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私は生まれたとき、体重が約3,500グラムありました。

健康体だったので、看護師さんから「百点満点の赤ちゃんです!」と言われたそうです。

女児の平均的な出生時の体重は2,900グラム程度だそうですから、大きめに生まれたといっていいでしょう。

同じ新生児室の誰よりもたくさんのミルクを飲み、栄養をたっぷりとっていた私は、すくすくと成長していきました。

まだ幼稚園のうちから小学生に間違われるようになり、同世代の子どもたちと比べると、かなりの高身長だったのを覚えています。

そもそも、私の両親も身長が高いのです。父は180センチ、母は165センチ。そんな2人から生まれた私が高身長になるのは納得がいくことです。

「のっぽ」と呼ばれ、高身長がコンプレックスに変わっていく

周囲から「背が高い」と言われていた私でしたが、幼稚園のころは「そーか、私は背が高いのか」くらいにしか思っていませんでした。

「背が高い」という現実について、特に不満を抱いていたわけではなかったのです。

同じクラスの誰よりも背が高く、体重もあり、むしろ「有利だ!」くらいに思っていました。このころは、身長のせいでコンプレックスを抱くようになることなど、想像もしていませんでした。

小学生になってからも、私はクラスで一番背が高く、頭一個分以上の差がある子もいました。

ちょうどそのころ、家庭の事情でそれまで名乗っていた苗字から、新しい苗字に改姓することになりました。改姓したこと自体にはとくに不満はありませんでした、それが私の人生にとって大きな転機となったんです。

新しい苗字は、「の」で終わる2文字のもの。すると、周りの子どもたちが、私のことを「◯のっぽ」と呼ぶようになってしまったんです。「苗字」と「のっぽ」を掛け合わせたあだ名です。

最初はとくに気にしていませんでしたが、「女のくせに背が高いなんて気持ち悪い」と言ってくる子まで出てくるように。

私は、「◯のっぽ」「◯のっぽ」と呼ばれ続けるうちに、「背が高いことは悪いことなのではないか?」と考えるようになっていきました。

それは私が自分の高身長に対して強いコンプレックスを抱いた瞬間でもありました。

親の仕事の関係で転校をしても、背のことを馬鹿にされる日々は続きました。

「背が高いのに役に立たない」「女の子っぽくない」などと散々な言われよう……。苦しい思いをしました。

私だって好き好んで背が高くなったわけじゃない! お世辞で言われる「モデルみたい!」という言葉にも傷ついていました。

中学生のときコンプレックスをこじらせる

中学生になってからは、なるべく目立たないように地味に学校生活を送るよう努めました。

からかわれるのが嫌で人付き合いを避けるようになり、一部の友人以外とはあまり交友を持っていませんでした。

背は毎年6センチ以上伸び続け、中学生になったころにはすでに160センチ以上あったと思います。

体育の先生に会うたびにバレー部に入るように勧誘されていました。しかし、運動が苦手だった私は美術部に入り、身長を活かす道を選びませんでした。今では、身長を活かした部活動をしていれば、身長についてあまり悩まずに過ごせていたのかな、と考えることがあります。

中学生にもなると、恋愛の話が出てくるものです。同じ学年の子たちの間でも「誰が誰に告白した」「誰と誰が付き合っている」といった類の話が聞こえてきました。

そのなかでショックを受けたできごとがあります。

私の同級生のなかに、私と同じくらい身長の高い子がひとりだけいました。彼女はスタイルのいい美人で、性格も明るく、誰から見てもモテるタイプでした。

その彼女が男子生徒に告白したところ、「背の高い女はムリ」という理由でフラれてしまったのです。

「美人なのに、背の高さが原因でフラれるなんて……!」と、衝撃を受けました。

彼女でさえ「ムリ」と言われるのに、自分が恋愛をするのは不可能ではないのかと考えてしまい、高身長に対するコンプレックスはますます大きくなっていきました。

自分は黒子なんだと思って生きた高校時代

高校に入学してからも、相変わらず地味な生活を送っていました。明るく女子らしく振舞うことを意図的に避けていたように思います。

部活は演劇部に入りましが、基本的に裏方。小道具や音響の係で、たまに役者をやるかと思えば、ほとんどは最初に死ぬような地味な役でした。

家にいるときも、身長のせいで嫌な思いをすることがありました。

私は、高身長であるうえに肩幅もあり骨ががっしりしているため、体格のいい高校生になっていました。

父からは「たくましい」「◯◯男さん」などとからかわれていました。また、少しでも女の子らしい服装をすると母から「女の子みたい」「珍しいね」と言われていました。

両親のそんな言葉を聞くたびに、自分が女性であることを否定されているような気がしてなりませんでした。そんなつもりはないことはもちろん分かっていましたが、言葉というのは絶大な力を持っているものです。

そして高校に入ってから、今まで人付き合いを避けてきたツケが回ってきました。

クラスや部活の人間関係にうまく馴染めなかったのです。人との付き合い方や距離が分からなくなり、学校のどこにいても浮いている存在でした。

背丈のことや性格のことをネタにされることが多く、同じクラスの生徒とあまり関わりを持たないようにしていました。というのも、クラス内に同じ名前の女子生徒がおり、よく比較されていたからです。

その子は美人で友人が多く、クラスの中心になるタイプの子。「同じ名前でも大違いだよね」と言われていました。周囲との間に、身長以外の壁も感じるようになってしまったんです。

学園祭など華やかなイベントでも、黒のTシャツに黒のズボンという恰好で黙々と作業をしており、黒子のように目立たずに過ごしていました。

高身長というコンプレックスは、私の人生に大きな影を落としていたんです。

「背の高い女はムリ!」高身長女子が抱えるコンプレックスとは[体験談](2/2)に続きます。

written by NICOLY編集部


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