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アトピーだと、食べることができない食べものがたくさんあります。
牛乳や、ヨーグルトなどの乳製品から始まり、タマゴ、カレーなどの刺激の強いものも食べられません。
小さいころから重症のアトピーだった私は、食事に対する制限がとても苦でした。
もちろん添加物も食べらないので、おやつはすべて母の手作りのものでした。
周りの友達は、ポテトチップスや、コーラなどを美味しそうに飲み食いしているのですが、私は、母親が作った蒸しパンやかりんとうなど子どものおやつにしては少し味気ないものをいつも食べていた覚えがあります。
ただ、残念ながら当時は、そんな努力も空しく、アトピーがよくなることはありませんでした。
私は、幼いながら、「自分は他人とは違うんだ」と思うようになっていました。また、選択の自由がないとても狭苦しい世界にいるような気分になったのも事実です。
自分は、当たり前のことが当たり前のようにできないんだということをしみじみと感じました。
幼いころから病院通いの日々
幼いころから2週間に1度は皮膚科へ通っていました。
季節の変わり目や、汗をかいたり、乾燥したりする時期は必ずアトピーがひどくなります。病院での診察は私にとってはかかせないものでした。
担当の年配の女性のドクターだったのですが、大変不愛想で怖いイメージがあり、あまり私にとっては心地のいい場所ではありませんでした。
病院へ行かなければいけない日は朝から憂鬱な気分。まるで魔女に取って食われるかのような思いでした。
母がついてきてくれるときはまだいいのですが……、母がついてこない日は診察に行かなくなりました。それで、ますます症状が悪化していったのです。
いきなり始まったいじめ
そんなある日、まわりの友達がぴたっと話しかけてこなくなりました。
今まで普通に笑いながらしゃべっていた友達が一切話しかけてこなくなり、また、私から話しかけても避けられるようになったのです。
あとから聞いた話ですが、学年でも発言力のある男子が、私のアトピーについてあれこれ話をしていて「気持ち悪いからみんなで無視をしよう」と言ったそうです。そこで周りにいたその友達たちからその内容が伝播し、学年全体へと広がっていった……ということでした。
それから私は、学校でひとりぼっちで過ごすようになってしまいました。
小学生だった私は、ここでも自分は人とは違うんだと痛感したし、さらに自分は人より劣っていると感じてしまったのです。自分が人よりも劣っているからこんなひどい目にあうんだと……。
初恋
ひとりぼっちの生活でしたが、恋をしたことがありました。
周りから煙たがられていた私が、学年でも人気の男の子に恋をしてしまったのです。自分でもうまくいくはずがないと分かっていたのですが、自分の気持ちが止められなかったんです。
体育の授業中に汗を流しながら一生懸命ボールを追いかけている姿を見たり、授業中にうまく答えられず困った顔をしている彼を見たりするだけで幸せでした。
その男の子の周りは、常にきらきらしていたし、恋する自分もきらきらしているように感じました。
ただ、周りから無視され、疎まれてた自分が、思いを告げるようなことは絶対ないだろうなと思っていました。
そんなある日、運動会の写真を学校で購入することができるとのことで、廊下に番号を振って並べられていました。
私はそのとき何を思ったのか、気になる男の子の写真を1枚こっそり購入してしまったのです。
今思えば、その男の子のことを思うだけで幸せな気持ちになって、満たされていたのに、さらに近く感じたいなど、思い切った行動をしたものだと思います。ただ、その当時はどうしてもその写真がほしかったのです。
そして、その男の子の写真を手に入れると、自分の手帳のなかにしまい誰にも見つからないように気を付けていました。
でも、思いもよらない事件が起こります。ある日、私の荷物が誰かにまき散らされていたんです。
そのとき、誰かがその男の子の写真を見つけたようで、本人に彼の写真をこっそり持っていたことが伝わってしまったのです。
*風のうわさによると、その男の子はとても気持ち悪がっていたとか。さらに私を傷つけるような言葉も発していたと……。その事件があってから、私は、外に出ることを怖く感じるようになりました。
人の目線が恐怖に
自分が他人からどう見られているかということは重々承知していました。だからこそ、私は自分という存在を他人の目線から隠すようになりました。
さらに、ストレスから過度のかゆみを引き起こし、アトピーがより一層ひどくなっていました。
すると、また他人に自分のこの醜い姿を晒すことが怖くなって……。そんな負のスパイラルに陥っていました。
もやもやとした気分が続き、ついに人前に自分の姿を晒すことを一切シャットダウンすることを決意しました。
学校にも行かず、外出もせず、家族にも姿を見せず……。毎日毎日鏡の前で、自分の醜い姿を見る毎日でした。
「どうして私が」「どうして私だけ」「どうして」……ということしか考えられなくなっていました。
常にマイナス思考で、自分のことを呪っていました。
周りの子たちは、アトピーもなく、つるつるとした肌をしていて、外で遊んで日焼けをしても何ともないのに、何で私にはそれができないの?
そんなことを考えていると最終的には、自分には存在価値があるのだろうかというところに辿りつきました。
このままもやもやとした人生をあと何年、いや何十年続ければいいのかと考えるだけでぞっとするんです。
そうなると「死」という選択肢も考えざるをえませんでした。
ただ、唯一楽しいと思えることがあり、それが心の支えになっていたんです。それは当時、引きこもりの私を心配した両親が持ってきてくれていた本や映画。なかでも海外の映画が好きでした。
そして、映画に出てくる王子様のように素敵な人と一緒に、毎日を楽しく過ごしたいと夢見るようになったのです。
また、将来働くうえで、英語が必要になると確信していたので、思い切って海外に出てみようかと思いました。
両親に相談したところ、引きこもって、死人のようだったわが子が、いきなり何かにチャレンジしたいと前向きな話をしてきたからでしょうか、とてもびっくりした様子でした。
でも一切の反対はなく、私のチャレンジを応援してくれました。正直そのときの自分は、そんな大それたことをするつもりではなく、ただいまの状況を打破したいという気持ちのみで行動していた気がします。
いじめられ自殺を考えるほどひどいアトピー。そんな私を変えたアメリカでの出会い[体験談](2/2)に続きます。
written by nakayama00000
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