、男性が女性を持ち上げる技が入っていました。
もちろん、リフトも初めてなので、コツをなかなかつかめずに、相手には迷惑をかけたと思います。
そしてその練習の中で、相手の男性に「ちょっと痩せて」と言われてしまったのです。
いま考えれば、当時は特に太っていたわけではありません。
きっと相手の男性も「リフトのために1キロでも2キロでも負担を減らしてほしい」という軽い気持ちだったのでしょう。
しかしそのひと言が、私にはものすごい衝撃でした。
他人に「痩せろ」と言われるなんて、生まれて初めての経験だったんです。
エスカレートする危険なダイエット
その日から、ダイエットの日々が始まりました。
最初は、納豆やこんにゃく麺など、カロリーの低い食事を選ぶ健康的なダイエットでした。
白米は玄米に替えて、お弁当を作るようにもなりました。
この程度で健康的に痩せていければよかったのですが、このダイエットがだんだんとエスカレートしていってしまったんです。
そのころは毎日体重を測っていたのですが、最初は朝・夜の1日2回だったのが、徐々に暇さえあれば体重計に乗るようになってしまいました。
多いときは1日10回くらい体重を測っていた気がします。
お風呂に入る前に体重を測り、「今日は○○グラム落ちるまで、お風呂から出ない」なんてルールもありました。
また、外食をするのがとても怖くなりました。
自分が食事をしているところを見られるのがイヤで、誰かと食事をするのが怖くなっていったのです。
「あいつ、食べたらまた太るのに」と思われているのではないかと被害妄想を抱くようになりました。
ひどいときは、約束の店の前まで行ったのに店に入るのが怖くて、泣きながら帰ったこともあります。
いま思うと、精神的にボロボロでした。
でも、このときは自分が異常だということに気付いていません。
ただただ痩せたくて、たとえ0.1グラムでも軽くなることに必死でした。
食事を丸1日食べない、なんて日もありました。
それでも体重が軽くなっていけば、すべてが報われるような気がしていました。